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第二話
第二話 7
しおりを挟む「避けなさい!!」
振り下ろされた木刀を防ごうと木刀を前に出した藤麻。
しかしずっと静かだった楓が藤麻に向かってそう叫んだ。
とっさの事だったが、藤麻はなんとか受け止め方を変えられた。
受け流すように体を捌き木刀で受け流すようにしたが…いとも容易く木刀は砕かれた。
砕かれた木刀を握っていた右手は痺れ、持っていた折れた木刀を手放す。
「訓練なんだ、折れた木刀の代わりが欲しいなら待っててあげるけどどうする?」
淡々とした視線と言葉を言い放つ空。
自分はこんなに負けず嫌いではないのにな…。
右手の痺れを我慢しながら、左手でもつ木刀を両手で握る。
空もそんな藤麻の様子を見るように動きを止めていた。
今の自分が空に勝つには、武器を弾き力の入らないように関節を抑えて力と動きを封じ込めるのが一番現実的だろうか。
藤麻は、すこし賭けに出た。
先程と同じように細かく左右に動き、錯乱させるように動く。
空は、慎重で真面目な男のようで、同じ手だと慢心や思い込みもせず丁寧に藤麻を目で追う。
藤麻はさらに速度を上げる。
並みの人間なら目で追えないだろう。
今度は右側の視覚から木刀を突き出そうと動く。
空も先ほどと同じように木刀で薙ぎ払おうとしたが、藤麻は寸前の所で素早く後ろに下がった。
素早さと気迫で攻撃が来るように錯覚させるフェイントだ。
思い切り空振りして、隙だらけになった空の木刀目掛けて自分の木刀を突き出して空の木刀を真上に弾き飛ばした。
そこを追撃しようとした常呂で後ろから蓮に腕を掴まれて止められた。
「これ以上はやる必要は無いじゃろう。
この試合は藤麻の勝ちじゃ。」
空も空で、いつの間にか藤麻の前にいた優に後ろに引っ張られていたようで優の足元で尻餅をついていた。
上に弾かれた木刀は楓が回収していて、元の場所に戻そうと歩いている。
優は、空の手をぐいと引っ張り立ち上がらせた。
「空は力任せすぎるね。
次は相手の動きを見切り自分の腕力ではなくて、相手の力を利用して戦う事。
藤麻は腕力と初見の相手の観察力が足りないかな、楓が教えてくれなかったら君は大怪我してたよ。」
そんな反省会をしていると、今度は自分と言わんばかりに楓が藤麻と優の側にいた。
藤麻はえっ…と困惑した表情をしていたが、優は諦めたように溜息をつくと空と一緒にゆっくりと2人から離れる。
蓮は優とは逆に楽しそうに離れた。
女の子だ、怪我をさせないように気を付けなければ。
そんなことを考え、木刀を手放して藤麻は構える。
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