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第二話
第二話 18
しおりを挟む「ふむ…樹海から来たのなら身分証を持ち合わせていないのかな?」
「うーん、残念ながらないね。
だから身分証が必要な和国と倭は諦めたルートになっているんだ。
こんな立派な川があるんだ、港までもうすぐかな?」
護の問いにスーは、さっぱりと答えると懐から地図を取り出す。
おそらく川にそって歩けば港に着くと思ったのだろう。
和国からそんな離れていないとはいえ、かなりズレて進んでいたようだ。
蓮は申し訳なさそうに、頭を掻いて口を開く。
「すまんのぅ、スー。
ここから港町まで結構距離はあるぞ。
今は、どちらかと言えば和国の方が近い。
…現在位置はココじゃ。」
蓮が指さした場所を見たスーは、明らかに固まった様子だ。
どことなく全身が白く感じる。
よく蓮が指さした場所がわかったな。
籐麻はそう思いながら二人の様子を見ていた。
「…うーん。
籐麻や空という例がある。
今回は保護と言う形で、和国に入る事を許可しよう。
流石に、この年の女の子を野ざらしにしたくない。」
「え、本当に!?
ありがとぉぉ!!
オイラ、仲間以外に親切にされたの初めてだ。
いい人、本当ぉーにいい人!!」
護がそう言うと、スーは表情をパァッと明るくさせて護の右手を両手で握り上下に沢山振る。
護について何も紹介していないのだが、身分証が欲しい国に対して身分証が無くても大丈夫と言える身分のものに良くあの態度ができるものだ。
度胸があるのか、頭が悪いのか…。
「もう夜にもなるしスーちゃんの今後は、明日考えるとして…当分の間は私達の所にいなさい。
歳が近そうな椿がいるから、何かと不便な事もないでしょう。」
「わーい、ありがとう。」
桜がそう言うと、嬉しそうにそう言いながらスーは桜に抱きついた。
本当は見えているのでは?
四大を使っている気配がない為、蓮は少し驚いた様子で見てみる。
「それでは、話もまとまった事だし帰ろうか!
夜道は危険だ。
餓鬼どもは、拙者の所に集合だ。」
ワッハッハと笑いながら、そう言う剛に籐麻達は集まる。
いこっか。
それだけを呟いた椿は、スーの手を引いて剛の元にいく。
危険とは言ったものの、この川辺は和国の関所から15分くらいの場所にある。
自己紹介しながらあるけば、あっという間の距離だ。
関所の人達も、無駄に明るい女の子の姿は流石に素通りはできなかったようで護と少し話をした。
そして、なんと説教されていた。
高貴な人なのだから、身分が分からない者を不用意に近づけて何かあったらどうするのだと。
今回の関所の当番は、城で留守番している爺と同期の男で爺と同様に護の先生や親のような者だ。
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