Nora First Edition

鷹美

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第七話

第7話 9

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「一々、勘に触る奴だ!」

「…“アイツ”みたいでカ?
そんな都合を押し付けられても困るんですヨ。

ま、遊びすぎたけど言われた事は達成したし…お暇でも頂くとしますワ。」



獣鎧は、力を抜いたように項垂れる。
すると、奥のほうで爆発音が聞こえた。


ノラ組の表情が真っ青になっていく。


「一々言わなくても、分かるでショ?

だが、安心しなさいな研究資料はも抜けの殻。
研究施設を爆破破棄するのは、バックアップとか取られるのを防ぐためだシ。


アリエスに場所を知られてしまった以上、ここに居ても意味がないんでネ。」


獣鎧は、爆発に向かって歩いていく。
エグザスは、獣鎧を追おうとしたがB.Kに止められた。

エグザスは、B.Kを一瞬だけ睨んだが直ぐに睨むのをやめる。
彼女自身も、悔しそうで今にも泣きそうな顔をしているから。



「…賢明な判断ダ。
俺は通れるが、お前達は無理。

獣人だからじゃなイ。
俺だけできる芸当があるからナ。

まぁ…めんどくさいから、もう会う事がないのを祈ってるワ。
バイバーイ。」



獣鎧は、左手をプラプラしながら爆発の中に消えていった。


「っち。

とりあえず脱出だ。
アンナ、退路はどうだ?」


「ダメですわ。
退路が崩れてしまっています。」


エグザスは、アンナの方を向いていったがアンナの視線の先には天上で崩れた道があった。
そして、追い討ちをかけるようにエグザス達の天井にも日々が入ってきている。




今にも下敷きになりそうな絶対絶命の中で、静かな声が響く。





「…動くな。」




意識を取り戻したアステラが体を震わせながら体を起こすと手を地面に当てる。


「我が意志に従え、森羅万象よ。」


アステラがそう言うと、アリエスが呼び起こしたような五色の光の玉がアステラの周りをクルクルと旋回し始めた。



“マグマ”


アステラは、複数のマグマの柱を出現させるとそれらを編み飲むようにしてドーム状に形を変えた。



“プレート”


マグマの柱が冷えて固まるとそれを補助するように土の壁でそれを覆った。

すると、爆発による振動が突然なくなりエグザス達に襲い掛かる脅威は去った。



「これで、大丈夫のはずだ。
借りは返したぞ。」


“エックス”


アステラは、それだけを伝えるとエグザスの返事も待たずに直ぐに居なくなった。
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