Nora First Edition

鷹美

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第十三話

第13話 9

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「とりあえず、アイク博士はここで待ってくれ。」

「まて、見張りも何もないんだ。

罠丸出しじゃねーか。」


アイクの制止をナツは気にもせずに、知っているさ…っとだけ言って入口まで移動する。

入口に入った瞬間に前方から大量の矢が降ってきた。
恐らく、足元とかに糸などがあり無意識の内に踏んだが切ったかしたのだろう。


「まったく…ベタな話だ。」


ナツが呆れたようにボヤくと全ての矢がナツの目の前で停止した。
それと同時に獣達が一斉に出てる。


「バレバレだったゾ。
にんげ…。」

「小物臭ただよう一言をありがとう。
ご覧の通り僕は、ピンピンしているよ。

こんな事になっているんだ。
次のパターン位は先読みできるよね?」



ナツがそう言うと矢の先が獣達の方に向いた後に一斉に放たれた。
矢は正確にまでとはいかないが、避けきれなかった獣に刺さっていく。


「さて…。
素直に撤退するか、このまま戦うかを選ばせて上げよう。

どちらがいい?」

「ふざけるナ!
逃げる気など無いし、仮に撤退を選んでも逃がす気などないのだロ!?」



ナツは獣の怒鳴るような返答に耳を塞ぐような動作をするとヤレヤレという形で右手を上げる。



「精神状態はともかく、生かして返そうとは思っていたんだけどね。」



ナツが左手で指を鳴らすと、周囲の天候が変わる。
柵の周りを遮るように拠点を中心に大きな竜巻が発生した。


かなりの強い風で、一匹の獣が突破しようとしても内側に向かうように弾かれてしまっている。



「貴様、噂の森羅万象使いカ!?」

「いや?
只の科学者だよ。」


ナツがそう言うと、獣の一体を引き寄せると獣の頭を鷲掴みにした。

そして、力を入れる。
メキメキと獣人の頭を握り潰した。

獣人や、体をかけたアイク達なら可能だろうが何もしていないナツには不可能。
でも、ナツは平気な顔をしてそれを行った。



「…ふむ…あまりいい気分ではないね。」



ナツは、そう言うと乱暴に死体を投げ捨てる。
返り血などは一切ついていない。

「…っひィ!

化け物めェ!」


獣がそう叫ぶと、必死になって走り出した。
残りはどうやら、あの一匹だけのようだ。



火事場の馬鹿力なのだろう。
弾き飛ばすほどの風を突き抜けて、拠点からグングンと離れていく。




「はい、残念。
裏口にはサヤさんがいましたー。」



サヤはそう言うと、すれ違い様に獣を斬った。
獣は、少しだけ苦しんだ後に絶命する。


ナツは、汗をかいたのかパタパタと服を仰ぐ。
返り血や泥で汚れていないため、いまいち分かりにくいが目についた獣は全て倒しているようだった。


「僕のインフィニティは、後手が基盤だから申し訳ないけど残党狩りをお願いするよ。」


「分かったよ。
ナツは休憩してて。」



ジュリは、そう言うとナツを残してアイク達と捜索を始める。

ナツの隣には、護衛なのだろうかコーダがいた。



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