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第二章 洞窟の聖地

第45話 進路、クリア

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■沖永良部島 大樹ダンジョン 闇の迷路 最奥

 壁を手に吸着させて、ぶち壊して進むというおそらくゲームだったらクリエイター泣かせの技で闇の迷路を突き進んだ。
 そうして、俺達は開けた出口ともいえる場所へとたどり着く。

「この開けたドーム状の空間……ボス部屋か?」

 薄暗い中でも、〈暗視〉のお陰で全景が把握できた俺はスコップを構えた。
 俺の動きを見た、織香も拳を構える。
 ジュルルという何かが滑る音が聞こえたかと思うと、織香の足に根が絡みいた。

「きゃぁっ!? な、なんなんですか、これえぇっ!?」

 空中へ持ち上げられた織香は足を上にした、宙づり状態になっている。
 スパッツを履いていなかったら、パンツがもろだしになっていたな。

「っと、見ているわけにはいかないかっ!」

 スコップを振るって根を切ろうとしたが、ガイィンと鈍い音が響いた。
 〈潜在能力:超鑑定〉ユニークスキル:スーパーアナライズで見ると、〈物理耐性〉Lv5がついている。
 
「物理耐性が強い、ここは俺が何とかするか……」

〈強酸液〉をかけて織香の足に巻き付いていた根を溶かすと、暗闇の中から本体を探した。
 根ばかりが部屋中に広がっているので、探すのも一苦労である。

「いや、ここは燃やすか……離れてろ! 汚物は消毒だ!」

 俺は手から火炎放射器よろしく〈炎の吐息〉を放つと、部屋中に張り巡らされた根をかたっぱしから燃やしていった。
 ボボボボと火がつき、根本へと向かっていく。
 導火線に火がついたような形で天井へ赤い光が集まっていった。

「グギュルァァァ!!」

 叫び声と共にズドンと本体が落ちてくる。
 ワニのような首をしているが、胴体などは木でできている怪物だった。

「ウッドアリゲーターか、まんまだな……」

 名前を確認した俺は〈火炎弾〉を放ちつつ、本体に詰め寄った。
〈炎の吐息〉の方が火力は高いが射程がない。〈火炎弾〉はその逆なので、バランスが取れている。

(いや、むしろゲームのように取られすぎているか……)

 俺は引っ掛かる何かを感じつつも、今は目の前の敵を倒すことに集中した。
 根っこが全方位から俺を狙って伸びてくる。
 スコップを振り回しながら、根っこをはじいて距離を詰めた。
 残り10m……足元から地面を割って根が伸びる。
 だが、忘れていた〈ブーストダッシュ〉を思い出した俺は一気に間合いを詰める。

「その大きな口でたらふく食べろ!」

〈炎の吐息〉をウッドアリゲーターの口に最大出力で放って奴の体内から全てを燃やし尽くした。
 キャンプファイヤーのような大きな火の塊が目の前に浮ぶ。
 炎が消えると魔石と〈物理耐性〉のスキルカードが手に入る。

「このスキルカードはトーコが使ってくれ、一番防御力に不安があるからな」
「ありがとうだよ~」

 俺としては取っておいて金を手に入れるよりかは使って生存率を高める方を選ぶ。
 だって、金があっても命がなかったら意味はないだろ?

「小松原三佐、ボスらしきものを倒した。セーフエリアで先に休憩しておく」
『了解です。我々もすぐに向かいます』

 セーフエリアでは外部との通信が回復しているといいなと思いながら、俺達は先を進むのだった。
 
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