Nora First Edition

鷹美

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第十三話

第13話 18

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「これで、僕は完全な犯罪者だ。


ドグマも普通の精神じゃない様子だったから…傲慢についてる神経や精神を弄る能力にでもやられたかな?

まるで、怒っていたようだね…。

これは、憤怒と名付けよう。

ハハ…なんだ。
僕の作ったインフィニティの能力は、人の罪そのものじゃないか。」


「…なるほど、理に適っている。

そしたら、あとの4つの名前はどうなる?」




声が聞こえる方を見ると、自衛団を引き連れたアステラがいた。
両手には、双銃が握られている。

銃口にそうように刃のついた、彼の最も得意とする武器。

…本気なのだろう。



「転移の嫉妬。

吸収の暴食。

反射と引力の怠惰。

時間操作の強欲。

…かな?」

「わかった、明日あたりに名前の申請をしておこう。

ナツよ、どうして私がくるまで持ち堪えられなかった?」



アステラは、身構えてそう言う。
ナツも武道の多少の心得があるためか、2人の間にヒリヒリとするような緊張感が出ている。

そんな空気をナツはクスッと笑ってぶち壊した。


「…さぁね?
立派な犯罪者になったことだし、周りを気にせずボイスレコーダーのもう1人を探してみるのもいいか。

とりあえず…この国のトップの所に行ってみよう。」


ダーインは、焦った表情を見せた後にナツの膝を狙って撃ち抜いた。
だが、水に写ったものを斬ったように揺らいで、元に戻る。


「探せ!

相手は、ほぼ最強のインフィニティの適合者。
武道の心得もある一人では決して相手をするな。

4人1組を原則として行動せよ!

なお、インフィニティの使用を許可する。
ナツの持つ傲慢のインフィニティの範囲に気をつけろ。

以上だ、行け!!」



アステラは、迅速に指示を出した後に辺りを見回して直ぐに探索を始めた。


全員がいなくなると、物陰からナツが出てきた。
側にはロイも一緒だ。



「これからどうする、教授?」

「宣言通りさ。
家でのんびり休んだ後にニースのいる軍事施設を襲撃して真実でも探る。

その後の事はそれから考えようかな。」



ナツはそう言うと、ゆっくりと自宅に向かって歩き出す。
ロイも後を追うようについていく。



「…俺も行く末が知りたい。
だから、教授の手助けをしたい。」


「…そう。
そしたら、これをあげるとしようかな。」


ナツは、靴底を弄ると一つの指輪を投げ渡す。
ロイは、不思議そうにそれを受け取った。

今まで、ロイがナツから物を貰う事はない。
助手としての給金くらいだろう。



「 能力無効化の色欲。

給金代わりにこれをあげよう。」

「ありがとう、教授。
感謝する。」


翌日、ナツはニースの屋敷を襲撃した。


「撃てーっ!!」


司令官の指揮と共に、一斉に門から銃弾が飛んでくる。
ライフル、ガトリングガン、レールガン、バズーカなど様々だ。



だが、ナツは簡単に銃弾を弾いた。
両手をポケットに入れてただ歩くだけの行為で。




「…無闇に弾を無駄にする事はないよ?」



ナツはそれだけを言うと、右手を振った。
白い光で出来た手のようなものが、兵士達や大砲などの兵器を包むと服を着た兵士だけが残る。


「服も消してよかったんだけど、流石に…ね?」


ナツはそれだけを告げると、引力で重力を強化して兵士達を押さえつけた。
全員、うつ伏せになってナツの進入を許してしまう。
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