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第2回女子会開催

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 第1回女子会を開催してから日が経った。
 1回目から今回の2回目までの間にも様々な事があったが、大きな変わりもなく日常は動いている。
 川の氾濫から街への被害や庭の被害も中々のものだったが、芽依の神水という予想外の新しいアイテムの発現にびっくりしたり、体調不良でメディトークに吐き戻してしまったりと醜態を晒したが芽依達に変わりはなかった。
 数日かけて神水を作り、庭に撒いて野菜は復活。
 ついでにガガディたちに神水を飲ませたら、元気になりすぎて柵を壊して暴走した為、芽依はシュミットにしがみつきフルフルと震えた。

 神水については、アリステアに説明すると胃が痛いのか必死に腹を抑えていた。
 なんだか申し訳なかったが、そのまま移民の民の庭に連れていかれて浸水を取り除く。
 庭の規模が狭いため、バレないように神水を作ったが最後のメロディアとユキヒラの場所でキャパオーバーし、吐き戻してメディトークに抱き上げられた。
 芽依たちのように庭に住んでいる訳じゃないから休む場所がなく、しばらくメディトークに抱えられ袋を持ち吐き戻してから青白い顔で帰って行った。


「大丈夫なのメイ、体調は」

「うん、もう平気。心配掛けてごめんね」

 女子会で集まった場所は前回と同じカフェの個室をアキーシュカに借りている。
 椅子に座った芽依に、さっそく聞いてきたメロディアに芽依は笑顔を向けた。
 メロディアは、芽依が体調を崩して吐き戻しているのを見ていたから眉尻を下げて聞いてきたのだ。

「詳しくは聞かないけど、浸水を消した事に関係あるんでしょ? 」

「うん。そうみたい」

「こっちは助かるけれど、無理はしないのよ? 」

「ありがとう」

 周りには浸水の水を芽依がどうにか出来るとアリステアから説明を受けて庭を正常化したのだが、この神水については箝口令が出た。
 体調を崩すとはいえ、比較的簡単に凄い水が出来てしまうのだ。
 芽依という存在だけで、簡単に戦争が起きてしまいそうだ。

「さぁて、じゃあ話を始めようか? 」

 街中でのアキーシュカの話なども聞いたのだが、今は楽しい話をしよう? とウィンクされて止められる。
 それに初めて会ったミチルが真っ赤になって見つめていた。
 今回のメンバーは、前回と同じプラスミチルで、それぞれの伴侶はまた芽依の庭で男子会だ。
 こちらはまったりする雰囲気ではないのだが。
 だって、ガガディが神水であばれているのだから。

「さぁて、今回はなんの話しかな? 」

 クッキーを持ち、芽依の口元に持っていくとパクッと食いつく。
 勿論、メディトークたちがいる場では褒められた行為では無い為出来ないが、女子会だからいいよね? と緩く考えている。
 初参加のミチルは男性に見えるアキーシュカをチラチラと見ていた。

「花まつりについて聞きたいんだけど」

「あー、花まつりね。今年は花まつりドラムストだって聞いたわ」

 パキン……とチョコレートを割って食べるメロディアにアキーシュカも、そうだね、と頷く。

「花まつりか、また面倒な祝祭が始まるわねぇ」

「花まつり自体は悪くないけど、あの付き合ってくださいコールが面倒だよね」

 アキーシュカのため息にメロディアも頷く。
 それをミチルも不思議そうに首を傾げた。

「花まつりが求婚ラッシュになるのは聞いたけど、そんなになんだ」

「花まつりはね、世界中で祝祭として行うんだけど場所はランダムなんだ。春の妖精が気まぐれで場所を選ぶんだけど大体6~7ヶ所のそれなりに大きな都市や領地が選ばれる。聞いているかな、恋を成就する必要があるって」

「聞いてます」

「うん。それでね、世界各国の婚活中の人が集まるんだよ」

「それはもぅ、すごい人数よ。祝祭では既婚者も気を付けないと」

「既婚者もですか? 」

「ええ、貴方みたいな婚姻を結んでいる移民の民もね、他国の重婚が出来る場所の人は関係ないから。だから気をつけるのよ? メイ! 」 

「私?! 」

「特に伴侶なしのアンタは気を付けないとすーぐ染められるわよ! 」

「…………………………あー」

 芽依は数日前のメディトークの話を思い出して目を伏せる。
 身体中に力を巡らせて侵食させる。
 それを見ず知らずの人にされたら? 家族以外の人にされたら?
 無意識に想像してブルリと身体を震わせた。

「嫌だ」

「だから、気をつけるの。あと、聞いてると思うけど奴隷も入ってるからね。人数合わせにその場だけ付き合うとかもあるけど、フェンネルやハストゥーレだったらその場限りとか絶対ありえないから。わかってるだろうけど」

「そもそも人数合わせでうちの子使うとか、絶対ない」

 笑顔で言い切る芽依に、メロディアとアキーシュカはクスリと笑った。予想通りの反応だと。

「ここで危ないのはメイとアキーシュカね」

「アキーシュカ様は狙われそう」

「そういうパピナスだって言い寄るヤツはかなりいるだろう? 」

「カテリーデンで行列が出来るくらいにはパピナス魅力的。まぁ、わかるけど」

「メイ様! 私を魅力的と思って下さるのですね!! どうしましょう、むち打ちですか?! 」

「なんでそうなるの?! 」

 そっ……と渡されるムチを芽依は床に投げ捨てると、アキーシュカが吹き出す。
 そんな穏やかなお茶会をミチルはソワソワしながら参加していた。

「どうしたのよ」

「いえ……なんか、落ち着かないというか……」

 モジモジしながら言うミチルに、芽依は首を傾げた。
 定例会議や行事で集まる度に芽依達やメロディア達と一緒にいるミチルではあるが、メロディア達程プライベートの時間を一緒にいる訳では無い。
 だからか、ミチルは少し緊張気味だった。
 いつもはレニアスの前にいてフォローすらするミチルがソワソワしているのだ。何かあるのだろうか。
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