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二部・工房の方針

シャロンの初日の仕事

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 早速働いて貰っているシャロンだったが、それはとにかく一生懸命だった。
 荷物を運ぶことから、薬草採集のクエストまで、なんでも一生懸命に取り組んでくれる。
 ソフィーとしては、彼女がこうして手伝ってくれるだけで大満足だ。

「ソフィーさんっ! 娼館にポーションを運び終わりましたっ!」
「ごめんなさいね、娼館なんて場所にポーションを運ばせてしまって」

 ダーレン曰く、昼頃であれば娼館の周りは治安がまだ良いし、もし、何か娼館の近くであれば、解決してくれるらしい。
 何を、どう解決するのかは、聞きたくなかったので、知らないし、知りたくもない。

「それで、ソフィーさんっ! 次はどうしましょうっ!」
「ううん、そうね」

 ポーションを運び終えたし、クエストまで参加して貰った(ちなみに登録費はソフィー持ちだ)。
 金銭の管理関係や営業に関してはハンナが担当して貰っているが、そこは彼女にお願いしようと考えている。
 だから、彼女には……。

「そうね。今日のお仕事をお終いにして、錬金術のお勉強をしましょうか」

 シャロンは納得していなさそうだ。

「待って下さい! まだ、陽も暮れていませんし! まだまだ働けますっ!」
「でも、いきなり無理はさせたくないわ」
「まだまだ働けるんですっ! 働かせてくださいっ!」

 ソフィーは頬に触れて、考える。
 彼女は思えば、初めから何かを急いでいる感じがしていた。

「シャロン。あなたはどうしてこの仕事に?」

 うっ、と声を漏らした。
 シャロンは明るい表情から一転して、自らの胸に手を当てている。まるで、手を差し出された野良犬のように、警戒したような感じ。

「そ、それは……」
「なんでもいいわよ。わたしはどんな理由で働いていても、拒まないわ」
「お、お金が欲しいから、です」

 絞り出されたそれは、ありふれた回答だった。

「そう言えば、あなたは錬金術で薬を作りたいって言っていたわね? どうして?」
「それは……お、お薬……ポーションって売れるじゃないですか……だから……」

 なんだか、とても言いづらそうにしている。

「安心して。わたしが錬金術を教えている間、ちゃんとお給料も払うから」
「ほ、ホントですかっ!? で、でも……」
「あなたが錬金術を覚えてくれたら、きっと仕事が捗るわ。だから、これもお仕事の一環」

 そこまで言って、ようやく警戒心の高い犬が、綻んだ顔をしてくれる。
 それがソフィーにはとても嬉しかった。
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