Nora First Edition

鷹美

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第十三話

第13話 8

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「おまたせ、“ロイ”。

さぁ、さっそくだけど始めよう。」



研究室についたナツは、先にいた赤髪の男を見る。

髪型は短髪で、額に実験で使うようなゴーグルを着用。
瞳の色は茶色で、ナツとは対称につり目。

服装は、タンクトップに白衣を羽織っていて随分と筋肉質な男だった。


身長はナツと同じくらい。




「あぁ、準備は出来てるぜ教授。」

「相変わらず、手が早くて助かるよ。
何時ものように、“手加減”はいらない。

君の思うようにやってくれ。」



ナツは、ロイから渡されたブレスレットをはめてロイと向き合ってそういった。



一方で、アイクは他のメンバーを帰宅させた後に研究室の戸締りをしていた。



「よし、ファーストサンプルの申し子の一人の研究に参加できる!

何より、ナツとの距離感もいい感じになってきたな。

一週間後が楽しみだ。」

「ダーリン、少しは落ち着きなさい!」



今日の事を振り返り興奮気味のアイクにサヤはおんぶのような形で後ろから飛びついた。
かなりの身長差がある為、サヤの足はプラーンと浮いているが…その両腕は見事にアイクの首をキメている。



「すいません…マイハニー。
首…入っているんですけどぉ…。

ギブ…ギブゥ…。」


掠れるような声を出しながら、解放を求めるとサヤは直ぐにアイクから下りる。
ゲホゲホと咳き込んだ後に、アイクはサヤの方に手を差し出した。




「…テンションが上がってるのはサヤもだろ?

たまには、俺から手を握ってやるよ。」

「調子のんなし!」



ニカッと笑うアイクの手を、サヤも満面の笑みで力一杯両手で握る。

二人は、そんな事をしながらベルが命名した“素敵ハウス”に帰っていく。



時間と言うのはあっという間で、すぐに約束の一週間が経ち、例の部活感が丸出しのあのグラウンドでナツとアイク達は待ち合わせていた。



「んで、とっておきのインフィニティは、その素敵ブレスレットっと…。」

「…君のネーミングセンスの無さにはガッカリしたけど、その通りだよ。」


ベルがナツの右手にあるブレスレットを覗き込みながらそう言った。


試運転の行う場所は決まっていて、獣人討伐がある中で天幕が貼られている小規模な拠点に向かう。

近隣のために偵察は出されていて、3個ほどの寝泊まりができる天幕と荷物置き場があるようだ。


支給された地図を眺めるナツの近くには、ロイがパソコンを片手に立っている。
どうやら、ブレスレットの最終調整をしているよつだ。



「よし、バッチリだ。
調整もいいし、記録する機材も正常に稼働している。
ヘマして死ぬんじゃねーぞ、教授。」

「そちらこそ、僕がいないからってサボらないでね。
それに奥の手もあるから問題ないさ。」


ナツはロイにそう言った後に、スタスタとアイク達の側まで移動する。

ベルとシオ、グレーズは居残り。

コーダ、アイク、ジュリ、サヤは出撃で。


コーダとジュリは、サヤのサポート。
アイクは、ナツの護衛だそうだ。



ベルは、ともかくシオとグレーズは何かあった時の保険で残る様だ。


獣の拠点は町から出て、一時間もかかない場所にある。



獣の拠点近くのチェックポイントに着いた一行は、周囲を警戒。

情報通り大きめの天幕が3つと物置きが一つ小規模のものみたいだ。
3つの天幕と物置を囲む様に柵があり入れる場所は正面と裏口の2箇所だけ。


ナツとアイクは、正面に。

他は裏口からの奇襲となった。





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