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第十四話
第14話 15
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ークロ saidー
転移されたクロは、慣れた様子で本拠地に自力で帰還した。
自身の持つ緊急用の薬でサヤの応急処置を施していたようで米俵のように肩に担いで親玉のグラムの報告から戻っている途中だった。
「クロ隊長!
それが、人間側の英雄ですカ!?」
「あぁ、そうダ。」
近くを通りがかった獣人達もサヤを見て笑みを浮かべていた。
その後ろから、白毛の獣が現れる。
「よう、クロ。」
「よう、シロ。」
二人は、ヘラッと笑いながらそう言った。
白毛の獣〝シロ〟は、サヤを品定めするように眺める。
「お前が人間風情に負けるとは思ってなかったが…珍しくインフィニティを使ったのカ。」
「まぁナ。
使わなかったら、俺も無事では済まなかったナ。
“血脈[けつみゃく]”まで使ったし、一歩間違えれば死んでたヨ。」
シロは、サヤから流れるようにクロの腰にある刀を見た。
一目で発動痕を見つける所をみると隊長と呼ばれることはある。
「んデ?
そのメスはどうするんダ?
中々の上物だし、能力はお前と戦って確認済…才能あふれる子供ができそうダ。
お前には、苗床がいないし丁度いいんじゃないカ?」
「んや…苗床にしなイ。
勿論、実験体にもしなイ。
…公開処刑すル。」
嬉しそうに話すシロに対して、クロはあっさりと死刑宣告をした。
流石に他の獣も驚いた様子だった。
「何故でス!?
殺す位なら…私が貰いまス!!
仲間を沢山殺られたんだ、そのくら…。」
その瞬間に、その獣の周囲に四属性の柱の結晶が複数刺さる。
獣も話の途中だが、クロの攻撃を見ると怯えた様子で話を止めた。
「意義や異論は、認めなイ。
仲間を殺されたなら、尚更ダ。
俺たちの仲間は、実験動物に殺されたのカ?
子供を産むために作ったメスに殺されたのカ?
…違うだロ!?
俺たちの仲間は、自分や仲間の力を信じプライドと信念を持って戦っタ。
人間側には、そうじゃない奴もいるが…少なくともこの女は違ウ。
俺の話に対して最大の力と敬意を払っタ。
だから、俺はその敬意を無下にせず…敵兵の将として然るべき対応をさせてもらウ。」
「俺の決定ダ。
お前も異論はないよな…シロ!」
「クロの決定ダ。
俺に異論はないサ。
まぁ、人間側にも処刑を見せれば人間側の士気を大きく削れるし…何よりこっち側の士気は上がる。
メリットはある…惜しい気もするがナ。」
シロは、ピリピリとしているクロの肩をポンポンと叩き軽くウインクした。
それに頭が冷えたのか、フゥーっと深く息を吐きだして先ほど出した結晶柱を消す。
「グラムじーさんには、好きにしろって言われたからこれから牢獄に突っ込んでくル。
見張りは、俺がやル。
雑魚じゃ、逃亡されるし…何より自分で決めたことだしナ。」
「…そうカ。
なら、当分はお別れダ。
公開処刑が終わったら、一杯やろうヤ。」
シロはそう言うと、手をパタパタさせてクロの元を離れていった。
クロも、先程の獣にやり過ぎたと軽く謝罪して牢獄に向かう。
ついた牢獄は、苗床や奴隷を捕獲するような場所ではなく…禁忌を犯した獣などが入れられる強固なものだった。
「ほら、ついたゾ。
いつまで意識を失ったフリをしてるんダ?」
「…あっはっは。
バレちゃった?」
クロは、誰も居ないのを確認するとサヤに話しかけた。
サヤも軽く笑っている。
その様子を見るとサヤの怪我も殆ど治っているようだ。
人間の癖に思ったより頑丈な体だ。
呆れたように息を吐き出したクロは、牢屋の中にゆっくりと担いでいたサヤを下ろすと牢の外に出て鍵を閉めた後に側にある椅子に座る。
「気分はどうダ?」
「随分と物好きな獣だねぇ。
サヤさんの体調は良好だよ。」
サヤは牢の中をウロウロして過ごしやすい環境を作り始めた。
「獣じゃない、獣人ダ。」
「ふーん。
クロ…だっけ?
なんで、サヤさんの監視を志願したの?
確かにキーウエポンを引き寄せられるけど…色欲でサヤさんの力を封じてるから別に雑兵でも問題ないじゃない。」
名前は覚えてるんだな。
そうボヤくように椅子の背もたれに寄りかかる。
そして、ゆっくりと口を開いた。
転移されたクロは、慣れた様子で本拠地に自力で帰還した。
自身の持つ緊急用の薬でサヤの応急処置を施していたようで米俵のように肩に担いで親玉のグラムの報告から戻っている途中だった。
「クロ隊長!
それが、人間側の英雄ですカ!?」
「あぁ、そうダ。」
近くを通りがかった獣人達もサヤを見て笑みを浮かべていた。
その後ろから、白毛の獣が現れる。
「よう、クロ。」
「よう、シロ。」
二人は、ヘラッと笑いながらそう言った。
白毛の獣〝シロ〟は、サヤを品定めするように眺める。
「お前が人間風情に負けるとは思ってなかったが…珍しくインフィニティを使ったのカ。」
「まぁナ。
使わなかったら、俺も無事では済まなかったナ。
“血脈[けつみゃく]”まで使ったし、一歩間違えれば死んでたヨ。」
シロは、サヤから流れるようにクロの腰にある刀を見た。
一目で発動痕を見つける所をみると隊長と呼ばれることはある。
「んデ?
そのメスはどうするんダ?
中々の上物だし、能力はお前と戦って確認済…才能あふれる子供ができそうダ。
お前には、苗床がいないし丁度いいんじゃないカ?」
「んや…苗床にしなイ。
勿論、実験体にもしなイ。
…公開処刑すル。」
嬉しそうに話すシロに対して、クロはあっさりと死刑宣告をした。
流石に他の獣も驚いた様子だった。
「何故でス!?
殺す位なら…私が貰いまス!!
仲間を沢山殺られたんだ、そのくら…。」
その瞬間に、その獣の周囲に四属性の柱の結晶が複数刺さる。
獣も話の途中だが、クロの攻撃を見ると怯えた様子で話を止めた。
「意義や異論は、認めなイ。
仲間を殺されたなら、尚更ダ。
俺たちの仲間は、実験動物に殺されたのカ?
子供を産むために作ったメスに殺されたのカ?
…違うだロ!?
俺たちの仲間は、自分や仲間の力を信じプライドと信念を持って戦っタ。
人間側には、そうじゃない奴もいるが…少なくともこの女は違ウ。
俺の話に対して最大の力と敬意を払っタ。
だから、俺はその敬意を無下にせず…敵兵の将として然るべき対応をさせてもらウ。」
「俺の決定ダ。
お前も異論はないよな…シロ!」
「クロの決定ダ。
俺に異論はないサ。
まぁ、人間側にも処刑を見せれば人間側の士気を大きく削れるし…何よりこっち側の士気は上がる。
メリットはある…惜しい気もするがナ。」
シロは、ピリピリとしているクロの肩をポンポンと叩き軽くウインクした。
それに頭が冷えたのか、フゥーっと深く息を吐きだして先ほど出した結晶柱を消す。
「グラムじーさんには、好きにしろって言われたからこれから牢獄に突っ込んでくル。
見張りは、俺がやル。
雑魚じゃ、逃亡されるし…何より自分で決めたことだしナ。」
「…そうカ。
なら、当分はお別れダ。
公開処刑が終わったら、一杯やろうヤ。」
シロはそう言うと、手をパタパタさせてクロの元を離れていった。
クロも、先程の獣にやり過ぎたと軽く謝罪して牢獄に向かう。
ついた牢獄は、苗床や奴隷を捕獲するような場所ではなく…禁忌を犯した獣などが入れられる強固なものだった。
「ほら、ついたゾ。
いつまで意識を失ったフリをしてるんダ?」
「…あっはっは。
バレちゃった?」
クロは、誰も居ないのを確認するとサヤに話しかけた。
サヤも軽く笑っている。
その様子を見るとサヤの怪我も殆ど治っているようだ。
人間の癖に思ったより頑丈な体だ。
呆れたように息を吐き出したクロは、牢屋の中にゆっくりと担いでいたサヤを下ろすと牢の外に出て鍵を閉めた後に側にある椅子に座る。
「気分はどうダ?」
「随分と物好きな獣だねぇ。
サヤさんの体調は良好だよ。」
サヤは牢の中をウロウロして過ごしやすい環境を作り始めた。
「獣じゃない、獣人ダ。」
「ふーん。
クロ…だっけ?
なんで、サヤさんの監視を志願したの?
確かにキーウエポンを引き寄せられるけど…色欲でサヤさんの力を封じてるから別に雑兵でも問題ないじゃない。」
名前は覚えてるんだな。
そうボヤくように椅子の背もたれに寄りかかる。
そして、ゆっくりと口を開いた。
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