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第1章 はじめまして幻想郷

荒ぶる親友2

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「デラックスガトーショコラとスイートポテト、レモンソーダください。」

壁につけられてる受話器を掴み、注文する翠。
デザートを決めた、今回はデラックスガトーショコラ。
ただのガトーショコラじゃない、デラックスだ。
3人前くらいの大きさのガトーショコラ、アイス添え。
悩みに悩んだ1品でお高いが、カラオケ店なのに本格ケーキ屋さんの姉妹店らしくスイーツは一級品。
その分ご飯は普通って感じのバランスだ。

ちなみに、あかねは毎回スイートポテト。
聞かなくてもわかるから勝手に注文、翠は気の利く子!

「まじか、まさかのデラックス」

「いっつも気になってたんだよねー」

「わかるけどね、しかもガトーショコラそれしかないし」

「でしょー?」

デラックスシリーズは他にもあって、スイーツは全品ある時期に総入れ替えする。
それまでに食べないと、次またいつ出るかわからないのだ。

「それにしても奏者ってあんた……なんでまたそれ選んだの」

「楽器がひけるからー」

「………………………そっか」

チラッと手を見てからそれ以上あかねは何も言わなかった。
翠の趣味は小さな頃から弾いていたヴァイオリンを弾くことだった。
高校2年の時、バイクが歩行中の翠と衝突するまでは。
毎日弾いていたその右手はバイクに踏まれて繊細な動きが出来ないくらい神経まで怪我が到達していた。
リハビリで日常生活が出来るまでは復活したが、ヴァイオリンはもう弾けない。

今では少し弾いては痛みが走り休憩。
だから眺めるだけのオブジェクトに変わっている。

「……………楽器楽しい?」

「楽しいよ!今はね大きなハープ弾いてるの!弾き方なんてわからなかったのに、勝手に弾けるんだよねー、不思議!」

「ゲームだからねぇ」

「……………いつかヴァイオリンもほしいなぁ」

「………今度さヴァイオリン手に入ったらまた弾いてよ聞きたいな」

ね?と首を傾げて言ったあかねに、翠はニッコリ笑って頷いた。
もちろん!!!


「ねぇあかね、もう第二の街にいるなんて凄いよね。早いなぁ」

「あぁ、お米料理が売ってるって聞いたからね。米があるのか!って思ってフレンド達がボス戦行くって言うから入れてもらった」

流石に1人は無理無理ーと手を振るあかねに、お米……?と首を傾げる。

「第一の街にはさ、米料理ないのよ!見た?」

「………確かに、肉とかハンバーガー系が多かった様な……」

うんうんと思い出しながら言う翠に、そう!そうなの!と力説するあかね。
いきなり立ち上がり翠を見ていう。

「ゲームの世界でも!米が食いたい!!日本人の主食は米!!あの白く光る甘い米が!!至高!!!」

ダンッと足を鳴らして言うあかねを紅茶を飲みながら眺める。

「あんたの料理愛はよく知ってる」

「だったらわかるでしょ!ハンバーガーもいいよ!ふかふかバンズに包まれたシャキシャキ野菜にジューシーな肉!肉汁が垂れて味が染み込むあの美味さ!添えられてるポテトはホクホク揚げたてでいい塩加減、ハンバーガーとの相性さいっこう!でも、米がくいたいんだよ!!さんざん屋台の食べたよ!美味いさ!でも、米が無いんだよ!米が!!!」

「失礼しますー、デラックスガトーショコラにスイートポテト。レモンソーダです」

「ありがとうございます」

力説してたあかね。その途中から入ってきた店員にあかねはコロッと笑顔を見せて椅子に座り礼を言う。

店員が出ていった後、あかねはデラックスガトーショコラを翠に渡してからスイートポテトをスプーンでひとすくい。
相変わらずの滑らかさに笑顔を浮かべる。

「んー、おいしい!」

「ん、濃厚!」

「1口食べていい?」

「いっぱい食べなよ」

あかねが1口1口と言っているが、翠はガッツリと切り分けてあかねのお皿に移動した。
滑らかなスイートポテトの横に激しい重量のガトーショコラがデーンと鎮座する

「うま!濃厚!!」

ほっぺ蕩けるー!と喜ぶあかねはうずうずとケーキを見ていた。

「………………これ、ゲームでいつでも食べたい」

「賛成、頑張るわ」

流石に現実で毎回は食べれない、量はもちろんカロリー的にも。
翠の言葉にあかねが賛成と言うと、翠はあかねの頑張るという言葉に引っかかった。

「頑張る?」

「ん!………あ、言ってなかったっけ。私ベータの時から生産者で料理人だよん!」

いぇい!とブイサインするあかねに、翠は料理人………と呟いた。

「ゲームで好きな味の料理作り放題!まぁ、レベルが有るから種類は限られてるし味もまだ統一しないから露店の方が美味しいのも沢山あるけどね」

照れ笑いするあかねを翠は呆然と見つめる

「翠?」

「………あかね、私たちフェアリーロード、今料理人探してる」

「!詳しく」

真剣な顔をして言うあかね。
でもその手は止まらずスイーツを口に運んでいる。











「なるほど、クランハウスで宿屋ね。確かに料理人いた方が客は集めやすい」

「まだ、内緒にしててね?勝手に言っちゃって良かったかなぁ…」

有名人なフェアリーロードの情報。あかねは言わないよ恐ろしいと口にした。

「ふむ、確かにめっちゃ魅力的なお話。ただなー、レベルがなぁ」

ベータの時よりもレベルが低い為思ったような料理がなかなか出来ないと話すあかね。

「ギリギリまで頑張るから、先に翠が食べてよ。それでいいと思ったら紹介よろしく!」

ニッコリ笑うあかねがこの性格で良かったと思った。
有名人と近づきたいからすぐに会わせて!なんて言わないあかねはただ翠の話を聞いて友達のお願いだからと頷く優しさが大好きだ。

「まずはさ、第二の街にきたら合流しようよ。フェアリーロードの人達ボス戦手伝ってくれる?」

「あ、うん手伝ってくれるよ」

「なら大丈夫だね。待ってる」

「わかった!」

楽しみだね、と笑いあってスイーツをつつきあう2人は時間いっぱいまでカラオケを楽しんだ。


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