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第五話
第5話 16
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「はっはァ!!
感じてんのカ?」
嬉しそうに体を動かすドレッドをよそに、真っ暗になりかけているアンナの脳内で数字が浮かんでいた。
5…25…40…67…。
なんの意味があるのかはアンナには理解できなかったが、構わず意識を手放さないように祈りを込め続けた。
適合率…100%。
アンナがその意味を理解した途端、キーウエポンが壁を破壊してアンナの右手に収まった。
アンナはキーウエポンを握るとすぐに起動させた。
“体の3段”
機械音を響かせてアイク達と同様にアンナの体にキーウエポンから放たれる雷が広がり、彼女の肉体を強化した。
「…っナ!?」
壁が破壊され突然の事にうろたえるドレッドにアンナは渾身の一振りをぶちかました。
ドレッドは、汚らわしいものをさらしながら後ろに吹き飛んでいく。
アンナは足の拘束も破壊し立ち上がると体の不調を鮮明に感じると共に確信を得ていた。
身体の治癒も今ならできると。
心とは本来、肉体の細胞を活性化させ傷を癒すもの。
いくら心の8段でも毒物や失った血液までは治癒できない。
でも、毒物ならアンナは治癒できると思い自分の胸に手を当てる。
“心の0段”
脳内でキーウエポンがアンナに教えてくれる。
アンナの0段は物質の成分の支配。
あの薬品には、水分が入っている筈。
なら、自分の血が多少混ざった今ならあの薬品を限りなく血液に近い物に変えられるだろう。
アンナの体全体が赤い雷で包まれて発光していく。
体から放たれた光と赤い雷が消える頃には、薬物の効果も無くなり激しい痛みと倦怠感が無くなった。
どうやら、無事に成功したようだ。
「なんだ…やるのカ?」
「ええ。
懺悔の時間です。
さぁ、祈りなさい。
貴殿方が信じるものにたいして!!
私が全て…打ち砕きましょう!!!」
ドレッドは、両手に軍事用ナイフをそれぞれ握るとアンナに向かって走りだした。
アンナは、それを待ち構えまえる。
今までに見せなかった…いや、出来なかった鋭い睨みをきかせて。
ボロボロになったスカート、ドレッドによってさらけ出された胸部を隠そうともせず。
「私の信じていたものを全て壊した貴殿方だけは絶対に…絶対に許さない!!」
ボロボロと涙を流したアンナは、ドレッドの攻撃を身体だけずらすようにして避けると腹部にキーウエポンによ渾身の横スイングを当てた。
アンナは再びドレッドを吹き飛ばし壁しに激突させた。
壁を簡単に砕くほどの威力で、ドレッドは壁の瓦礫の下敷きになり意識を失った。
「あのメスを捉えロ!」
ドレッドは気絶してしまったが、他に4体の獣が集まってきてしまった。
そのうち、1体はドレッドを回収して撤退をしていた。
ホープを完全に習得したとはいえ、いきなり複数の相手。
“心の0段”
アンナがそう身構えていると、突然獣の足元が固定されてた。
その様子に獣は思わず足元を見る。
“技の1段”
獣達のその隙を逃さないように、シオの火の斬撃が1体の獣を斬り裂き、直ぐに移動したハゲが残りの2体を斬り裂いた。
「アンナ、大丈夫!?」
「アンナ、遅れてすまん。
今、この場所を安全にする。
モヤシ、アンナの傷と服の修復をやってくれ。」
“心の0段”
シオとハゲがアンナの破壊した入口を遮ると ベルが直ぐにアンナの元に移動した。
怪我の状態を見ると、すぐにベルは服の修復を始める。
「…この様子だと、ホープを習得したみたいだね。
でも、手遅れになってしまってごめん。
でも、もう…怯えさせない。
どしっとハゲやシオによりかかってなさいな。」
“心の0段”
ベルは地面を叩くと、赤い雷を出しながら鍵穴を模した魔方陣を浮かべた。
先ずは、速さ重視の小型の鳥を召喚しアイク達の元に飛ばす。
そして、4体のユニコーンを召喚した。
「やった!
ユニコーンだ!」
建物の一部を削って作ったコンクリートのユニコーンを見て、シオは両手を上げて喜んだ。
ベルは、勢いよくユニコーンに跨がる。
「アンナは見つかった。
アンナが苗床にされてしまった以上、ジュリの身も危ない。
暴れまわってでも、ジュリを救出する。
皆、コイツに跨がって行くぞ!」
感じてんのカ?」
嬉しそうに体を動かすドレッドをよそに、真っ暗になりかけているアンナの脳内で数字が浮かんでいた。
5…25…40…67…。
なんの意味があるのかはアンナには理解できなかったが、構わず意識を手放さないように祈りを込め続けた。
適合率…100%。
アンナがその意味を理解した途端、キーウエポンが壁を破壊してアンナの右手に収まった。
アンナはキーウエポンを握るとすぐに起動させた。
“体の3段”
機械音を響かせてアイク達と同様にアンナの体にキーウエポンから放たれる雷が広がり、彼女の肉体を強化した。
「…っナ!?」
壁が破壊され突然の事にうろたえるドレッドにアンナは渾身の一振りをぶちかました。
ドレッドは、汚らわしいものをさらしながら後ろに吹き飛んでいく。
アンナは足の拘束も破壊し立ち上がると体の不調を鮮明に感じると共に確信を得ていた。
身体の治癒も今ならできると。
心とは本来、肉体の細胞を活性化させ傷を癒すもの。
いくら心の8段でも毒物や失った血液までは治癒できない。
でも、毒物ならアンナは治癒できると思い自分の胸に手を当てる。
“心の0段”
脳内でキーウエポンがアンナに教えてくれる。
アンナの0段は物質の成分の支配。
あの薬品には、水分が入っている筈。
なら、自分の血が多少混ざった今ならあの薬品を限りなく血液に近い物に変えられるだろう。
アンナの体全体が赤い雷で包まれて発光していく。
体から放たれた光と赤い雷が消える頃には、薬物の効果も無くなり激しい痛みと倦怠感が無くなった。
どうやら、無事に成功したようだ。
「なんだ…やるのカ?」
「ええ。
懺悔の時間です。
さぁ、祈りなさい。
貴殿方が信じるものにたいして!!
私が全て…打ち砕きましょう!!!」
ドレッドは、両手に軍事用ナイフをそれぞれ握るとアンナに向かって走りだした。
アンナは、それを待ち構えまえる。
今までに見せなかった…いや、出来なかった鋭い睨みをきかせて。
ボロボロになったスカート、ドレッドによってさらけ出された胸部を隠そうともせず。
「私の信じていたものを全て壊した貴殿方だけは絶対に…絶対に許さない!!」
ボロボロと涙を流したアンナは、ドレッドの攻撃を身体だけずらすようにして避けると腹部にキーウエポンによ渾身の横スイングを当てた。
アンナは再びドレッドを吹き飛ばし壁しに激突させた。
壁を簡単に砕くほどの威力で、ドレッドは壁の瓦礫の下敷きになり意識を失った。
「あのメスを捉えロ!」
ドレッドは気絶してしまったが、他に4体の獣が集まってきてしまった。
そのうち、1体はドレッドを回収して撤退をしていた。
ホープを完全に習得したとはいえ、いきなり複数の相手。
“心の0段”
アンナがそう身構えていると、突然獣の足元が固定されてた。
その様子に獣は思わず足元を見る。
“技の1段”
獣達のその隙を逃さないように、シオの火の斬撃が1体の獣を斬り裂き、直ぐに移動したハゲが残りの2体を斬り裂いた。
「アンナ、大丈夫!?」
「アンナ、遅れてすまん。
今、この場所を安全にする。
モヤシ、アンナの傷と服の修復をやってくれ。」
“心の0段”
シオとハゲがアンナの破壊した入口を遮ると ベルが直ぐにアンナの元に移動した。
怪我の状態を見ると、すぐにベルは服の修復を始める。
「…この様子だと、ホープを習得したみたいだね。
でも、手遅れになってしまってごめん。
でも、もう…怯えさせない。
どしっとハゲやシオによりかかってなさいな。」
“心の0段”
ベルは地面を叩くと、赤い雷を出しながら鍵穴を模した魔方陣を浮かべた。
先ずは、速さ重視の小型の鳥を召喚しアイク達の元に飛ばす。
そして、4体のユニコーンを召喚した。
「やった!
ユニコーンだ!」
建物の一部を削って作ったコンクリートのユニコーンを見て、シオは両手を上げて喜んだ。
ベルは、勢いよくユニコーンに跨がる。
「アンナは見つかった。
アンナが苗床にされてしまった以上、ジュリの身も危ない。
暴れまわってでも、ジュリを救出する。
皆、コイツに跨がって行くぞ!」
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