王太子は転生者

エス

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嫌な予感はだいたい当たる

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ここに産まれて早3ヶ月、色々とわかってきた。
家族構成は母《シューゼ》父《クーガン》兄《セシル》俺の4人らしい。
兄がいるのになんで俺が王太子なのかは俺にもわからない。
でも兄が王になることはほぼ無いに等しいのだという。
(兄さんはそれでいいのかな・・・。)
兄さんはいつも俺をかわいがってくれる。
でも心の奥底では俺を憎んでいるかもしれない・・・。
そんな事を考えていると兄さんが部屋に入ってきた。
(こんな時間に来るなんて珍しいな・・・。)
そう思っていると兄さんは俺に近づいてきた。
凄く真剣な顔をしている。
(ぇ、俺・・・もしかして殺されるの?)
兄さんが手を伸ばしてきた。
俺が思わず目を瞑るとふわっと頭を撫でられた。
びっくりして目を開けると兄さんは俺の耳にピアスを付けてきた。
(ピアス・・・だよな?でも痛くもなんともない・・・。)
俺がピアスに触ろうとすると兄さんはその手をサッと止め呟いた。
「アル・・・君はこれから大変な人生を送るだろう。命を狙われる事もあるかもしれない。だから君にこのピアスを授けるよ。これは1度だけ持ち主を守ってくれる精霊の加護を受けた特別な物なんだ。アルは光の精霊王の加護を受けているし大丈夫だとは思うけど・・・。君はこの国の未来の王であり僕の大切な弟だ。君に何も無い事を願うよ。」
そう言って部屋を出ていってしまった。
(命を狙われる・・・?まぁ王太子だしそんな事もあるかもしれない。いや・・・それより・・・今光の精霊王の加護って言ってた・・・よな?)
この世界には魔法とかはないが代わりに精霊からの力を借りる。
普通は精霊を召喚してそれを使役するらしいが、ごく稀に精霊王の加護を受けている子供が産まれるっぽい。
(ぇ、・・・まさか・・・俺がそれなのか?)
精霊王は闇精霊と光精霊しかいない。
(そのうちの一人が俺・・・って事?)
いやいや・・・だってそんな事・・・。
だってもはやそれってチート級だ・・・し・・・。
そう考えているとふと思い出した。
女神が何か言っていた・・・。
転生する瞬間、何かを呟いていた。
所々にしか聞こえなかったが確か・・・。
「貴方・・・チー・・・与え・・・・・・す。」
(嫌な予感がする・・・。)
そしてその嫌な予感は当たってしまった。
女神が言っていたのは「貴方にチートを与えます。」だったのだ。
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