Nora First Edition

第六話

第6話 2

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それは、一人で残った時の記憶。

苛立ちを隠しきれていないグラムから壁になるように立った黒い影。
ボロボロになりながら、薄らと見えた光景だった。


『いい加減にしないか“クロ”！！

いつまで、私に反抗しているのダ！！』

『もう、止めにしよーゼ？
意思疏通ができる人間を無意味に奴隷する下らないこト。

自分が世界の中心だと本当に思っている傲慢な愚か者が“人間”だとジーさんはいってたが、今の俺達も大差ねーじゃン？

そこの嬢ちゃん、大した怪我をしていないのだロ？
ここは、俺がなんとかするから仲間の元へ帰えんナ。』


それをきっかけに、また戦いが起こり戦いの衝撃で起きた土煙が銀髪の女性を包む…。
そんな所で彼女は目を覚めた。



銀髪の女性は、夢から覚めると飛び上がるように起き上がった。
目の前は、見慣れていて…誰もいない部屋。



「夢…ですか…。」


冷や汗を拭うと一杯の水を口に含む。
管理者不在でもある程度水が確保できたのは彼女の唯一の救いだった。



「ぁあ…外出中でしたか。」


幸運にも一緒に脱出できた仲間の姿が見えなかった事にそう銀髪の女性はボヤくと顔をタオルで拭う。



ノラの仲間達はいない。
上手く逃げ切れたのならいい。

だけど、もし…。



銀髪の女は、頭の中で無限にループしつつある嫌な予感を振り払うように首を横に振り両手で頬をかるくパンパンと叩く。




大丈夫、仲間が捕らえられたと何かかしらの情報が流されている筈。
そんな情報が耳に届ないと言うことは皆は生きてる。

信じられる、だって自分もこうやって…生きているのだから。



銀色の自慢の髪についた寝癖を治すと大きく背伸びをする。

短髪にしたお陰で手入れが楽でいい。
今後も短くしていこうか。

銀髪の女性は、毛先を軽く触りながらそう考えていた。


「おっと、いけない。
自分の仕事をせねば。」


銀髪の女性は肩を回した後に大きく無骨な武器を握る。

さあ、今日も見回りをしよう。
銀髪の女性は、ゆっくりと外に向かって歩き出した。