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第一話
第一話 9
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全員が集合したら、東の部屋で情報の共有を始めた。
集落を侵略した矢島。
四大の火を扱う刺客達。
出どころ不明の奴隷達。
恐らく東野の襲撃を依頼されていた忍者。
「検討だけならついている。
〝倭(やまと)〟だろうな。
威が亡くなってから、大人しくなっていたが…。」
護は、顎に手をかけて唸りながらそういった。
倭。
他国から戦と呼ばれるこの国で最も大きい領地だろう。
東野や和とはかなり離れた位置にあり、海や崖に囲まれている戦で唯一他国が侵攻しやすい道が存在する。
しかし、最大の領土というだけあり純粋な兵力が多いため侵略にあっても返り討ちにし続けてきた。
他国による侵略を防ぐ為に、戦を統一し強固な国として行動したい…となれば辻褄はあう。
「倭は…どうだろう、彼処は神々の信仰が一切なかった。
あの忍者は威を神格化していたから、神に頼らず人の力でがモットーのあの領主が指示を出したとは考え難い。」
優は、そう護に返した。
護が唸った理由はコレだ。
神の力を信頼せず…神童などと呼ばれているものでさえ排他し続けてきた場所だった。
そんな場所が今更、威を神として崇めるとは到底思えない。
「侵略があった事は事実。
あまり後手に回ると、ちと…しんどいんじゃないかのう?
なんども攻められる間に、敵の勢力な大きくなってしまったら取り返しがつかなくなる。」
「戦か!?
拙者に任せておけ!
小賢しい奴らをまとめて蹴散らしてやろう!
あーはっはっは!」
蓮は、攻めの事も考えないといけないと言ったつもりだっただが…蓮の横にいた脳筋の剛は違うようで、話の腰を粉々に粉砕するようにそう叫ぶ。
こんの大馬鹿者と、蓮は小ささため息をついた。
「ならば、無難に尾行をしよう。
敵の本拠地が分かれば、そこから証拠なり手掛かりなりがでてくる。
適任は…誰だろうか。」
東は、話を変えるようにそういった。
機動力があり、知名度もない…離脱のし易さを促す程度の戦闘ができるそんな人物が理想。
「私が適任でしょう。
武器も小太刀と小さめなもので…父上程ではないですが私も朱雀がつかえます。」
蓮の隣に座っていた椿は、護達は納得した表情を浮かべていたが娘を危険な目に合わせることに多少なり抵抗があるようで複雑な表情を浮かべている。
そんな蓮の気持ちを知ってか大介は、パンパンと手を叩いて鳴らした。
「話は共有され、方針も定まったのです。
いったんお休みになりましょう、根詰めて会議をして体力を削っても敵の思うつぼですから。」
東は、そうだな…と呟くと会議を中断して使用人に護達を客室まで案内させた。
集落を侵略した矢島。
四大の火を扱う刺客達。
出どころ不明の奴隷達。
恐らく東野の襲撃を依頼されていた忍者。
「検討だけならついている。
〝倭(やまと)〟だろうな。
威が亡くなってから、大人しくなっていたが…。」
護は、顎に手をかけて唸りながらそういった。
倭。
他国から戦と呼ばれるこの国で最も大きい領地だろう。
東野や和とはかなり離れた位置にあり、海や崖に囲まれている戦で唯一他国が侵攻しやすい道が存在する。
しかし、最大の領土というだけあり純粋な兵力が多いため侵略にあっても返り討ちにし続けてきた。
他国による侵略を防ぐ為に、戦を統一し強固な国として行動したい…となれば辻褄はあう。
「倭は…どうだろう、彼処は神々の信仰が一切なかった。
あの忍者は威を神格化していたから、神に頼らず人の力でがモットーのあの領主が指示を出したとは考え難い。」
優は、そう護に返した。
護が唸った理由はコレだ。
神の力を信頼せず…神童などと呼ばれているものでさえ排他し続けてきた場所だった。
そんな場所が今更、威を神として崇めるとは到底思えない。
「侵略があった事は事実。
あまり後手に回ると、ちと…しんどいんじゃないかのう?
なんども攻められる間に、敵の勢力な大きくなってしまったら取り返しがつかなくなる。」
「戦か!?
拙者に任せておけ!
小賢しい奴らをまとめて蹴散らしてやろう!
あーはっはっは!」
蓮は、攻めの事も考えないといけないと言ったつもりだっただが…蓮の横にいた脳筋の剛は違うようで、話の腰を粉々に粉砕するようにそう叫ぶ。
こんの大馬鹿者と、蓮は小ささため息をついた。
「ならば、無難に尾行をしよう。
敵の本拠地が分かれば、そこから証拠なり手掛かりなりがでてくる。
適任は…誰だろうか。」
東は、話を変えるようにそういった。
機動力があり、知名度もない…離脱のし易さを促す程度の戦闘ができるそんな人物が理想。
「私が適任でしょう。
武器も小太刀と小さめなもので…父上程ではないですが私も朱雀がつかえます。」
蓮の隣に座っていた椿は、護達は納得した表情を浮かべていたが娘を危険な目に合わせることに多少なり抵抗があるようで複雑な表情を浮かべている。
そんな蓮の気持ちを知ってか大介は、パンパンと手を叩いて鳴らした。
「話は共有され、方針も定まったのです。
いったんお休みになりましょう、根詰めて会議をして体力を削っても敵の思うつぼですから。」
東は、そうだな…と呟くと会議を中断して使用人に護達を客室まで案内させた。
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