Nora First Edition

鷹美

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第十五話

第15話 7

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「おいおイ。
教育は、洗脳じゃねーヨ。

グラムジーさン。」




2人の間に上手く入り込んだ、一つの影があった。
短い黒の毛並みの獣。


忘れもしない、サヤの仇の一つでもある“クロ”と呼ばれた獣だった。
グラムの拳を両手にそれぞれ握った二本の刀で受け止めている。



「貴様は、つくづく厄介だナ!
クロ!!

何故、その人間を庇ウ!!」


グラムは声を荒げてクロをみている。
素手で殴っているはずなのに、刀の方が負けている事に冷や汗をかきつつもクロは不敵な笑みで口を開く。


「もう、止めにしよーゼ?
意思疏通ができる人間を奴隷する下らないこト。

自分が世界の中心だと本当に思っている傲慢な愚か者が“人間”だとジーさんはいってたが、今の俺達も大差ねーじゃン?

そこの嬢ちゃん、大した怪我をしていないのだロ?
ここは、俺がなんとかするから仲間の元へ帰えんナ。」


「なっ…!」



カナが何か言葉にしようとしたら、クロの刀が粉々になった。
その衝撃で、2人は後ろにとばされていく。


クロは頭を摩りながら、ゆっくりと立ち上がる。



「…ぃってーナ。
こんな小娘一人になに、マジになってるんだよジーさん。

アンタの気絶の攻撃力の基準は、刀身粉々かおイ。

嬢ちゃんは大丈…。」



クロかカナに手を差し出したらカナは力強くその手を叩いた。
キッと睨みつけるカナを見て苦笑いを浮かべた。



「まぁ…お前さんが言いたい事は…分かるヨ。


俺は、お前さん方の仇の一人…だもんナ。」



クロはそう言うと、落ちてある刀を拾う。
そしてキョロキョロと見回した。


「…アイツらは撤退したのカ?」


「あぁ、私の攻撃に巻き込まれないようにナ。」



クロは、少しだけ鼻で笑うと刀を一振りする。

“エレメントスティック”

クロとカナの周囲に五つの属性のダイア型の塊が浮遊して出現した。




「仲間の命を優先し過ぎたカ…。

相変わらず、爪が甘いと言うか…なんと言うカ。
まぁ、そのおかげで俺は助かったんだけどナ!!」




クロはグラムに向かって走り出す。
グラムはため息をつくと、クロの後ろに素早く回りこみ頭を左手で鷲掴みにした。



「ハーフコネクト。
パターン コフィン。 」


グラムのもつブリューナクが半分くらいまで分裂させ、棺桶のように連結させていく。
そして、乱暴に壁まで投げ飛ばした。



「…お前は後で、説教ダ。
そこで大人しくしていロ。」


グラムは、呆れたように表情を作りカナを見直す。
首を軽く鳴らしながら、ゆっくりと歩き出す。



「仕切り直し…ですカ。」


カナは、ゆっくりと立ち上がり苦い表情をした。
クロが肉体強化をしていなかろうが、アッサリとグラムは倒している。

当時、ノラ最強だったサヤを倒したクロを。


“アクアショット”



突然、空からグラムに向かって水弾がマシンガンのように降ってきた。


「…ハーフコネクト。
パターン、シールド。」



グラムは、残りの槍を全て分裂させると水の弾幕を防ぐ。
そして、カナのそばに一つの影が降ってきた。


ゴーグルを額につけたボーイッシュな格好をした青髪の女の子。


「カナちゃん、無事?」

「ティア殿!!」



ティアは、カナの無事を確認すると両手をグラムに向ける。


「お願い、私達を助けて。」




“アクアフィールド”



グラムの周りに大量の水流が出現した。



“アクアショット”


グラムの動きを封じながら、水流から大量の水弾が放たれる。



グラムは、直ぐに槍を分裂させて自分の周囲に浮遊させて防ぐ。
そして、その間にティアは左手を斜め上に大きくふり細い水の糸をグラムの頭上にまで伸びるように作る。



“アクアシフト”


ティアは、姿を消したかと思うとグラムの頭上にいた。
そして、右手には大きな水の塊がある。

それをグラムに向かって叩きつけた。



“アクアストライク”



流石のグラムも目を見開いて、攻撃を食らう。
ティアは着地と同時にグラムの体に触る。



“アクアリジェクト”



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