Nora First Edition

第十一話

第11話 6

「大丈夫？
自分の血液を使うって、貧血とかにはならないのかな？

肉体にダメージがなさそうだから、いいけど…。」


シオはそう言うと、ハゲの頭をみる。
ハゲもそれに気づいたようで頭をペチペチと、叩く。



「髪はしっかりとあるがな。

…まったく。
肩が必要なら貸すかぁ？」



ハゲは、そう言うとエグザスの手を引っ張って立ち上がらせた。
すると、近づいてきていない二人の姿に目がいく。



「…エグザスが他の行動をしながら動かした人形の方が、射撃の精度が高いのは認めない。
特訓の再開だ。」

「何で、そんなストイックなのよぉ。
休ませてくれよぉ。


あれだって、俺自身にも代価とかあるんだからぁ。
あれを使いすぎると、割と笑えないんだからぁ。


ねぇ、ちょ…。」



ベルの抵抗も虚しく、ズルズルとB.Kに引き摺られて外に連れて行かれた。
頭を摩るアイクの側にエグザスはゆっくりと歩いて近づく。


「アイク、俺は…ジュリを諦めたくない。
それが仮に遺体でも。

頼む、力を貸してくれ。」


エグザスは、深々と頭を下げるとアイクにそう言った。
そんなアイクはエグザスにデコピンをする。


「そんな畏まった感じでやらんでいい。
ジュリをなんとかしたいのは俺達も同じだし、こっちらとしてもエグザスの力は必要不可欠だ。


…俺達の手で取り戻すぞ。」


「ぁあ。」


アイクは、そういうと握り拳をエグザスの前に出す。
そんな姿を見てエグザスも少しほほえんでアイクの握り拳に自分の握り拳を軽くぶつける。


そんな中、地上から爆発音が響く。
恐らくグレーズが放ったものだろう。



「もしかして、敵襲か？
皆、行くぞ！」


アイクは、自分のキーウェポンを握ると直ぐに他のメンバーを連れて上がっていく。

外に出るとアイクの予想通り敵がいた。
獣人が…。



「抵抗てしても無駄だ、人間！

増援は…。」


話の途中だったが、話している獣の頭が遠くからの射撃で吹き飛んだ。
遠距離でこの威力を出せるのは一人だけだろう。



指揮官の1人が倒されて部隊の一部が混乱した瞬間に、大きな炎の塊が大量の獣達をなぎ払って行った。

そして、それは乱暴に上に上昇すると小さな炎を大量に降らしていく。
その大きな炎の塊の正体は、ベルの切り札である朱雀だった。



「遠くから援護する。
打ち損ねた奴は頼んだ。」



B.Kは、そういうと直ぐに射撃を再開した。
戦闘慣れしてはいないB.Kだが…ベルも近くにいるのであれば、心配はないだろう。


そう考えた後にアイクは、直ぐに辺りを見回す。


グレーズは、一人で戦っていた。
先程の爆撃、爆炎を利用しながら。

近づく者は角で殴り飛ばし、中距離は爪で一掃、遠くの者は通常の0段の射撃で排除。