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第一話
第一話 4
しおりを挟む優は直ぐに、左手で手を守る形状の剣を鞘から抜き火を振り払う。
「なるほど、襲撃の日に指揮官がいないからおかしいと思ったけど君達だったのかな。」
そういうと、優は右手で刀身が厚い剣を抜き銃に変形させると茂みに一発撃つ。
茂みから少し血が吹き出し、小さな悲鳴が聞こえる。
そして、元の剣に戻して自分に対面する侍に向かって走り出した。
侍は左手に鞘を握り右手の刀と擦り合わせて火花を起すと回転して縦に刀を振る。
【車火(くるまび)】
優は左手の剣でそれを受け止めると、そのまま右手の剣で左手の剣を打ち付ける。
【白虎(びゃっこ)】
キーンと甲高い音がしたと思ったら、優の前にいた侍が切り刻まれた。
侍は少し血を口から吐くと剣を落として膝をつく。
そのまま、優は足で侍を蹴り飛ばすと残りの敵に向かって前に走り出す。
が…優は途中で足を止めた。
両手の武器をしまう様子を見ると逃げられたのだろう。
茂みに隠れていた人間を右手で引っ張り出すと蹴り飛ばした侍の方に向かって積み重ねるように投げた。
「…これなら、1人くらい生かして置いてもよかったかな。」
あーあと気だるそうにしている優だったが、直ぐに考えを切り替えて東の元に行く。
「怪我はないかい、東様?」
あっという間に賊を2人も倒した優に動揺はしていたが、東は大丈夫だと返した。
風をつかい改めて索敵してみるが、侍の仲間とか特にいなさそうだ。
「日も沈んだ、とりあえず屋敷に戻ろう。
優殿も問題ないか?」
「分かった。
東様は、先頭に…左右は籐麻とツバキ。
殿は僕が。」
優は侍達の武器を取り上げると、死体はそのままにして城にむかった。
遺体は、明日の明るい頃にでも城の兵達と共に回収すればいいだろう。
武器や遺体の解析は、蓮や護がいないと進まない。
やれやれ、行って帰ってくるだけだと考えていたが…長旅になりそうだね。
優は、敵の襲撃に警戒しながら留守番をしている娘に想いを馳せた。
長く家をあけたのだ、お土産でも用意しなきゃ拗ねるだろうか…。
そんな事を考えているとあっという間に城につく。
「異変はなかったか?」
城についてすぐに、東はそう門番と話を始める。
そんな中、優は籐麻を見た。
「籐麻、僅かな時間だったけど…僕が斬った侍は四大の火の使い手だった。
敵の動きは見ていたかな?」
「…技を繰り出す前に必ず火花が散っていた。」
優は、籐麻の問いに満足そうに頷き籐麻の頭をポンポンした。
…やるじゃないか、〝空(そら)〟もこれくらい思考や視野が柔軟に育つといいんだけど。
優は、和にいる自分達の教え子の1人の事を考える。
まぁ、順番は人それぞれとしてあの子には、まずはすぐに泣く癖をどうにかさせないと…。
そんな事を考えていると、東の話は終わり城の中に共に戻っていく。
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