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第四話
第4話 10
しおりを挟む「そこは気にすることない。
そんな、人間味があるから俺達はついてきたんだ。
悩む余裕があるなら、今後の事をだ。
少なくとも、お前がいればキーウエポンはつくれるんだ。
自分の命を優先しなさい。」
「そうだな。
とりあえず、あの鎧をどうするかだ。
ベルがいれば潜入先の情報が得られるんだがな。」
アイクは、顔を軽く叩いて気合いを入れ直した後にそう言った。
実際問題、厄介なのは鎧だけではない。
まだ全力の実力を見ていない、ダイルや獣鎧も解決しなければならない問題の1つだが。
「アイク、ベルからの情報が手に入った。」
そんな中、B.Kが部屋に入ったきた。
あの女性が渡してくれたUSBをもって。
アイクのコーヒーの横に、少しだけ乱暴におく。
ハゲもアイクも、不思議そうにそれを眺めた。
が…アイクが突然、そのUSBを手に取る。
「あー!
これは、キーウエポンのデータを保存するために作った俺のUSB!!
作って直ぐに無くなって、何度も探したが…ベルがもってたのかよ!」
「あと、このメガネの度を今のメガネの度数と同じレンズにしてほしい。
とりあえず、用件はそれだけだ。
…あと、さっきは殴ってすまなかった。」
B.Kは、ベルのメガネをUSBの横に置いた後に、消えそうな声でアイクに謝罪すると直ぐにハゲの方を見た。
謝罪が照れくさかったのか、少しだけ顔が赤い。
「ハゲ、今日の見張りを代わってほしい。
なんか、肩の調子がおかしいから少しだけ様子をみたいんだ。」
「分かったわ。
お大事にー。」
部屋を出ていくB.Kにハゲは手を振った。
「…ったく、素直じゃないこと。」
アイクは、ベルの遺したメガネを見る。
これがないと、視野を確保できないアイツが、ゴーレムでB.Kに託した理由は考えなくても気づいた。
殆どの確率で、ここには戻ってこれないと。
「とりあえず、さっそく俺はベルの遺品の解読を始める。
エグザスが負傷している以上、深手を負っていないお前がこの砦の要だ。
…頼むぞ。」
「あいよ。
でも、解読より先にメガネの調整をしろよ?
今の技術なら、そんな時間がかからないんだろ。」
ハゲは、それだけを言うとアイクの自室から出ていった。
アイクは、ハゲが出ていくとゆっくりとパソコンの側まで移動してパソコンに取り付けてある装置にメガネを入れる。
ベルが頻繁にくるため、この自室にも取り付けたのだろう。
カタカタとキーボードをならして、パソコンの画面に文字を打っていく。
「ベルも…最初は頼りないクソガキだったんだけどな。
ハゲも、B.Kも、生意気なガキだと思っていたが…あいつらも成長するのか。
なんか、必死になって背伸びをしていたのが馬鹿みたいだ。」
消えそうな声で呟いたその言葉と思いをかき消すようにアイクは、強くキーボードを叩いた。
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