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第9話 クレイジー・エクスプローラーチャンネル始動 

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■DAI Prark Dungeon Villege 屋内シミュレーター

 広い体育館の様なスペースにいろんな機械が置かれていた。
 冒険者同士の私闘は周囲への被害が大きくなることもあり、世界中の法律で禁止されている。
 ただし、ダンジョン内は”どこの国でもない”という扱いになったため、法律を無視してモンスターへの対処や何かあったときのなどが認められていた。
 どこの国にあってもダンジョン内は”ダンジョンという異国”として、パスポートが必要となり今日の入場を冒険者カードで行う方法などが確立された。
 ……と、俺はイカルから教えてもらった。

「はーい、みんな。こーんにーちわー。クレイジー・エクスプローラーchへようこそ! イカルおにーさんだよー」

:誰www
:スコップ師匠はどこだよw
:本当に誰だw
:どこの教育番組wwww

 イカルがドローンを使って撮影を始める。
 初配信にもかかわらず、視聴者コメントが流れていたのはスメラギと姫野のやり取りの間仕込んでいたらしい。
 本当にこいつはチャラそうな見た目に反してできる奴だと俺は思う。
 
「それで、君たちが待ち望んでいるのはこちらだろう。織姫ちゃんを助けた英雄、サグルくんだ!」

 イカルが俺を引っ張り込んでカメラの前に連れ出した。
 そのままでいいと事前の話し合いできまったが、いざカメラが回っていると思うと緊張する。

:ししょーーー!
:あれ、服装がちょっとよくない?
:顔はじめてみたけど、悪くないね
:これはハーレムを作る男の予感がする

 コメント欄が盛り上がっているのは俺が先ほど買った冒険者用の装備と目が隠れるほど伸びている前髪をオールバックにして後ろで縛っていたからだ。
 シャンとできればいいのだが、猫背なのは仕方がないと思ってほしい。

「どうも……”スコップ師匠”サグルだ。って、この二つ名で本当にいいのか?」
「まぁ、今はその愛称が慕われているし現状はいーんじゃなーい?」

:スコップ師匠!
:スコップ師匠!
:ししょぉぉぉぉぉ!

 イカルがいうようにコメント欄が盛り上がっているのでいいとしよう。
 どうせなら、もっとカッコいいのがよかったんだがな。スメラギの迷宮令嬢とか……。

「さぁ、今日の本題はここから! サグルとの1日デートをかけて、美少女二人が対決するぞ!」

:なん……だと!?
:それkwsk
:緊急企画って、まじで緊急な奴じゃん
:どうしてそうなった

 荒れるコメント欄を無視して、イカルはシミュレーターエリアの方にドローンを動かした。
 動きやすい格好に着替えた姫野とスメラギがいる。
 姫野は初めて出会ったときの様なスパッツにスカートを合わせたスタイルで、今日買ったDAI製のガントレットの具合を確かめていた。
 一方のスメラギはビジネススーツだったものから、乗馬をする貴族のような恰好になっている。
 ズボンにシャツといったシンプルな装いだ。
 その上に軽装鎧を着こみ、ハルバードと呼ばれる柄の長い武器を持っている。

:織姫ちゃんに迷宮令嬢!?
:迷宮令嬢って昨日の今日でスコップ師匠に会いに来たのかよw
:くやじぃぃぃぃ!
:お前もスコップ師匠くらい強ければワンチャンあるぞw


 二人の登場に一層コメント欄が盛り上がった。
 タイプは違えども二人とも美人だ、俺の1日レンタル権で盛り上がるような存在じゃないと思うんだが、世の中はわからない。

「では、ルールを説明するよー。形式はどちらがより多くのモンスターを倒せるかを競う討伐戦。ゴブリンをたくさんだしていくから二人とも10分間、頑張ってねー」
「シンプルで結構ですわ」
「私も大丈夫です!」

 シミュレーターエリアの中央に二人が立ち、イカルが機械を操作しているスタッフにお願いするとスタッフが機械を操作した。
 プロジェクションマッピング技術と魔法の合わせ技で体育館のような場所が洞窟のように姿をかえる。
 アメリアの大手企業が協力しあいダンジョン出現からすぐに開発をおこなって技術の特許を取得したそうだ。
 出てくるモンスターも本物そっくりの見た目と動きをしている。

「すごいな、これは……」
「でしょー。この店の宣伝にもなるからWinWinってやつさ」

 俺のボヤキにイカルが答えた。
 商学部の首席なのは伊達じゃない。
 討伐戦のカウントダウンが始まり、いつの間にか集まってきたギャラリーが一緒に声をあげる。

「「3・2・1 ゼロォォォォ!」」

 ゴブリンに囲まれていた二人の女が同時に駆け出した。
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