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よん

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 僕と嶺二の出会いは僕が幼稚園の頃だった。公園で1人砂遊びをしていた僕を嶺二が遊びに誘ってくれたのがきっかけで仲良くなった。家が近くて小学校は同じだった。互いの家に遊びに行ったり、一緒にどこか出かけたり、放課後に小さな冒険をしたり、長い時間を一緒に過ごした。
 そんな中ふと気づいたら自分の中には嶺二を好きだという気持ちがあった。きっかけなんてものはなくて気づいた時にはその気持ちはもう止められないものになっていた。嶺二とは幼馴染で、親友であるはずなのに僕はそれ以外の関係を望んでいて、そんな自分に自己嫌悪した。嶺二が幸せなら自分も幸せだなんだと自分に言い聞かせて想いを捻じ曲げてそれでも嫉妬心やら何やら汚い感情は湧き出てきてそんな気持ちの矛盾が苦しかった。

 好きになった人が嶺二じゃなかったらきっともっと楽だった。自分の中に告白する選択肢も存在しただろうし、もっと心の整理が出来ていたはずだ。
 でも現実は嶺二を好きになって、一番大事にしたい関係だったから下手に想いを打ち明けられなくて、一番近い関係性だったから距離を置いて心の整理をする時間もなくて心がぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ────────。

いつの間にか自分でさえ何が僕の本心なのか分からなくなっていた。

 嶺二が好きなのに嶺二の隣に居る自分は嶺二のことが好きじゃなくて、家に帰れば想いが溢れて、かと思えば嶺二の幸せを願って自分を正当化する。

 自分の想いを否定して否定して否定して否定し続けてそんな自分の限界を感じた僕は逃げた。

 それは中学の時だった。とあるバンドが好きだった僕は1人で東京にライブを見に行った。その時にスカウトにあい、今の事務所にお世話になることになった。アイドルに興味があった訳ではない。いや僕は歌が好きだったし、仕事内容に歌を歌うことが入っている時点で興味はあったがスカウトを受けた本当の理由は逃げたかったから。

 いや、逃げたくなかった。傍に居たかった。

 しかし、嶺二の近くにいる僕は否が応でも自分の気持ちを否定してしまっていた。そんながんじがらめの自分をどうにかする方法を僕は知らなかった。

 あまり考えずに身体が動くままにスカウトを受け、上京し、下積み時代を過ごした。と、思いきや上京半年後には何故か嶺二もその事務所に在籍していた。
 「勝手に居なくなるなんて許さねぇ。」なんて言って僕の前に現れた彼に「僕のこと気持ち知らないからそんなこと言えるんだ。」なんて思ったりもしたが、意外にも嶺二の隣に居ることが以前ほど苦になっていなかった。
 理由は2つあったみたいで、1つ目は一度距離を取ったことでぐちゃぐちゃだった気持ちを客観視出来るようになり、結局のところ嶺二を一方的に好きになる自分が許せなかっただけなんだとシンプルに気持ちを解釈することが出来たこと。
 2つ目は嶺二から僕を追いかけてきたことで好きって気持ちが溢れるのも嶺二のせいだと思えるようになったことだ。たまに責任転嫁する自分に自己嫌悪するがそれでも以前よりはよっぽどマシだった。

 上京前よりも素直に好きという感情が溢れ出るようになり、危ない場面も多々あったが、隠しきれているはずだ。二人組のユニットで活動していたことで誰かに嫉妬する場面なんかも少なく、その間甘酸っぱい片想いみたいなものを体験していた気がする。

 しかしながらそんな状態が長く続くことも無く、僕はまた逃げる選択を選ぶことにした。心を落ち着かせたいやらこの気持ちのまま嶺二の隣に居ることが嶺二やファンを裏切ることになるなんて自分の中で理由付けをして辞めることへの罪悪感を減らそうとしているがその実、自分の本心は近くで嶺二が自分以外の誰かを好きになるのを見ていたくないなんていう自分勝手なものだった。

 ユニット自体に人気が出てきてそれぞれソロの仕事なんかも増えてきた。その関係で自分の知らない交友関係を作る嶺二に不安になってきてしまったのだ。それに、2人だけでいる時間が小、中学生の時よりも断然に増えてしまっていた為に気持ちまでもが膨れ上がりすぎてしまったことにも原因があった。

 嶺二に話を切り出した時、怒って引き止めて欲しいなんて甘えがあった。この気持ちに見返りを求めてはいけないと分かっていたはずなのに心の奥底ではその見返りを求めていて………この状況はその罰なのだろうか?

 部屋に嬌声が響き渡る。

「んあっ、あっあっあっ、いやっ、んっやっ。ひゃっぁぁぁあ、だめっだめっ、んあっ、あっ。」

 僕は一度イったというのに、お尻をぶっといバイブでズコズコと責め立てられている。うつ伏せの状態で膝を立てお尻を突き出すような体勢で太ももに手を当てられ逃げられないように固定されてしまっている。この快楽から逃げようにも逃げ場がなかった。バイブの動きは僕に快楽を与えるためというよりは何か激情を発散させる為のようで強すぎる快楽が僕に苦痛を与える。生理的な涙が止まらず目に巻かれた布を濡らす。

「あっ、イくっ、イっちゃうから、ひぃっ」
「イけよ。」
「ひゃっ、あっ、あっ、あっ、んっ、んっ、んひぁぁあああ!」

 僕は身体そのものを嶺二に完全に掌握されながらイった。そしてその余韻に浸る間もなく玩具が抜かれたと思ったら背後でガサゴソという音がしたあとピタリと後孔にバイブとは違う何かが宛てがわれた。もはや抵抗なんてできる状態じゃない。

「え……な、何これ?」
「俺のペニス。」
「そ、それ……どうするつもり?」

 僕の恐る恐るの問いかけに嶺二は淡々と答える。感触からして嶺二のペニスは既に勃起してしまっているようだ。

「いれるが?」
「どこに?」
「ここに。」

 そう言った嶺二ば僕の後孔に宛てがったペニスを横にずらしてお尻に擦り付ける用に置くと、ツプリと人差し指を第一関節まで入れた。

「んあっ。……………も、もう…やめよう、ね?嶺二。」

 唐突に指を入れられたことで吃驚したが、どうにか説得しようと言葉を続ける。しかし、言葉を続ければ続けるほど指が僕の後孔を無感情に弄る。まるでパーカーの紐を無意識に弄る癖のように。
 話だけは聞いてくれるようでペニスは一度どかされたようだが。

「嶺二っ、だって、んっ…僕なんかを、んあっ、ひっ、激しっ。…んんっ、抱きたい、わけっんあっ……じゃ、ない…はぁっ…んでしょ……ひゃっあ。」
「それで?」
「だったらんあっ…こんなことひうっ…やめたほうがいいっ。あっあっ、あとでっ、はうっ、後悔するよっ。」
「ああ、そうか。で、それで終わりか?」

 僕が必死に言い募るが指が止まる気配はない。話を終わらせられそうになって何か説得できる言葉がないかとただ喘ぎながらあわあわと逡巡するが出てこない。

 嶺二は彩季に聞こえない声で「そんなに俺に抱かられるのが嫌かよ……。」と言葉を零すと背後から覆いかぶさり両手首をそれぞれ手で抑え込むように掴むと左耳元で小さく、しかし激しい怒りのようなものを堪えるように「勝手に居なくなるなんて許さねぇって言っただろうが。」と呟いた。

「覚悟しろ。」

 そう呟いた嶺二は僕の後孔にペニスを挿入した。
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