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第一章 目と目が合って、おひさしぶり
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「……?」
最初は、氷の城にまた光の変化が起こったのだと、マコトは思った。けれど、周りにいた見物客たちは全員、美しく輝くオブジェクトに背中を向けている。その存在すら忘れてしまったかのように、まったく別の方向に熱い視線を送っている。
「もうひとり、来るよ」
予言めいた言葉だった。座り込んだままのユウが、マコトに向かって微笑んでから、ゆるりと首を巡らせる。
「!」
ユウの視線を追った先でマコトが見たものは、自分の前方にあった人の壁が、ゆっくりと二つに割れる光景。そうして生まれた道を、まるで要人や王族のために敷かれたレッドカーペットのように使ってやってくる、ひとりの少年の姿。
間深く被った黒いフードに隠れてしまっていて、遠目からは口元すら確認できない。けれど、彼の輪郭、色、空気。そのわずかな情報だけで、強烈に視線が惹きつけられた。彼が足を踏み出す、彼が指先を動かす、彼が首を傾ける。そんな他愛もない仕草のひとつひとつを、目で追いかけずにはいられない。
少年もまた、ユウのようにまっすぐマコトたちのほうへ向かってくる。ユウは『もうひとり来る』と言っていた。それは、つまり。
「……あの男の子が、五人目の仲間? ボクたち、彼と一緒に冒険をしたのっ?」
「おい、この辺りだけ空間が歪んでいるぞ。さっきから鳥肌がひどい」
「仲間だって知らなかったら、絶対に目なんか合わせたくないわね」
三者三様の反応を目の当たりにしたユウが、小さく声を上げて笑う。「別に、噛みついたりしないから大丈夫。……機嫌が悪くなければ」
そんなやり取りをしている間にも、少年はゆっくりとこちらへ近づいてくる。彼を遠巻きにしている観衆は、誰ひとりとして言葉を発することもできず、ただただ陶酔し、または戦慄するだけだ。それは、彼のことを異世界で行動をともにした仲間だと確信しているマコトでさえ、例外ではない。どくどくと、心臓が早鐘を打つ。脈が早い。息が苦しい。
最初は、氷の城にまた光の変化が起こったのだと、マコトは思った。けれど、周りにいた見物客たちは全員、美しく輝くオブジェクトに背中を向けている。その存在すら忘れてしまったかのように、まったく別の方向に熱い視線を送っている。
「もうひとり、来るよ」
予言めいた言葉だった。座り込んだままのユウが、マコトに向かって微笑んでから、ゆるりと首を巡らせる。
「!」
ユウの視線を追った先でマコトが見たものは、自分の前方にあった人の壁が、ゆっくりと二つに割れる光景。そうして生まれた道を、まるで要人や王族のために敷かれたレッドカーペットのように使ってやってくる、ひとりの少年の姿。
間深く被った黒いフードに隠れてしまっていて、遠目からは口元すら確認できない。けれど、彼の輪郭、色、空気。そのわずかな情報だけで、強烈に視線が惹きつけられた。彼が足を踏み出す、彼が指先を動かす、彼が首を傾ける。そんな他愛もない仕草のひとつひとつを、目で追いかけずにはいられない。
少年もまた、ユウのようにまっすぐマコトたちのほうへ向かってくる。ユウは『もうひとり来る』と言っていた。それは、つまり。
「……あの男の子が、五人目の仲間? ボクたち、彼と一緒に冒険をしたのっ?」
「おい、この辺りだけ空間が歪んでいるぞ。さっきから鳥肌がひどい」
「仲間だって知らなかったら、絶対に目なんか合わせたくないわね」
三者三様の反応を目の当たりにしたユウが、小さく声を上げて笑う。「別に、噛みついたりしないから大丈夫。……機嫌が悪くなければ」
そんなやり取りをしている間にも、少年はゆっくりとこちらへ近づいてくる。彼を遠巻きにしている観衆は、誰ひとりとして言葉を発することもできず、ただただ陶酔し、または戦慄するだけだ。それは、彼のことを異世界で行動をともにした仲間だと確信しているマコトでさえ、例外ではない。どくどくと、心臓が早鐘を打つ。脈が早い。息が苦しい。
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