コバナシ

鷹美

文字の大きさ
上 下
131 / 151
第4話 

第4話 20

しおりを挟む
「それだよ、それ。
それをもう一度見たかった!」


「さっきから、何をいっているんだお前は!」


嬉しそうにそういう普斎。
頭の中が沸騰きているんじゃないかって言うくらい熱くなっている籐麻にその様子はかなり不快に感じている。

そんな様子に違和感を普斎は感じた。



「あら、気づいていない?
自分の中にある違和感に?

勿体ぶっても仕方ない…俺の刀の刀身を鏡の代わりに見てみろ。」


普斎は、刀で籐麻の攻撃を受け止めた後にその刀の刀身に月明かりがあたるように傾ける。

暗闇の中に薄らと見える自分の顔。
しかし、普段とは違うものがある。

それは、自分の瞳が灰色からスーと同じ金色に変わっていたことだ。


「瞳の色が変わったからってなんだって言うんだよ!」


籐麻は普斎が受け止めている小太刀に力をもっと込める。
金属が軋む嫌な音が響く。

このままだと折られると思った普斎は、直ぐに攻撃を受け流して籐麻から距離をとった。




「なんだもクソもないさ。
瞳の色がソレに変わった瞬間に少年の身体能力は上がっている。

特に腕力。
少年の特性は見たところ足のようだが…もし、初見だったら腕力と勘違いするくらいの力だ。」



普斎は、そう言った後に、ニヤリと笑うとそのまま距離を詰めて刀を振り下ろす。
籐麻は小太刀を交差しさせてこれを正面から受け止めた。

ギリギリと音を響かせて、刀に体重を乗せた普斎は顔を近づけて口を開く。


「その才はいい!
存分に学び発揮してくれ、俺はそれを…打ち砕きたい!」

「何を興奮しているんだよ、鬱陶しい!」


籐麻はそのまま受け流して体に回転をかけて、小太刀を普斎に振り下ろす。
振り下ろされた小太刀はあっけなく避けられて、普斎はそのまま籐麻のガラ空きの横腹を狙って刀を振った。



「そこまでだ。」


トーロはそう言いながら右手を普斎の刀に手を伸ばして刀身を握りそのまま握り砕く。
そして左手で、普斎を思い切り殴り飛した。


咄嗟に後ろに跳んでダメージを抑えていたようで、吹き飛ばされた後にゆっくりと普斎は起き上がる。



「なんだ、そこのお兄さんも規格外か?
今度からカラフルな感じの人間がいたら警戒しなくちゃなぁ。」


「情報が得られて何よりだ。
あの世の土産話にちょうどいいだろうな。」



トーロは、拳を固めてそのまま駆け出した。

大分、不利になった。
武器を失った自分と対峙するのは盾になれる男、未熟ながらも機動力と火力がある子供。

引き時か…。
普斎は大きく後ろに下がると蓮を指さす。
しおりを挟む

処理中です...