49 / 51
第二章 洞窟の聖地
第49話 対トルネードゴーレム
しおりを挟む
■沖永良部島 大樹ダンジョン 風の渓谷 ボスの間
〈ブーストダッシュ〉で加速した大振りの一撃が風のバリアで塞がれる。
普通のスコップだったら、これで壊れそうだが、アダマンタイトスコップは傷一つなかった。
「丈夫なのはいいが、バリアとかには意味がないのは困るな」
「サグル様、下がってくださいませ!」
俺の後ろから大声が聞こえ、ストームゴーレムとの間合いを取ると背後から雷撃が飛んでトルネードゴーレムの表面に当たった。
バリバリという電撃の音が響き、風のバリアが弱まる。
電撃が効果的なようだ。
「スメラギの攻撃が効いているな、俺は援護に回る。メインでスメラギが戦ってみてくれ」
『わかりましたわ』
俺が通信で伝えると、高速移動してきたスメラギが横を通り過ぎてトルネードゴーレムに迫る。
帯電させたエストックでもって、トルネードゴーレムの風でできたボディの隙間から赤い球体のコアを突いていった。
叫び声などは聞こえないが、もがくような動きをしているので弱っているように思える。
華麗な立ち回りは迷宮令嬢の名前に負けていなかった。
「何か動きがおかしくありません?」
「動き? 敵がか?」
「いえ、キャサリンさんです。どこか焦りの様なものが動きに見えます」
いつの間にか近くに来ていた織香がキャサリンの動きの異常さを訴えてきる。
格闘家としての目線だろうか、俺にとっては華麗な動きでも細かい違和感に気づいたようだ。
トルネードゴーレムが腕の様なものを振り上げて、スメラギを狙っているが、彼女は上手に回避しコアを突く。
ゴーレムの動きが止まり、勝負が決まるかと思ったとコアが強く輝いた。
「スメラギ! 何か来るぞ!」
「いえ、ここで先に決めますわ!」
織香の言っていたことが、俺にもわかった。
彼女は何か焦っている。
だが、それに気づくのが遅かった。
コアから竜巻が飛び出したのである。
「きゃあぁぁぁぁ!」
煽られて、竜巻で全身を刻まれたスメラギが吹き飛ぶ。
俺は飛んで行ったスメラギを〈粘着糸〉で絡めとって引き寄せた。
「織香、ゴーレムの方を頼む!」
「わ、わかりました!」
竜巻を放って落ち着いたゴーレムのコアが風のボディで包まれる前に織香が拳を叩き込む。
コアが砕けて、トルネ―ドゴーレムが消えると共に俺はスメラギを背負ってセーフエリアに向かって駆け出した。
「無茶する奴じゃないはずなのに……一体どうしたんだ?」
俺の問いかけに返事はない。
大岳ダンジョンで、トーコが重傷を受けていたことを嫌でも思い出してしまうのだった。
〈ブーストダッシュ〉で加速した大振りの一撃が風のバリアで塞がれる。
普通のスコップだったら、これで壊れそうだが、アダマンタイトスコップは傷一つなかった。
「丈夫なのはいいが、バリアとかには意味がないのは困るな」
「サグル様、下がってくださいませ!」
俺の後ろから大声が聞こえ、ストームゴーレムとの間合いを取ると背後から雷撃が飛んでトルネードゴーレムの表面に当たった。
バリバリという電撃の音が響き、風のバリアが弱まる。
電撃が効果的なようだ。
「スメラギの攻撃が効いているな、俺は援護に回る。メインでスメラギが戦ってみてくれ」
『わかりましたわ』
俺が通信で伝えると、高速移動してきたスメラギが横を通り過ぎてトルネードゴーレムに迫る。
帯電させたエストックでもって、トルネードゴーレムの風でできたボディの隙間から赤い球体のコアを突いていった。
叫び声などは聞こえないが、もがくような動きをしているので弱っているように思える。
華麗な立ち回りは迷宮令嬢の名前に負けていなかった。
「何か動きがおかしくありません?」
「動き? 敵がか?」
「いえ、キャサリンさんです。どこか焦りの様なものが動きに見えます」
いつの間にか近くに来ていた織香がキャサリンの動きの異常さを訴えてきる。
格闘家としての目線だろうか、俺にとっては華麗な動きでも細かい違和感に気づいたようだ。
トルネードゴーレムが腕の様なものを振り上げて、スメラギを狙っているが、彼女は上手に回避しコアを突く。
ゴーレムの動きが止まり、勝負が決まるかと思ったとコアが強く輝いた。
「スメラギ! 何か来るぞ!」
「いえ、ここで先に決めますわ!」
織香の言っていたことが、俺にもわかった。
彼女は何か焦っている。
だが、それに気づくのが遅かった。
コアから竜巻が飛び出したのである。
「きゃあぁぁぁぁ!」
煽られて、竜巻で全身を刻まれたスメラギが吹き飛ぶ。
俺は飛んで行ったスメラギを〈粘着糸〉で絡めとって引き寄せた。
「織香、ゴーレムの方を頼む!」
「わ、わかりました!」
竜巻を放って落ち着いたゴーレムのコアが風のボディで包まれる前に織香が拳を叩き込む。
コアが砕けて、トルネ―ドゴーレムが消えると共に俺はスメラギを背負ってセーフエリアに向かって駆け出した。
「無茶する奴じゃないはずなのに……一体どうしたんだ?」
俺の問いかけに返事はない。
大岳ダンジョンで、トーコが重傷を受けていたことを嫌でも思い出してしまうのだった。
1
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
旺盛王子のお気に召すまま
優那
ファンタジー
ソルミア王国という、五十もの小国からなる大国がある。
その国には、王子が20歳になると身分を隠し、従者となる二人の騎士と
癒し人を連れ、大国を見聞する旅が義務付けられている。
ソルミア王国には三人の王子がおり、末の王子が20歳になるため二人の騎士と
一人の癒し人が選ばれた。
好奇心旺盛な第三王子、心優しき騎士、腕は立つが無愛想な騎士、そして
食べるの大好きな、天真爛漫娘の癒し人。
四人の見聞旅の物語。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる