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第3話
第3話 13
しおりを挟む奇病が和国でも発生した以上、情報が欲しくなった。
港町に行くのは、蓮では無く優に変更になった。
連れは籐麻と空と楓。
戦闘がこなせて、あの場にいた人間だったからだ。
優としては楓が病気にかかるリスクが増えるから行かせたくなかったが…本人の強い意志で行くことになった。
友人の見送りをしたいと言われて、優は折れたようだ。
目標は盲目のスーを港町に送る事、港町で起きた奇病の情報だ。
奇病の情報は最低でも、正確な症状と致死率や回復した人間の情報は知りたい。
「やっと皆と再開できる…。
ありがとう、優のおんちゃん。」
今後のことで思考の海に沈んでいた優は、スーに声をかけられて肩をビクッと震わせた。
視線の先には、歯を剥き出しにしてニコッーと笑うスーが見える。
盲目で視線を感じられないせいなのか、スーの気配をあまり感じられない。
優はヤレヤレと首振るとスーの頭をポンポンする。
「いや、気にしなくていいよ。
無事に仲間と再会できるといいね。」
ムフーと満足げな表情を見せるスー。
東野の時と同様に今回の移動も徒歩。
朝方から出発して山道を通り、日が完全に沈んだ頃に港町に到着予定だ。
とはいえ、歩き盛りの子供達が一緒だからもう少し早く着きそうかな。
天気も快晴。
風を使って周りの索敵をしても危なそうな人間や動物もいない。
あまりの長閑さに気が抜けそうだが、油断しないように気をつけよう。
「とりあえず、疲れたら言ってね。
そこで休みがてら昼食にしよう。」
本日の弁当は、桜お手製のおにぎり。
勿論、スーにも配布されておりお握りの包んだ布を嬉しそうに腰にぶら下げている。
山道を進み、大きくひらけた場所に着く。
恐らく山頂だろう。
ひらけた場所から振り返って見えた景色には、和国や東野が見える。
そして、進んでいる方角から景色を見ると港町と大きく広がる海が見える。
優は海を見た事があるが、子供達は初めてなのだろう。
皆が目を輝かせて眺めていた。
「…そろそろ、お腹も空いてきた頃かな。
ここでお昼休みにしようか。」
そんな子供達の様子を見てクスッと笑った優は、穏やかにそういう。
子供達…主にスーの声がやったーと辺りに響き渡る。
こういう道には景色を眺めながら座れる石が設置されており優達はそこに腰を下ろした。
こんなにも子供達に囲まれて食事をした事があっただろうか。
優は、そう考えながらのんびりとお握りを頬ばった。
「ピオに最後に会えなかったのは、ざんねんだったねぇ。」
スーは唐突に話を切り出した。
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