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第22話
しおりを挟む入り口を入ってすぐにミナトを迎えたのはガラス張りで平衡感覚が狂うように作られた部屋だった。
ミラールームと違い微妙に傾いた和風の建物を鏡による錯覚でまっすぐに見えるようにしたもので平衡に歩いているつもりだと変な感じで重力がかかり蟻地獄のような感じで壁の方に進む錯覚が起きるようだ。
本物だったら、壁に罠とか仕掛けているんだろうな。
そんなことを考えながらミナトは進む。
前は普通に道があるのだ、勢いを殺さないように進めばなんてことはない。
オオダ達は先に行っているのだ、少し急ごう。
ミナトは少し駆け足で先に進むと意外と早く合流できた。
「遅かったわね、ミーちゃん。
流石にここは皆でやりましょ。」
アキに迎えられて先をみると今度は迷路のようだで木製の廊下のような道がある。
アキもオオダも頭の回転が良いからミナトを待つ必要はないが、せっかく一緒にきたのだ一緒に謎を解きたかったのだろう。
オオダを先頭に迷路を進む。
子供にも大丈夫なようにヒントや謎かけも簡単に作られていてるし、大体が2択や3択の扉なので最悪、全部見てしまうというゴリ押しでも進めるようだ。
「一応、正解だけを開いてきたけど間違えたら只の行き止まりなのかな?」
「好奇心は猫を殺すというけど後悔しない?」
途中、オオダは好奇心に負けてミナトの言葉を流してワザと間違えの扉を開いた。
そこは行き止まりだったが、大きくイラストが描かれていて厠でズボンを脱ぎかけた忍者がイヤンと言った様子で此方をみているものだった。
オオダは咄嗟に、バンと音を立てながら扉を閉じる。
※これは創作の為伝わり易いように誇張して描かれているので、決して公共物の取り扱いは丁寧にするようにしましょう。
「オーちゃん、もっと優しく扉を閉めなくちゃ。」
プンプンとオオダを注意するアキ。
アキはそのままオオダの横を通り抜けて先に進むと迷路は終わりで次の案内の矢印が見える。
「ほら、さっそく後悔してるやん。」
「煩い煩い、次にいくよ。」
茶化すミナトの背中を押すようにオオダは次に進む。
そして恐らく最後の空間も錯覚の部屋で今度は倉庫を模していて小物がチラホラとあった。
特に目立つのが、座れと言わんばかりに設置された椅子。
まぁ、せっかくだし…そんな気持ちでミナトは椅子に座る。
鏡による錯覚で何だか壁に垂直につけられて椅子に座っている感覚になったが問題なく座れた。
「ミラールームはダメだけど、これは大丈夫なのね。」
「まぁ、これくらいなら…アキも座る?」
ミナトがそういと、オオダの姿が見えない。
まさかここで迷子になったのか、あの小娘は。
そう考えながら辺りを見回すと、オオダは出口の側までいた。
可笑しい…こういうのは嬉々としてオオダはやるはず…。
「オオダドン、ステイ。
君もここに座ろうか。」
ギクッ。
そんな擬音がぴったりの挙動で静止するオオダ。
嫌だともいわず、オオダは椅子に目を瞑って座る。
そして意を決するように目を開けるとやはりダメだったようで、悲鳴を上げた。
「やっぱ無理!!
ごめんて!!」
ギャイギャイと忍者屋敷をでるオオダ。
よほどあの錯覚がダメなのだろう、あんなに取り乱す彼女は初めてだ。
2人は心配そうに現れた係員の人に頭をさげてオオダの後を走って追う。
オオダは案外近くにいて、出口の近くのベンチに座っていた。
「ごめんよ、オオダ。
まさか、ここまでダメだと思わなかったよ。」
「なんか車酔いするような感じはダメなんよウチ。
驚かせてすまんね。」
アキは二人のやり取りをみた後に大きく手を合わせると、大きな招き猫のある建物を指さす。
良く見ると大きな招き猫の周りにも小さな猫もたくさんあった。
「ほら、次はあそこに行きましょ。
オーちゃん、猫が好きだったわよね。」
アキの提案にミナト達は、招き猫のある建物に向かった。
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