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第3話
第3話 15
しおりを挟む意外にもしっかりとした理由のあったピオ。
楓は警戒するように優の後ろに隠れ始めた。
「目的地も一緒ならピオも一緒も僕たちと同行するかい?
奇病の話もあるし…腕が良い医者がいると僕も安心だ。」
「喜んで。
私も、楓ちゃん達と一緒に行けてうれしいです。」
嬉しいのは本心なのだろう。
余所行きの大人モードの表情は保っていたが、手は我慢できていないようでせわしなく動いている。
すっかり話こんでしまった。
優達は、再び港町に向かって歩き出す。
優を先頭に空と藤麻そして後ろにいるピオは右手に楓の手を左手にスーの手を握ってニコニコしている。
「そういえば、ピオは1人で大丈夫だったの?
黙ってれば、大人しくしてたら…黙ってれば美人だから危ないんじゃないの?」
「あら、お姉さんを心配してくれるの?
やっぱり優しい子なのね楓ちゃん、チューしていい?」
釘を刺しよう2度も黙っていればと言ったのだか美人という言葉さえピオの耳に届かず、楓が自分を心配した情報しか届いていないようだ。
だらしなくとろけた表情は楓が美人と言ったピオの評価を地の底まで落とした。
ピオは他人ごとのように大笑いしている。
「ダメに決まっているでしょ!!」
ギャンギャンと吠える楓。
まるで小型犬と戯れるようにピオは楓と戯れている。
楓は弄った後のアフターケアが大事なのだが…まぁピオが子供の扱いがうまい事を祈ろう。
この後にサウンドバックとなるであろう空は、この後に降りかかる災難を覚悟するように溜息をつく。
「ピオに関しては心配しなくても大丈夫だよ。
楓より強いから。」
さらっと言った優の答えに藤麻と楓と空は、一斉にピオを見た。
スーは気にしている様子もなく温かい日差しを楽しんでいる。
楓はともかく、空と藤麻にとって他人の力量もわからないのは致命傷だ。
今後の訓練内容を見直すべきか。
呆れたように息を深く吐き出す優。
「体付きを見ればわかるさ。
ピチッとした服装で女性的な体付きが目立つけど…腕や足の筋肉の付き方は素人ではないよ。
この戦での一人旅の意味をよく分かっている。
護身術として学んだ体術は並々ならぬ努力をしてきたと思うよ。」
「あら…もう答えをいってしまうのね優様。
この後でゆっくりと大人の女性のための講座をしようと思ってたのですけど…。」
クスクスと笑うピオ。
大人の女性の講座か…惜しいことをした。
楓は、大人の女性とはかけ離れた暴れっぷりが目立つから教えて欲しかったな。
異性の自分では教えられるのにも限界があるものもある。
…ピオの宿が決まってないなら宿代を授業料としてその講座をしてもらおうか。
優は、本当にあるかも分からない謎の講座について色々と思考を張り巡らせた。
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