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第五話
第5話 15
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
†実験室†
赤毛の獣、ドレッドに連れてこられたアンナは苗床が座る椅子に座っていた。
手足を完全に固定し、足を大きく開かせられる品の無いその椅子に。
そんな椅子にアンナは、服を着たまま座っている。
なんでも、すでに剥いてあるものを見てもしょうがないというドレッドの下品な考えのせいみたいだ。
体を振るわせ、涙を流しているアンナだったが、別の部屋に連れていかれたジュリの安否も気にしているようだった。
「さて…シスターさん、この薬を知ってるカ?」
ドレッドは邪悪な笑みを浮かべ、見せびらかすように黄色い薬品をアンナに見せびらかしてきた。
今までに嗅いだことのない、酸っぱくて甘い不思議な臭いを放つ薬品。
「これは、獣人が持つ最高の媚薬ダ。
“狂い桜〔くるいざくら〕”って名前だってヨ。
これを投与されたメスは、理性を失ったように俺達を求めるようになル。
まぁ…その分、寿命は縮まるけどナ。」
ドレッドはそう言うと、その薬品を注射器の中に注ぐ。
注ぎ終わると、確認の為か軽く押して注射器の先端から薬品をだした。
「本当は、媚薬じゃなくてあのメスと同じ薬を投与する予定だったんだガ…。
まぁ、恨むなら俺じゃなくて能力をまともに使えない無能の自分に言ってくレ。」
ドレッドは、そう言うと真っ直ぐアンナの右手首を目掛けて注射器の先端を向ける。
アンナも必死で抵抗したが…固定されているせいで障害にすらならないようだった。
「止めて、止めてください!!
神が…私達の主が見てらっしゃいます。
今すぐに、止めなければ天罰が下りますわ!!
イヤ…イヤァァアア!!
助けてください助けてくださいタスケテクダサイ!!
何でも…何でもしますから、許してください!!
許して…下さい!!」
アンナは涙を滝のように流し、鼻水を足らして唾を飛ばして今まで見たことが無い表情で叫んだ。
だが、ドレッドから返ってきた言葉は残酷なものだった。
「…たまんないねェ。
その叫び具合。」
ドレッドは楽しそうにそういうと、無慈悲に注射器でアンナの右手首を貫いた。
薬を撃たれた途端、アンナは悲痛な悲鳴を部屋中に響かせた。
「あアぁアあァあアぁアぁア!!」
ガタガタと体を痙攣させて顔は上を向いている。
「たすけてください、たすけてください、タスケテ…クダサイ。」
アンナの肌から所々に血管が浮かび上がり、神に懇願するように悲鳴のような助けを声にする。
神様、神様、神様!!
私の祈りは、届いていますか?
私の助けは届いていますか?
届いているのなら、助けてください我が主。
当時、神を信仰していたアンナは未だかつてないくらいの熱量と思いで神に祈った。
椅子に固定されて祈るような姿勢じゃなく、薬で苦しみ清らかな心でもなく、恐怖と痛みで涙を涎を垂らし不恰好で正しいとは言えない状態で。
「なんだ、結局…他のメスとあんまり反応は同じカ。
だったら、そろそろお前を抱くとしようかナ。」
ドレッドはそう言うとアンナの手枷を外し、座っている椅子を変形させて股を開く形でベットに寝かされているような体勢にすると、乱暴にアンナと体を重ねる。
「イタイイタイイタイイタイ!!
クルシイクルシイ!!
アツイアツイアツイ!!!」
「はははァ!!
最高だぜ、シスターよォ。」
ドレッドは、アンナが苦しそうな叫びをするたびに嬉しそうに声を上げた。
アンナに助けを望んでも、誰が助けにくる気配も…天罰が起こる様子もない。
祈りとはなにか?
神とはなにか?
恐怖と苦しみと薬と獣による痛みで確信めいた思いがアンナに生まれた。
神など…いない。
祈りなど必要ない。
必要なのは、確かな意思と意思を実現させるだけの力。
遠く離れていても、自身のキーウエポンの位置や場所は何となく分かる。
少しだけ状況を把握できるようになったアンナは特に根拠もなく、自分のキーウエポンのありそうな方向に手を伸ばす。
私の相棒、私の思いは…届いていますか?
神なんかより確かな絆な繋がりが私達にはあるはずです。
ですから…私に力を下さい。
獣を…打ち砕く力を!!
アンナは、霞みがかっている意識を手放さないように、今度はそう強くキーウエポンに思いを込める。
†実験室†
赤毛の獣、ドレッドに連れてこられたアンナは苗床が座る椅子に座っていた。
手足を完全に固定し、足を大きく開かせられる品の無いその椅子に。
そんな椅子にアンナは、服を着たまま座っている。
なんでも、すでに剥いてあるものを見てもしょうがないというドレッドの下品な考えのせいみたいだ。
体を振るわせ、涙を流しているアンナだったが、別の部屋に連れていかれたジュリの安否も気にしているようだった。
「さて…シスターさん、この薬を知ってるカ?」
ドレッドは邪悪な笑みを浮かべ、見せびらかすように黄色い薬品をアンナに見せびらかしてきた。
今までに嗅いだことのない、酸っぱくて甘い不思議な臭いを放つ薬品。
「これは、獣人が持つ最高の媚薬ダ。
“狂い桜〔くるいざくら〕”って名前だってヨ。
これを投与されたメスは、理性を失ったように俺達を求めるようになル。
まぁ…その分、寿命は縮まるけどナ。」
ドレッドはそう言うと、その薬品を注射器の中に注ぐ。
注ぎ終わると、確認の為か軽く押して注射器の先端から薬品をだした。
「本当は、媚薬じゃなくてあのメスと同じ薬を投与する予定だったんだガ…。
まぁ、恨むなら俺じゃなくて能力をまともに使えない無能の自分に言ってくレ。」
ドレッドは、そう言うと真っ直ぐアンナの右手首を目掛けて注射器の先端を向ける。
アンナも必死で抵抗したが…固定されているせいで障害にすらならないようだった。
「止めて、止めてください!!
神が…私達の主が見てらっしゃいます。
今すぐに、止めなければ天罰が下りますわ!!
イヤ…イヤァァアア!!
助けてください助けてくださいタスケテクダサイ!!
何でも…何でもしますから、許してください!!
許して…下さい!!」
アンナは涙を滝のように流し、鼻水を足らして唾を飛ばして今まで見たことが無い表情で叫んだ。
だが、ドレッドから返ってきた言葉は残酷なものだった。
「…たまんないねェ。
その叫び具合。」
ドレッドは楽しそうにそういうと、無慈悲に注射器でアンナの右手首を貫いた。
薬を撃たれた途端、アンナは悲痛な悲鳴を部屋中に響かせた。
「あアぁアあァあアぁアぁア!!」
ガタガタと体を痙攣させて顔は上を向いている。
「たすけてください、たすけてください、タスケテ…クダサイ。」
アンナの肌から所々に血管が浮かび上がり、神に懇願するように悲鳴のような助けを声にする。
神様、神様、神様!!
私の祈りは、届いていますか?
私の助けは届いていますか?
届いているのなら、助けてください我が主。
当時、神を信仰していたアンナは未だかつてないくらいの熱量と思いで神に祈った。
椅子に固定されて祈るような姿勢じゃなく、薬で苦しみ清らかな心でもなく、恐怖と痛みで涙を涎を垂らし不恰好で正しいとは言えない状態で。
「なんだ、結局…他のメスとあんまり反応は同じカ。
だったら、そろそろお前を抱くとしようかナ。」
ドレッドはそう言うとアンナの手枷を外し、座っている椅子を変形させて股を開く形でベットに寝かされているような体勢にすると、乱暴にアンナと体を重ねる。
「イタイイタイイタイイタイ!!
クルシイクルシイ!!
アツイアツイアツイ!!!」
「はははァ!!
最高だぜ、シスターよォ。」
ドレッドは、アンナが苦しそうな叫びをするたびに嬉しそうに声を上げた。
アンナに助けを望んでも、誰が助けにくる気配も…天罰が起こる様子もない。
祈りとはなにか?
神とはなにか?
恐怖と苦しみと薬と獣による痛みで確信めいた思いがアンナに生まれた。
神など…いない。
祈りなど必要ない。
必要なのは、確かな意思と意思を実現させるだけの力。
遠く離れていても、自身のキーウエポンの位置や場所は何となく分かる。
少しだけ状況を把握できるようになったアンナは特に根拠もなく、自分のキーウエポンのありそうな方向に手を伸ばす。
私の相棒、私の思いは…届いていますか?
神なんかより確かな絆な繋がりが私達にはあるはずです。
ですから…私に力を下さい。
獣を…打ち砕く力を!!
アンナは、霞みがかっている意識を手放さないように、今度はそう強くキーウエポンに思いを込める。
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