Nora First Edition

鷹美

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第十三話

第13話 21

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すると、今度は闇そのものが空から降ってきた。
闇は絡まった蛇のように球体状で蠢きそして解放する。

「…こればかりは、面倒そうだね。」


ナツは、そう言うと獣人を解いた男を適当な場所に転移させる。

解放された球体状の闇からは、一人の男が現れた。

顔の半分以上を包帯で巻いている黒髪の男だ。
服は普通にワイシャツとスボンを着ていて包帯の隙間から覗く緑色の双瞳はナツを正確に捉える。


「貴様が侵入者…か。
ナんとも、脆そうな男だな。」



「あんまり人を見かけで判断しないものだよ!」



ナツは、そう言うと足元の石を蹴り飛ばした。
石は正確に、男に向かって言ったが闇の壁のようなもので遮られる。


「少しだけなら、貴様らのやり取りは見ていた。

がードは、可能なのだろう?
シかも、色欲も…能力をある程度把握しなければ無効化できないのだろ。

ソの証拠に、獣人化を無効化しないで暴食を無効化にしてから無力化していた。
決定的なのは、攻撃を防いでも私の能力が封じられていないしな。」



男は、そう言うと姿を消した。
転移の類なのだろうが、まったく補足ができない。




「生憎、これは似ているが転移ではない。」


男は腕を振り上げた状態でそう言うと、手の上に集めた闇の力を振り下ろすと共にナツに叩きつける。

闇は、男の上半身を軽く包むような大きさで掌のような形をしていた。



ナツは、とっさに槍と反射と引力を使い力を分散するものの地面が大きく割れる。

「まったく、とんだビックリ人間だよ君は。」


ナツはそう言うと、直ぐに転移で距離をあけて、右手を男に向ける。
すると、男を中心に大量の瓦礫が飛んできた。

男は、周囲に帯状の闇を展開して瓦礫を防ぐ。


「これ位は予測済みさ。
本命はこれだよ!」


ナツはそう言うと、両手をバンッと合わせた。

すると、男の周りの空間が歪む。


ニヤリと笑ったナツは、そのまま力を込める。


「引力と重力を掛け合わせた人口ブラックホールさ。
存分に召し上がってくれよ!」



歪んだ空間は、男を瓦礫ごと押しつぶした。
だが、殺気は消えていない。



「殺ったか…なんて言わないのだな。
私はてっきり言うもんだと思ったよ。

本命とまでいっていたのだからな。」


「あぁ、それは君の能力を知るための事だよ。

君の移動法は分かったよ。

…影と影の間を無条件で高速シフトする。
あくまで影の中にいることが前提だけどね、かなかな不可思議な移動法を使うね。

それと、僕は死亡フラグを口にする気はないよ!」


男はナツに離れた距離ではあったが、後ろの方に移動すると闇色の帯に包まれた右手を上にあげて大鎌を持った死神のような風貌をした骸骨が三体も男の足元から出現させた。


「やれ。」


男が短い命令を出すと骸骨達は、ナツに向かって飛んでいく。


ナツは空いた左手を振り上げて暴食の壁を出現させるとそれで骸骨達を吸収する。


「僕に勝ちたいなら生身でぶつかってきなよ。」

「…体格の割には動けるな。
一般兵にも見習わせたいものだ。」




男はそれだけを告げると、ナツに向かって走り出す。

男は右手を振って闇色の帯をナツに向かって伸ばした。
帯は弧を描き地面を抉りながら、正確にナツを補足する。

ナツは、直ぐに男の後ろまで転移のするとバリバリと左手に白い雷を溜めて男に振り下ろす。

男は、体中から黒い帯を放ちナツを吹き飛ばした。

ナツは直ぐに受け身を取って体勢を整えて埃を払うように服を叩く。



「さっきの獣人化のやつのように強欲で時間を巻き戻して能力解除が目的なのだろうが…力を溜めて行使する神話継承使いには、半端な巻き戻りは無意味だ。」



男は、そう言いながらナツを睨む。
それに対してナツはふぅっと息を深く吐いた後にギロリと睨み返した。



「君のようなタイプは、力任せの方が効果が高いのかな。」



ナツはそう言うと、槍を力一杯投げた。
槍は、銃弾のように飛んで行く。


男はとっさに闇色の帯を重ねるように盾にしたが…簡単に貫通する。
男はとっさに体を捻ったが、肩を貫いた。
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