[完結]兄さんと僕

くみたろう

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2日前

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「ん、…………はぁ…………あっ……あん!!……やぁぁぁ……もう…………やだぁ……」

 泣きながら下半身を触る莉央は体の熱に振り回されていた。
 思春期の性に興味がある健康な男児である莉央だが、こんな強制的に高まる性欲は初めてである。
 自分のこんな姿が嫌で嫌で仕方がない。
 
 しかし、この火照る体をどうすればいいのかわからない。
 昨日なんとかソファからベッドに移動したのだが、無理に動いたのが祟ったのか莉央はまるっきり動けなくなった。
 ふわりと体を包んでくれるシーツにすら体をビクリと跳ねさせた自分に絶望する。

 特に嫌なのは快感を拾い体はぐちゃぐちゃなのに、頭はとてもクリアなのだ。
 この身体中が変わっていく不快感も、どうにもならない欲も全部冷静に見れる自分がいる。

 そんな自分自身を見ることが出来るからこそ、嫌で仕方がないのだ。

「あ…………あん!……ああぁぁあ……やぁぁ!」

 手のスピードがまた早くなる。
 グチュリグチュリと粘着質な音を奏でている自分の体に泣きながら、それでも立てた足を閉じれなくて両手は自分自身を高めていく。
    そんな自分が情けなくて、おぞましくて泣きながらシーツに顔を押し付けた。

 欲を、一体何度吐き出しただろうか。
 昨日から何度も何度も自分を高めて欲と涙を吐き出しシーツはぐちゃぐちゃだ。
 柑橘系の香りがしていた室内も今は既に消えていて、独特の香りが部屋中に漂っている。
 
 多分声も響いているだろう、夜の静かな家の中で兄に自分の声が聞こえていると考えただけでも羞恥で死ねるのに、それを考えるだけで熱が上がった。
  
 僕の声を聞いて兄さんはどう思ってるんだろう……
 気持ち悪いとか、思ってないかな……

「あっあっ……んぅ…………はぁ……やぁ……」

「………………莉央、大丈夫か?」

「……え…………にいさ…………や、やだ!!やだやだ!!見ないで!!」

「莉央、大丈夫だから」

「やだぁぁ!……あ、あん…………あぁ!!あっあっ!!ああぁ!!……や……やだぁ……見ないで、ごめんなさい……」

 慌ててシーツを引っ張り体を隠すが、体を弛緩させ油断していた莉央は、敏感な体がシーツによる刺激を感じとり目を見開いて悲鳴を上げた。
 
 一気に生臭い香りが溢れ、真っ赤な顔で泣き出す莉央を里美はベッドに近付き頭を撫でる。

「……大丈夫だ、莉央。体の変化による急激な欲はどうしようもなく辛いよな。でもそれも今日で終わるから。もう少しだけ、頑張ろうな」

「うぅ……にいさ……」

「ああ、大丈夫。喉が痛くなるだろ?ほら、少し飲もう。腹になんか入れないと体力だけ奪われるぞ」

「ん…………うん……うん」

 体を起こされコップに入れた飲み物を口元に持ってくる里美に、莉央は素直に従った。
 確かに昨日の昼から何も食べていないのだ。
 喉も乾いたし痛いし、お腹も空いている。
 それを無視できるくらいの強い快感が莉央を翻弄するのだ。
 少しの水分とお粥を口にしたが、莉央の薄い体は更に薄くなった気がすると里美は眺めた。

「……あ…………んぅ……」

 里美の手が莉央の腕をかすめただけで、快感を拾ってしまう。
 こんな姿、兄には見せたくないのに。

「…………僕、僕は……Ωになる?」

「……そうだね、莉央はΩになるよ」

「僕は!兄さんみたいな…………強い、‪α‬に…………はぁ……あ……」

 快感を流そうと必死な莉央を目を細めて見る里美。
 Ωへの変体を勿論初めて見るが、Ωのヒートと同じくらいグラリと欲に流されそうになる。
 伸ばしかけた手を握りしめて、寄りかかる莉央の頭を撫でた。
 
 Ωの変体に絶対してはいけないことがある。

 それは、この期間に体を繋げること。
 どんなに体が辛く逃げたいが為に懇願されても、それは絶対にしてはいけないのだ。
 
 Ωの体が変わる時に他人を受け入れると、Ωとして欠陥品となる。
 Ωの強い繁殖機能は、この体の変化が如実に現れる時に体内に出来るのだ。
 その時に無遠慮に体内を掻き回されたらこの繁殖機能を著しく低下させる。

 莉央と里美のように自宅に‪α‬とΩが居る時、欠陥品は出やすい。
 たとえ兄弟姉妹だろうと、このヒートというものは本能から来るもので抑えることは難しいからだ。

「…………いやだ……いやだよ…………あ……あん……にいさ……怖い……Ωは、こわ…………ああぅ!……助けてぇ……」

 縋り付くと、顔を険しくした里美は莉央を強く抱き締めた。
 ぐちゃぐちゃに汚れている莉央を躊躇いなく抱きしめた里美は、喘ぎながら泣く莉央を落ち着かせようと背中をさするが、それすらもゾワゾワと体が沸き立つ。

 まだ今は午前中、莉央の地獄の時間は終わらないのだ。

「つらい……にいさ……つらいよ……うぅ……あ!あっあっ!……また…………また……ィ……」

「ああ、大丈夫、そばに居るから怖い事なんてないよ」

「あぁ!……だめ!……だめだめ……触ちゃ……あっ!あん!」

 抱きしめたまま、優しく指先で背中をツツ……と動かすと仰け反らせて声をあげる。
 晒された胸の飾りに優しく人差し指をひたりと当てると、熱にうなされた莉央は里美の服を強く握り額を肩に押し付けて声を出した。
 その甘く艶やかに変わる肢体も、全てが魅力的で里美はペロリと唇を舐めた。
 優しく優しく、壊さないように指先を動かす事で、莉央は悲鳴のような嬌声をあげる。

「あっ……あっ……」

 ぷっくりと膨らんだ胸の飾りだが、今まで莉央はそこに触れる事が無かった。
 そのむず痒くも溢れる快感は今の莉央には刺激が強く、腰が揺れるのを止められない。
 まだまだもっとと無意識に濡れた下半身を里美に擦り付けてしまう。
 それに気付いた莉央は、元々赤らめていた顔を真っ赤にさせ必死に謝るのだが、体は言うことを効かないのだ。

「あ……ごめ…………あ!あぁ!!……やだ、止まらな…………やだぁ……」

「いいよ、大丈夫……ほら、もう少し気持ちよくなって莉央」

「や……やぁ!……だめ!!……あぁ!!」

 グイッと手を差し込み下半身を触りだした里美に悲鳴を上げた。
 暖かく大きな手に覆われびくりと跳ねさせた体をいい子だと撫でられる。
 やわやわと動かし指先で撫で、時には押す里美の手に手を重ねて、離させようとするが、震える手では抵抗らしい抵抗は出来ない。
 ガクガクと震える足を里美に優しく撫でられ背中を逸らすと、一気に動かされ莉央はイッてしまった。
 
 バタリ……とベッドに倒れ込み肩で息をする莉央は、痙攣しているようにピクピクしている。
 
 ヒートは勿論経験がなく、そもそも自分以外の手で触れられる事など初めてだ。
 他人の手で高められる体に否応無く限界に登り詰められ泣きながらイカされた莉央は香苗の登校したあの怯え方を思い出す。
 今後もこんなヒートが続くのか、こんな姿を誰かに見られるのか……
 そう思って泣くのに、莉央の体はまだ里美の手を、体を求めて疼いている。
 
 里美に捕まり息を荒くしていると、離していなかったその手はまたゆっくりと動き出し、まだ落ち着かない体はすぐに熱を取り戻す。
 さっきよりもヌメリ、グチュリと音をたてながら上下に摩擦させられるゾワゾワとした感覚に、また身体中に力が入り足がピン!となった。

「や!…………やぁ、にいさ……にいさ、ん!だめ……あぁぁ!だめだめ!…………あっあっ!やだ!……やだぁ!!…………いっちゃ……うのぉ……あっあっ!」

「大丈夫だ莉央、ほら俺を見て?何度でも大丈夫だから、ほら捕まって」

「にいさ……あっ!…………はぁ……あぅ!」

「ほら、俺の手に集中して……そう、大丈夫……こっちも触る?痛くない……?……うん、ほら俺を見て顔をそらさない……怖くないだろ?」

 横になる莉央の上に跨り耳元で囁く里美は、チロリと耳朶を舐める。
 それにまた新たな快感を感じて里美の服を握る手に力を込めた。
 
 優しい里美の声と手で、時には舌で莉央を何度となく絶頂へと導く。
 莉央はその耐え難く辛い時間を1人きりで耐えられた気がしないと、汗をかき荒い息を抑えながらも優しく触れる里美にキュンと胸を高鳴らせた。



 あれから何時間が経っただろう、疲れ果て眠った莉央を見下ろしぐちゃぐちゃに汚れた体を上から下まで見る。
 涙や汗、莉央の放ったもので莉央もベッドも汚れていて、それを見て里美はコクリと喉を鳴らした。

 ツツ……と肌に触れるとビクリと体を震わし悩ましい声を小さくあげる。
 くりっくりっと乳首をこねると、腰が揺れた。
 甘い声が小さな口から聞こえ悩ましく眉をひそめる。

「……………………莉央……はぁ、よく我慢したな、俺」

 もう里美も、こんな莉央を見て数回放っていてズボンの中は酷い事になっている。
 しかし、今は未分化の中で1番大切にしないといけない時間なのだ。
 どんなに莉央が里美にとって魅惑的でも、どんなに助けてと手を伸ばしても、最後の一線は超えてはならない。
 一重に大切な莉央の為に。
 こんな状態で初めてを与えたくなかった。

「…………はぁ、莉央……」

 グッ!と手を握りしめてから、シーツを被せて部屋を出る。

「……ちょっと待ってろよ莉央、すぐに綺麗にしてやるからな」

 里美は浴室に向かい、頭から熱いシャワーを浴びた。
 全然落ち着く様子の無い自分自身に手を伸ばし、先程の莉央を思い出しながら手を動かす。

 何度も放った筈なのに、それはすぐに力を取り戻し莉央とは比べ物にならない程の大きな息子を撫で付け摩る。
 どんどんと早くなる手に力が籠り、体はぐっ……と力を入れる

「…………っ……くっ…………ん…………」

 眉を寄せ力が入る体は、先程の莉央を思い出し、その蕾に自分が入り込むイメージを簡単にしてしまう。
 壁に背中を当てて頭からシャワーを浴びながら自分を慰める里美は白濁を吐き出した。

「…………はっ……はぁ……はぁ……莉央……本当よく我慢したなぁ、俺」

 息を細く長く吐き出した里美は、莉央を思い出すとまた熱くなる体を無理やり諌め、体を洗って浴室を後にした。


「………………りーお、早く番になれるといいな」

 綺麗に拭かれても疲れて起きない莉央の頬をつつき、静かな夜に里美の声が小さく響いた

 
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