Nora First Edition

鷹美

文字の大きさ
上 下
157 / 253
第十三話

第13話 3

しおりを挟む
「…じゃぁ、ホープの仕組みについてとか?」

「よし、それで手を貸してあげようじゃないか。」


あまりの変わり身の速さにベルは驚きたが最初に、機密事項とつげてから小声で話した。

シオの事について。



「なるほど、あの血をつかったのか。
なるほど、なるほど。



…なら、同じ血液の輸血とかで能力はならないの?
やっている事は同じでしょう。

あ、でも機密事項って事は悟られるようなことにならないようにしているのかな。」

「おそらくそうでしょ。」



淡々と出てくるナツの仮説にベルも淡々と答える。
ナツは、そういうと注射器を出した。



「だったら、こちらも秘密にすればいい。
君と僕で、幸い血液型は同じだし。

効果がでたら、適当な理由をつけてアイク博士に言っておくよ。
血液の実験を気分転換でやっているとね。」


血液の一部を交換。
それをサラッと終わらせたナツは肩をグルグルと回す。

体があの血を拒む為に起こる鼻血も起こっている気配はない。
だが、何か変わっている気配もない。


「それで、自然と自分のキーウェポンが分かると。」



「そうみたい。
俺は…分からないんだ。

だから、片っ端から使っている感じだ。」


ベルがそう言うと、ナツはブツブツとつぶやき始める。


シオ達は自分の使うべきキーウェポンを直ぐに分かっていた。
ホープの発動ができるのが早かれ遅かれ。

だが、ベルはそのスタートラインにすら立っていない。

鼻血が出るわけではないが、それなりの拒絶反応があり体にまだ馴染んでいないのか?

それとも、自分に適したキーウェポンができていないのか?


「…ナツ、いい加減アイク博士ってのはやめないか?
お前だって、俺たちノラの一員なんだから。」


何を勝手に決めつけているんだ。

思考を止めて、そのワードを口にしようとしたが、ベルが広げた一枚の紙で言葉が止まる。




組織登録名 ノラ

代表 アイク

構成メンバー

グレーズ

サヤ

シオ

ジュリ

ナツ

ベル



ナツは、ベルから紙を奪って何度も資料に目を通す。


だが、何度見てもナツという文字は見間違いではなかった。



「何これ?」


資料から目を離しジトーとナツは、ベルを見るがベルもヘラヘラと笑ってかえす。
そういえばと回想をすると、アイクに研究室の貸し出しに2人の研究者の証明が欲しいだがといっていた。


「クソ…あの時か。」

「いーじゃん。
減るわけでもあるましい。」



ナツは、ため息をつくと再び資料を取り度して作業を再開して作業をしながら口をひらく。
パソコンを開き、キーボードをうちはじめる。



「僕は、一人がいいんだ。
誰かに邪魔されるわけでも、研究資料の盗難にも合わないし。

何より、集中できる。」


「お前な…そんなんじゃ、彼女できねーぞ。」



ナツはベルの言葉にクスッと笑って何処か勝ち誇った表情で振り返った。



「それは、これを見てもかい?」


ナツはそう言うと、白衣の胸ポケットから小さな箱を3個くらい取り出した。
本日は、バレンタインデー。

こんなご時世でも、こういうイベントを続けている。
少しでも心の負担がなくなるように。


ベルは、義理チョコなのでは?
そう頭を過ったが、義理にしては手作り感が半端ない。

しかも、ナツには姉妹や両親も親族もいない。




「…んで、君は?
たしか、彼女がどうだかと言っていたけど?」

「すいませんでしたっ!!」



ベルはそう言うと全身全霊で土下座をした。

しおりを挟む

処理中です...