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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

リーゼロッテのお店

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「…………はっ!」

「……………………ん!?」

2人は今商店街のように並ぶ店を練り歩いていた。
今までの場所よりもしっかりとした店舗が隙間なく立っていて食べ物や飲み物を売っている。
スイはタピオカミルクティーとクレープを持ち、ファーレンは濃い立てた抹茶とわらび餅を持っている。

「…………しまった!装備買うはずが!こんなに美味しそうなの並ばせるなんて!!なんて罪深い!!!」

「こんなに知らない食べ物があるなんて!!食べてみてくれって言ってるようなもんじゃないか!!くっそー!誘惑しやがる!スイ、あれなに!?」

「どれ!?………おしるこぉぉぉぉ!!食べたいおもちぃぃ!!」

「餅!?あの伸びるやつだろ!?テレビで見た!!食いてぇ!!」

「あ!待って!私も行くー!!!」









「…………………気のゆくまま買っちゃったわ」

「……………幸せの値段はプライスレスだ」

「いや、金額かかってるから。装備買わなきゃでしょー」

「はっ!」

両手いっぱい、溢れるばかりに買った2人は飲み物だけを持ち後はストレージにしまってため息を着いた。
幸せな道だった………だけど、あれは誘惑が強すぎる………
首を振るスイに、ファーレンはでも!だけど!!と言いながらも先に進む。


「…………ここでも建物なんだ」

「へぇ」

露天商は誰もおらず、全て店が立ち並んでいた。
前みたいに並んである商品を見て歩くことは出来ないが、装備は今までより段違いに良いものが店に展示されているのだ。
それくらい、この第3の街付近の敵が強くなっている。

「どれはいる?先に盾みる?」

「そう、しようかな…」

迷いながら答えたファーレンは盾の看板が表示された場所へと向かっていった。
それに合わせてスイも付いていくと、ファーレンは

「いいのか?着いてきても楽しくねーよ?」

「んー、どんなのあるか見ようかなーって。」

「ふぅーん?」

数軒あるうちの1箇所にファーレンとスイが入った。
中には大小様々な盾があるが、あまり数はないようだ。
壁には小さな盾が飾られ、性能がかかれている。
床には専用の立てかける機材で大盾が置かれていた。
それぞれ見ているが、ファーレンは首を傾げて店を出る。

それを数軒回ったあと、ファーレンはある店にたどり着いた。

「ここは……」

「今までの店より少ないね」

ガランとした店内、装飾品もあまり無く小さな盾が5つ、大盾が3つあるだけだった。
その全ての盾も、明らかに性能が飛び抜けている。

「お、いらっしゃーい!リーゼロッテの店にようこそ!」

エプロンドレスを着た女性が奥から現れた。
ニコニコ笑う顔にはソバカスがあるが、それがチャーミングである。

「あの、随分すくないんですね」

「ん?あぁ、ここは完全オーダーメイドなのだよ。ちょっと値は張るけどね、体に合わせた盾の使い心地は有り得ないくらいにいいよ」

にっこり笑っていうリーゼロッテに、ファーレンはオーダーメイド…とつぶやく。

「盾の性能とかも好きに選べるんですか?」

「もちろんだよ!まぁ、私のできる範囲ってのが条件だけどね。どうするよ?」

テーブルに頬杖を付いて言うと、ファーレンはお願いします!と頭を下げた。

「うんうん、おねーさん張り切っちゃうな」

「………あの、この盾は売り物なんですか?」

スイが指さして言うと、リーゼロッテが視線を向ける。
そこには飾られている盾達だ。

「あー、それね。せっかくオーダーメイドでつくってもたまーに取りに来ない人がいるわけさ。受け取り期限が過ぎたのに取りに来ない場合は売りに出すわけ。でも体に合わせた盾だから買う人にあってないのよ。だからかなりリーズナブルにだしてるの。まったく最高傑作の数々をこんな壁に張り付かせるなんて信じらんない」

腰に手を当てて言うリーゼロッテは頬を膨らませて言った。
それにスイはなるほど…と呟く。
小さな盾をじっと見ていると、リーゼロッテは首をかしげた。

「欲しいの?」

「え?いえ私奏者ですから」

そう言って出したハープをリーゼロッテはじっと見る

「………………これってさ、サーヴァのおっさんから買った?」

「え?はいそうです」

「…………………へぇ、あのサーヴァがこれ系の楽器を売るなんてねぇ………よし!、ちょっとまってて!」

バタバタと走って奥に行くリーゼロッテにスイはキョトンとしていたら、ファーレンが腕を掴んできた。

「なにあれ!?店の店員があんな対応するの初めて見たんだけど!?」

「あんなってどんな?」

「だから、色々聞いてきたりとか!」

「?いや、話聞いたら聞き返されたりとかするじゃん」

「普通に話できるのか?」

「むしろしてなかったの?」

2人して沈黙している中、リーゼロッテが戻ってきた。

「いやぁ、参った参った。どこしまったか探しちゃったよ。」

両手で白い箱を持って戻ってきたリーゼロッテがスイに箱を差し出した。

「悪いんだけどさ、これサーヴァのおっさんに渡してもらっていいかな?急ぎじゃないんだけどそうだなぁ、2週間前後位には届けて欲しいなぁー」

リーゼロッテはお願いとスイが箱を持った後に手を合わせて言った。

ピコン!
緊急クエスト
リーゼロッテからサーヴァに荷物を届ける。
期限2週間
成功報酬:楽器
失敗した場合は荷物はリーゼロッテの元に戻る、リーゼロッテとサーヴァの好感度減少

「ん!?」

「ん?どした?」

クエスト表示が出てスイは声を上げた。
まって!?成功報酬楽器!?
これ運ぶだけで!?
マジで!?

スイはリーゼロッテを見て、力いっぱい頷く。

「必ず!届けます!!」

「ありがとうー!」

「?」

ファーレンを見てスイは言う。その顔は輝かんばかりである。

「来た!クエスト!!」

「はぁ!?」

スイの言葉にファーレンは声を上げる。
そして、スイがしていた会話を思い出しあれがきっかけなのか…と呟いた。

「……俺、絶対的に会話が足りなかったんだな」

床を見て言ったファーレンは、スイとリーゼロッテが話しているのを見てから「よし!」と気合いを入れた。

「これを運んでくれたらサーヴァから報酬貰えるようにしとくから、貰ったらまた来てくれるかな?」

「わかりました」

箱をしまったスイに、ファーレンが近づきリーゼロッテを見る。
すると、リーゼロッテが見て笑ってファーレンの腕を叩いた。

「ごめんごめん!さぁ、話しよっか!!腕がなるよぉー!!」

スイはファーレンに話しかけ、先に届けてくる旨を伝えた。
それにファーレンは頷き手を振り合う。
お互いの装備が整ったら1回イベント前に共闘する約束をして。








「……………ついたぁー」

蜂での移動はクールタイムがある為、スイは1人逆走していた。
敵を殴っては倒し、吹き飛ばしては倒ししてかなりのスピードで移動した為、レベル上げ中や、散策、先に進もうと行動中のプレイヤーは驚き飛ぶスイの後ろ姿を見送った。
そして、今は懐かしい街並みが見える。
今は第1の街入口に立つスイは肩で息をし疲れたー…と全身の力を抜いた。

そんなスイを第1の街にいる第3陣プレイヤーがザワザワと話しながら見ていた。

あれが…とか、どれくらい凄いんだろ…など、ボソボソと声が聞こえるけど今更とスイは気にせず街中へと入っていった。

「久々だー」

キョロキョロと周りを見るが変わった様子はなく、スイは鼻歌を歌いながら歩く。そんなスイを特に新規奏者達は話したい衝動に駆られながらも見送るのだった。
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