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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

公式イベント終了と新たな仲間

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[やぁ、みんなお疲れ様!見事ミドリチームの勝利だね!]

雪山で休んでいたミドリチームは一気に3チームがいる噴水広場へと戻ってきた。
まだ腕に巻いているミドリのリボンが勝ちの証明だ。

[雪合戦は色々考えさせられるゲームだったよねー。]

ウンウンと頷いて言うゲームマスターに、プレイヤー達は一斉にスイを見た。

これが、奏者?
デタラメじゃないか!!
でも、奏者って全体バフ使えるからいたら確かにいいんだよな
奏者ってβの時と違って上方修正されたのか?
今後の奏者ってみんなこうなるのか…………?

[あ、言い忘れてたけど、今回は死に戻りしてもイベントだからペナルティはないからね!それじゃミドリチームに報酬と、クラン個人での報酬をプレゼント!クラン所属はクラン用、個人参加は個人用で報酬があるからね!]

じゃあ、1位は…………………………



まぁ、迷うことなくカガリ率いるフェアリーロードだった。
全員そうですよねー…と納得。
アリエナイ火力を出したスイは勿論だが、それぞれ高火力な攻撃や防御、支援をしたこと。
そしてミドリチーム全員への食事支援という運営すら考えていなかったクリスティーナの行動も高く評価された。

続いて英雄の箱庭やキラキラガールもどんどん名前が呼ばれる。

こうしてスイたちは無事に2つの報酬を受け取ることになった。
優勝の報酬は自分達で好きなのを選び、クラン報酬は全員でお揃いのを選ぶ事となった。

「同じクラメンでお揃い!いいですね!」

リィンが、ね!とスイを見て言い、スイもはい!と頷いた。
受け取り期間は今から1週間だがほとんどの人は既に確認して選んでいる。

[それじゃあ、第1回公式イベント終了!また次のイベントを用意するから楽しみにしててね!またねー!!!]














「………………………うぅーん」

「予想以上ね、チートって言われても仕方ないかも」

「…………………たぶん、やろうと思えばあの子並みにどの職もできるんだろうけど、特殊だなぁ」

「そうねぇ」

「「……………下方修正かな」」

はぁ、息を吐き出した2人はチラッと後ろを見るとへろへろになっている社員たち。
まだまだこれからも仕事があるし、公式イベントの動画をまとめ公式サイトに貼る仕事も山盛りあった。

「あ、結構目に余るプレイヤーもいるわねぇ」

「そっちも対処しないとなぁ…………」

「…………いつ帰れんのかなぁ…………」

哀愁漂うその言葉に2人はまたため息を吐き出した。









「よし。これでいいか?」

噴水広場はまだまだ人で溢れている。
フェアリーロードもクランハウスに帰るのが惜しいとその場に留まり報酬を見ていた。
ほとんどのプレイヤーがその様子をみている。
繋がりたい、強さの秘訣を知りたいと話し合いが終るのを待っていた。

「「「「かわいー!!!」」」」

クラメン全員がお揃いにしたのはエンブレムだった。
好きな模様を入れることができるそれに妖精が道の上を飛ぶふんわりしたイラストが彫刻され、下にフェアリーロードと字が刻まれている。
みんな早速服に取り付けると、全員を見渡して嬉しそうに笑った。

「私、イベント前に入れて良かった!入れなかったらこれ貰えてなかったのよね」

クリスティーナがうふふ、と笑って自分のエンブレムを撫でる。
それをみたスイは嬉しさが込上がりクリスティーナにぎゅっと抱きつくと、あぁぁん!大好き!!と抱き返された。
2人は相変わらずである。

「本当に嬉しいですね」

リィンが可愛く言うと、スイは初めてリィンにもぎゅっと抱きついた。
嬉しいです!とテンション高めに。

「きゃ!!!」

顔を真っ赤にしたリィンが慌ててカガリに助けを求めている。
あわあわと手を振り回すリィンにカガリは乾いた笑いを出していた。

「それにしても凄いですね、これ」

エンブレムを見て言ったファーレンはキラキラと目を輝かせる。
エンブレムの効果はファーレンは防御力+30
それぞれに1番良い状態の物が付与するみたいだ。
スイは演奏+30で、嬉しそうにしている。
まだ、リィンを離してはいないが。

「あ、あの、そろそろ離して…くれますか?」

どこからかパシャリとスクショの音を聞きながら、スイはリィンから離れた。
そして振り向く。
クリスティーナを見る。
ニヤニヤしてる。
スクショを撮ってる。
無言でクリスティーナの方へと歩くスイをクリスティーナは笑いながら逃げようとしたが、立ち止まりスイをみた。
ちなみに、スクショ設定でクラメンはスクショOKにしている為とれます。

「スイ、優勝報酬はどうする?」

「え?」

ぴたっと止まりクリスティーナから視線を外し報酬画面をもう一度見る。
スキル付与や地雷設置なんてマイナーなもの迄あるその数100。
あり過ぎても見きれないし、数は厳選したらしい。
クラメン達も着実に選んでいく中、スイはある1点を凝視していた。

リアルでも欲しくて欲しくてたまらないモノが乗っているのだ。
欲しくて欲しくて、いつも見ていたそれが、ここで手に入る……………?
戦闘に関係ないそこに書かれたそれ。
スイは震える手でタップした。









ペット(愛玩用)

自身で飼えるペット。
完全愛玩用で、戦闘にでるとすぐに死ぬでしょう。
可愛がってあげてください。
エサやシャンプー等は必須、それぞれ性格があるので適した対応をするといい事があるかもしれません。
犬、猫、兎、鳥、狐
から選べ、種類はランダムです。
あなたのお気に入りの1匹が手に入りますように。












「スイ?決まったの?」

「……………決まった。この子にする……」

「え?この子?」

迷いなく、これにしますか?にはいを押したスイの目の前が光り出した。
報酬を貰う前に光るので異常はないが全員の目を引いてしまう。
しかも、暴力的なまでの火力を出したスイである。
また強くなるのか…と全員が心配そうに見守る中現れたのは………………

「きゃん!」

クリクリの目に潰れた鼻、ヘレヘレと舌を上下させる笑ったような顔。
顔や耳は真っ黒で耳は垂れ、茶色、フォーンの色したフワフワの毛が全身を覆っている。
尻尾をフリフリフリフリ!お尻も一緒にフリフリフリフリ!!
目をキラキラさせてスイを見上げる犬。
立ち上がり脚にすがりつくその姿は愛らしいの一言。
ペキニーズであった。

「っ!!!!はじめまして!!ママだよ!よろしくね!!!」

抱き上げたスイは犬に頬擦りすると、ペとっと頭をくっつけてくるその犬に一瞬で撃ち抜かれた。
グリグリと首元に頭を擦り付けてはヘレヘレと舌を出しながら顔を見る。
もふもふフワフワなその子をスイは気に入った。

「君はもふもふだよ、よろしくねもふさん!あ、女の子だね!」

キャッキャウフフと犬と戯れるスイの周りは心を射抜かれ倒れる人続出、犬をガン見している人もいた。

「も…もふもふ?」

「うん!もふもふしてるから!」

フワフワの毛に柔らかい体。
脇の所で支えて足をブランとさせながらクリスティーナに顔を見せるが、背中をそらして顔を後ろに向けすぐにスイを見る。
ヘレヘレヘレヘレヘレヘレ

「っ!!!もぅ!かわい!!かわい!!」

すぐに抱き直してぎゅっとする。
そしてチューをしようとした時、ゆっくりとヘレヘレしながら顔を逸らした。
また近づくがまた逸らす。

……………………チュー嫌いかwww

無理やりチューすると我慢するが離れた瞬間また顔を逸らす。
その行動すらも心を射抜く道具でしかない。
プシュ!と鼻水を顔に飛ばされるが、スイは笑って他の犬より少し大きめの頭をグリグリと撫でた。

「かわいいよぅ!かわいいよぅ!」

【【【【【【【【【【【お前込みでかわいいわ!!!】】】】】】】】】】】

全員の意見が一致した。



戦闘用のものや生産のものを取る中、結構もふもふ好きは多いらしくスイを見た後のプレイヤーはペットを選んでいる人が沢山いた。
種類は本当に豊富で、様々出る中ペキニーズ仲間を見つけたスイはキャッキャと話をしている。
勿論、その人はラッキーとスイと話をしていた。

お宿にもふもふ広場が出来そうである。

「嬉しそうですねー」

「幸せそうで良かったのですよー」

「………………後で触りてぇ」

「あらカガリ犬好き?」

「犬アレルギーでリアルではダメなんだよ…俺も犬取るかな…」

カガリがまだ取ってない報酬をペットにしようとタップしていた。
そして現れたのは立派な尻尾をフッサフッサと振る大型犬

「…………まじか、ゴールデンレトリバー」

大当たりである。
わふわふしている真っ白なその子をカガリは全身でもふもふした。
それを見たセラニーチェも、じゃああたしも!と、ペットを選択。
セラニーチェは猫を選んだ、
全体的に薄い青のフワフワの猫。
エキゾチックショートヘア
広く丸い顔に潰れたお顔がまた可愛い!!

「やーだー!かわいいー!!」

抱き上げるとゴロゴロと喉を鳴らしてまったりと寛いでいる猫を満足そうに抱きしめた。

「……………宿の一角にコイツらの場所つくんねーとな」

「賛成」

しゃがみこみお腹をわしゃわしゃ撫でるカガリ。
ゴールデンレトリバーはお腹を出して気持ち良さそうな顔をしている。
少し離れた所ではスイがもふもふにメロメロ。
こうして新たな仲間が3匹加わった。


ペットフィーバーが訪れた瞬間である。


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