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第五話
第5話 19
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そこを…どけぇえええ!!」
“技の2段”
エグザスは、キーウエポンに風を纏わせると風の塊を全方に振り抜く。
ソニックブーム。
その名を表すかのように、風の刃で獣達を斬り裂いていく。
「前方を焼き払います。」
“技の1段”
カナは、両手のキーウエポンを広げてクルクルと回転しながら上昇した。
キーウエポンの刀身はその間燃え続け、そして鳥が羽ばたくようにして炎を地面に叩きつける。
前方は燃やすというか、火の海にかわっていた。
「少しはおちつけっつーの。」
“技の0段”
グレーズも、カナ、エグザスとアイクを縫うようにグレネードを模した0段を放つ。
爆発が起きるとそれに紛れて、コーダが狙撃。
数自体は、ベル達のルートよりも遥かに多いがここの戦力はノラ最高のもので獣達は抑えられることができていなかった。
「エグザス、その部屋に入れ。
俺達が入手した地図にはそこは研究所になってる。
ジュリの方はホープが使える。
ホープの実態を知りたいなら、そこに運ばれる筈だ。
グレーズ、一緒に行ってやれ。
俺とカナとコーダが出入りを守護しておく。」
エグザスは、アイクの話を聞くと指示された扉を蹴破って入る。
扉は凹みを作り真っ直ぐ吹き飛んでいき、目の前の機材やらを粉砕した。
「ジュリィイイ!!」
扉を蹴破ったエグザスは出来る限りの大きな声で叫んだ。
扉が粉砕した機材の他に診療台と思われる物とその道具達。
そして、奥にある檻の中にはグッタリとした表情をしたジュリがいた。
壁に寄りかかり、キーウエポンを力なく握る彼女の姿が。
「ジュリ!」
エグザスはジュリを発見するとすぐにキーウエポンで檻の柵を斬り裂くとジュリの前に座り手を握った。
自身のキーウエポンを腰にしまい、ジュリの右手首を握り脈を確認する。
ジュリの脈は、弱々しいが確かにある。
まだ…生きている!
呼吸はわずかに浅いが、目立った外傷はない。
恐らく毒物の投与をされたのだろう。
だが、素敵ハウスに帰れば…アイクならきっと最悪は免れる!
エグザスはジュリを担ぎやすいように左手でジュリのキーウエポンを握り右手で担ぐようにジュリとの距離を縮めた。
「エッ…く…ン?」
ジュリは意識が戻ったようでエグザスの名前を弱々しく呟いた。
「そうだ俺だ!
もう大丈夫だ、ベル達がアンナをきっと見つけてくれる。
だから、早く脱出するぞ。
一緒に素敵ハウスに帰ろう?」
ジュリに意識があるのが分かると安堵でエグザスの表情が和らいだ。
すると、ジュリはエグザスに口づけをした。
ジュリの柔らかい唇と舌の感覚、ジュリの唾液と共にエグザスの口の中に入っていく鉄臭い液体。
それが何を表すかはとっさには、わからなかったエグザスだったが…ジュリはそんなエグザスに残酷な一言を告げた。
「…ごめん、エッくん。」
ジュリのその一言でやっとエグザスが自分の左手が真っ赤に染まっていた事に気がついた。
原理は分からないが、勝手にジュリのキーウエポンが起動し…勝手に動いたとしかいいようがない。
そして、ジュリがエグザスにキスした瞬間に刺さった為、恐らくジュリが自分の意志で一連の流れをやったのだろう。
「…ジュリ…どう…してっ!」
真っ青な顔をしたエグザスは、混乱と絶望を押し殺しながらそう言った。
グッタリとしていたジュリの顔は、だんだん穏やかになっていく。
止血…止血を!
エグザスの脳内では、それで頭がいっぱいで咄嗟に着ているコートをビリビリに破き出血している箇所をおさえる。
「ごめんね…エッくン。
約束、守れそうにないや。」
「謝るな。
俺が…俺が悪いんだ。
お前を護ると誓ったのに、護りきれなかった。
何のためのホープだ、何のためのバ…。」
俺は話の途中で再びジュリの口づけによって塞がれた。
口づけから、鉄臭い液体が再度エグザスの中に流れ込んでいく。
「私は…もうすぐで人じゃなくなル。
その前に…人として生を終わらせてほしかったの。
エッくんは、約束を守ってくれていたヨ?
人としての私を守ってくれた。
コーダとベルがやっていた実験はお茶を渡した時にぼんやりと聞いたことがあるワ。
条件がどうだかはしらないけど…きっと私の血を飲み込んだらエッくんは私のキーウエポンが使える筈だと思う。
私は側にいれないけど…その子とは一緒にいてあげてネ?」
ジュリはそれだけを告げると自分の腹を貫いたキーウエポンを自ら引き抜き静かになった。
その瞬間、エグザスの中の血が無くなったんじゃないかという位、寒気がした。
“心の1段”
エグザスはホープで止血をしたがこの程度では治癒しきれないし、血液は戻せない。
「ジュリ…ジュリ!!」
エグザスがジュリの意識を呼び起こすように名前を呼ぶと、エグザスの横にグレーズが吹き飛んできた。
「ぐぉあ!」
周りはエグザスに悲しませると考える暇など与えないように次々と騒ぎが起きた。
苦しそうに声を上げるグレーズを見た後にジュリをゆっくりと床に下ろし後ろを見ると青い毛並みをした獣が立っていた。
「そこを…どけぇえええ!!」
“技の2段”
エグザスは、キーウエポンに風を纏わせると風の塊を全方に振り抜く。
ソニックブーム。
その名を表すかのように、風の刃で獣達を斬り裂いていく。
「前方を焼き払います。」
“技の1段”
カナは、両手のキーウエポンを広げてクルクルと回転しながら上昇した。
キーウエポンの刀身はその間燃え続け、そして鳥が羽ばたくようにして炎を地面に叩きつける。
前方は燃やすというか、火の海にかわっていた。
「少しはおちつけっつーの。」
“技の0段”
グレーズも、カナ、エグザスとアイクを縫うようにグレネードを模した0段を放つ。
爆発が起きるとそれに紛れて、コーダが狙撃。
数自体は、ベル達のルートよりも遥かに多いがここの戦力はノラ最高のもので獣達は抑えられることができていなかった。
「エグザス、その部屋に入れ。
俺達が入手した地図にはそこは研究所になってる。
ジュリの方はホープが使える。
ホープの実態を知りたいなら、そこに運ばれる筈だ。
グレーズ、一緒に行ってやれ。
俺とカナとコーダが出入りを守護しておく。」
エグザスは、アイクの話を聞くと指示された扉を蹴破って入る。
扉は凹みを作り真っ直ぐ吹き飛んでいき、目の前の機材やらを粉砕した。
「ジュリィイイ!!」
扉を蹴破ったエグザスは出来る限りの大きな声で叫んだ。
扉が粉砕した機材の他に診療台と思われる物とその道具達。
そして、奥にある檻の中にはグッタリとした表情をしたジュリがいた。
壁に寄りかかり、キーウエポンを力なく握る彼女の姿が。
「ジュリ!」
エグザスはジュリを発見するとすぐにキーウエポンで檻の柵を斬り裂くとジュリの前に座り手を握った。
自身のキーウエポンを腰にしまい、ジュリの右手首を握り脈を確認する。
ジュリの脈は、弱々しいが確かにある。
まだ…生きている!
呼吸はわずかに浅いが、目立った外傷はない。
恐らく毒物の投与をされたのだろう。
だが、素敵ハウスに帰れば…アイクならきっと最悪は免れる!
エグザスはジュリを担ぎやすいように左手でジュリのキーウエポンを握り右手で担ぐようにジュリとの距離を縮めた。
「エッ…く…ン?」
ジュリは意識が戻ったようでエグザスの名前を弱々しく呟いた。
「そうだ俺だ!
もう大丈夫だ、ベル達がアンナをきっと見つけてくれる。
だから、早く脱出するぞ。
一緒に素敵ハウスに帰ろう?」
ジュリに意識があるのが分かると安堵でエグザスの表情が和らいだ。
すると、ジュリはエグザスに口づけをした。
ジュリの柔らかい唇と舌の感覚、ジュリの唾液と共にエグザスの口の中に入っていく鉄臭い液体。
それが何を表すかはとっさには、わからなかったエグザスだったが…ジュリはそんなエグザスに残酷な一言を告げた。
「…ごめん、エッくん。」
ジュリのその一言でやっとエグザスが自分の左手が真っ赤に染まっていた事に気がついた。
原理は分からないが、勝手にジュリのキーウエポンが起動し…勝手に動いたとしかいいようがない。
そして、ジュリがエグザスにキスした瞬間に刺さった為、恐らくジュリが自分の意志で一連の流れをやったのだろう。
「…ジュリ…どう…してっ!」
真っ青な顔をしたエグザスは、混乱と絶望を押し殺しながらそう言った。
グッタリとしていたジュリの顔は、だんだん穏やかになっていく。
止血…止血を!
エグザスの脳内では、それで頭がいっぱいで咄嗟に着ているコートをビリビリに破き出血している箇所をおさえる。
「ごめんね…エッくン。
約束、守れそうにないや。」
「謝るな。
俺が…俺が悪いんだ。
お前を護ると誓ったのに、護りきれなかった。
何のためのホープだ、何のためのバ…。」
俺は話の途中で再びジュリの口づけによって塞がれた。
口づけから、鉄臭い液体が再度エグザスの中に流れ込んでいく。
「私は…もうすぐで人じゃなくなル。
その前に…人として生を終わらせてほしかったの。
エッくんは、約束を守ってくれていたヨ?
人としての私を守ってくれた。
コーダとベルがやっていた実験はお茶を渡した時にぼんやりと聞いたことがあるワ。
条件がどうだかはしらないけど…きっと私の血を飲み込んだらエッくんは私のキーウエポンが使える筈だと思う。
私は側にいれないけど…その子とは一緒にいてあげてネ?」
ジュリはそれだけを告げると自分の腹を貫いたキーウエポンを自ら引き抜き静かになった。
その瞬間、エグザスの中の血が無くなったんじゃないかという位、寒気がした。
“心の1段”
エグザスはホープで止血をしたがこの程度では治癒しきれないし、血液は戻せない。
「ジュリ…ジュリ!!」
エグザスがジュリの意識を呼び起こすように名前を呼ぶと、エグザスの横にグレーズが吹き飛んできた。
「ぐぉあ!」
周りはエグザスに悲しませると考える暇など与えないように次々と騒ぎが起きた。
苦しそうに声を上げるグレーズを見た後にジュリをゆっくりと床に下ろし後ろを見ると青い毛並みをした獣が立っていた。
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