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真実へ
しおりを挟むside アルヴィース
執務室にて、書物を書き記す。レイアはまた忙しく僕の屋敷に来ていた。
彼女には“知らなかった騎士に関する知識”を学んで貰うことに専念して貰っている。
僕がハールと陛下に聞かされた話は、レイアの母親に関わる物語だった。
そして、二人とも、口を揃えて言ったのは、レイアに「口外するな」である。
父上は、その昔下町の少女と恋仲に落ちた。
しかし、二人は身分差ゆえに婚約も、子も授かることはなかった。
おまけに下町の少女は、多額の借金を先祖代々持っており、非常に貧しい生活をしている上に、タチの悪い連中によってその借金は膨らむ一方であった。
そこで父上は、当時若年であったが、実力を見込んでスリーアラウンドに抜擢したハールと少女を婚約させ、その身を守らせることにしたのだ。
可能な限り、父上はご自身で稼がれたお金――それこそ王の仕事の合間に庶民と変わらぬ方法で働いたお金――で少女の借金を肩代わりさせた。
その上で彼女の生活の安定と、そして、産まれてくるハールと少女の子供を助けるために宝剣であるクラレントを渡したらしい。
そして、少女……いや、レイアの母君はクラレントを売り捌くことなく、大事に保管していたらしい。
ハールは物心つく前にレイアの下から離れていたが、休日には物陰から彼女を見守っていた。
つまり、レイアはハールを知らないが、ハールからレイアのことは何もかも知っていたのだ。
彼女の実力の秘密にも、どことなく彼がかかわってきている……そんな想像が掻き立てられる。
彼女に桁違いの戦闘力を与えた師匠は誰なのか、である。レイアはお金で雇った剣術の先生とのことだったが……果たして。
そして、問題はここからだ。
レイアが「女は騎士になれない」のを知らなかったのも、「僕と強盗と、レイアが鉢合わせた」のも、二人の計画であったのだ。
騎士の勉強をしていたはずの彼女が、重要な情報を知らなかったのは意図的に伏せられていたからで。
そして、強盗も金で雇わせた手練れらしい。
だから、僕とレイアが出会うのは必然の出来事であったと言うのだ。
僕は偶然だと思っていたが、事実はそうではないらしい。
後は、僕が彼女と仲良くなって、彼女の力になるかどうか……僕がレイアを妃にすることで、スリーアラウンドにするかどうかは、賭けだったのだろう。
何が目的だったか、僕はレイアの母君に真意を問うために手紙を出すのだった。
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*
*2020年まで某サイトで投稿していたものですがサイト閉鎖に伴い、加筆修正して完結を目標に再投稿したいと思います。
*他小説家になろう、アルファポリスでも投稿しています。
*毎週、火・金曜日に更新を予定しています。
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