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第三話
第3話 6
しおりを挟む「お分かりですか?
付け焼き刃程度の訓練では、私に当てられませんよ。」
アンナは、弾きながらそういうとキーウエポンでマレの足元を殴る。
“心の0段”
マレの足元を0段によって、柔らかい砂に変えた。
いきなり地面が柔らかくなったせいでマレは崩れるように膝をつく。
「仕上げでもしますか。」
アンナは、そういうと畳み掛けるようにキーウエポンでマレを攻撃する。
まるで、槍を扱うように突きを中心にして。
時折、なぎ払い、振り上げ下ろし、石突での攻撃をしていた。
マレもアンナの攻撃を何とか防いではいたのだが、長くはもたずキーウエポンを弾かれてしまった。
マレのキーウエポンを弾いた瞬間に、アンナはキーウエポンをスイングしてマレを野球ボールのように殴り飛ばす。
「う…ぁ…。」
マレは、苦しそうに声を出した後にゆっくりと立ち上がった。
手加減なして殴ったからだろう。
すると、アイクは二人の間に入って口を開く。
「はい、スパルタアンナ先生は終了。
ホープもマトモに使えない新人に対して強く殴りすぎだぞ。
次は…、シオとチェンジ。」
「はいはーい。」
アンナと入れ替わるように、シオはマレに向かって走った。
ベルはキーウエポンを杖形態で起動させて倒れるマレに先を向ける。
“心の1段”
アンナにつけられた怪我を治療するとベルは静かに口を開く。
「この感覚を忘れないように。
ホープは、感覚で覚えるしかないんだ。
イメージを“自覚”に、感覚を“きっかけ”に代えて考えてみな?
自覚ときっかけは、なんとなく分かるだろ。
キーウエポンと、体を使えるんだ。
なんとかなる。」
ベルは、それだけを告げるとアイク達の元まで戻った。
「…うん。」
マレは、弾かれたキーウエポンをひろってゆっくりとかまえる。
シオも、キーウエポンをかまえた。
「じゃぁ、私から!」
“体の1段”
シオは、走りながら体をかけて肉体を強化する。
マレは、体をかけ直す様子はない。
「…分かった。」
マレは、そう言うとシオに向かって走り出す。
体はかけていない。
だが、マレはシオの攻撃をうまく防いだ。
「呼吸とは…予測。
呼吸のリズムを自分と置き換えて、相手の動きを先読みすること。」
マレはそれだけを呟くと、後ろに跳んでシオとの距離をとった。
“技の1段”
シオは、刀身に炎を込めてるとキーウエポンを振って炎の斬撃を飛ばす。
「コレくらい、見切れる。」
マレは、アンナの時と同様に炎の斬撃をキーウエポンで真っ二つにした後にキーウエポンを銃形態に変型させた。
銃口をゆっくりと、シオに向ける。
「…今なら、分かる。」
“技の1段”
マレは、キーウエポンから炎球を放った。
アイク達と同じように。
「っきゃ!」
突然の炎球に驚いたシオは、炎球をもろにくらって吹き飛ぶ。
「…使えるようになったんだ。」
そういうと、シオはマレに向かって再び走った。
先ほどより速く動いていて、手を抜いている様子はない。
「呼吸のリズムなんて、教えない!」
シオは、マレの動きを錯乱させるように素早く動いた。
もう、手加減をするつもりはないみたいだ。
「最初から…それでいい。
次で、決めるから。」
そういうと、素早く動いている筈のシオをキーウエポンで殴り飛ばした。
殴られたシオは、転がるようにアイク達の所に戻る。
「二人とも、訓練を止めろ。
ベル、シオの治療をしてくれ。」
「いや…少し様子を見て。」
アイクの指示に対してベルがそういっている間、マレはキーウエポンを杖形態にしながらシオに向かって歩った。
キーウエポンの先に、光が集まっていく。
予備動作が長いが、間違いない。
あれは…。
“心の1段”
マレのキーウエポンから放たれた光りはシオの体を包み、全身の傷を癒した。
「よかった、うまくできて。」
マレは、そう言うとゆっくりと倒れた。
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