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#10 みんなのハッピーなまいにち
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口を開けば暴言か怒声ばかりで、文句が多くてエロくて我儘だと思っていた鬼堂天和が、こんなに優しく俺にキスをしてくれているなんて。
人を殴ったり誰かを押し倒したりすることしかしないと思っていた天和の手が、こんなに心地好く俺の頭を撫でてくれるなんて。
「……綺麗な空だな、天和」
倉庫の小さな天窓から見える空は、薄らとオレンジがかっている。それを見つめる天和の横顔が愛しくて、俺は自分からその頬に口付けた。
「炎樽」
「うん?」
「あの日、ウサギを見つけてくれてありがとうな」
「………」
瞬間、視界いっぱいにあの日のオレンジ色が広がった。
ウサギを探して泣いていた男の子を放っておけなくて、俺が見つけてあげたくて、必死に探して、……ようやく見つけられた時のあの気持ち。
「大好きだ」
俺達が初めて出会ったあの日も、頭上には綺麗なオレンジ色が広がっていた。
あの日二人で見ていたのと同じ夕焼け空が、いま俺達を優しく見守ってくれている。
──大好き。
「……俺も大好きだ」
「………」
抱き合えば温かく、唇を重ねれば愛しい気持ちでいっぱいになる。触れられれば切なくなって、触れるともっと切なくなる。
「ん、……あっ、……」
分け合って、与え合う。多分セックスってその繰り返しだ。
「炎樽、がっつくな」
「ご、ごめん……だって、……」
「がっつくのは俺の役目って決まってんだ」
天和のそこを握っていた俺の手が引き剥がされ、敷いていたマットの上に固定された。身動きの取れない状態で体を貪られるのは心地好い。天和を信頼しているからこそ、彼に全てを委ねることができるのは嬉しい。
俺の全ては天和の物。──そんな気持ちになれるということの素晴らしさに、泣けてくる。
「んっ、ん……」
「声出せよ。誰にも聞こえねえ」
「天和、……! あ、あぁ……」
「それでいい」
俺のそこを握って前後に動かしながら、天和が何度も俺の頬にキスをする。扱かれているところも心の中も、全てが熱い。
「気持ちいい、天和……」
「俺もだ」
同じ気持ちで触れ合って、同じように気持ち良くなって、心と体が一つになれる、この感じ。
「んあ、──」
「挿れる時のこの感じ、堪んねえな」
「お、俺も好き……この感じ、すっげえ好き……あっ」
色気もムードもない体育倉庫のマットの上。
俺は天和の熱い肉体にしがみつき、めいっぱいに両脚を開いて彼の愛情を受け入れた。俺の中の奥深く、一番温かいところに天和の愛が触れて何度もキスをしてくれている。
「あぁっ、──あ、あっ! た、か、とも……!」
「炎樽。……ずっと一緒だ」
俺の中を繰り返し出入りしながら、真剣な眼差しで俺を見つめている天和。俺も下から天和を見上げ、靄がかかった意識の中で精一杯の愛の囁きを返した。
「愛してる、天和……。ずっと、傍にいて」
「ああ、ずっといる。一生お前を離さねえ」
「天和……」
「あいつら夢魔と比べたら、俺達の人生なんて一瞬かもしれねえけど……その一瞬を全力でお前に捧げる。……炎樽、俺を信じてついて来てくれ」
「う、……」
零れる涙もそのままに、唇を噛みしめて何度も頷く。
「愛してる」
荒々しく俺を貫きながらも、俺を撫でる天和の手のひらは優しい。
俺達は一つになって抱き合いながら唇を重ね、心地好い愛の海の中へとゆっくり沈んで行った。
人を殴ったり誰かを押し倒したりすることしかしないと思っていた天和の手が、こんなに心地好く俺の頭を撫でてくれるなんて。
「……綺麗な空だな、天和」
倉庫の小さな天窓から見える空は、薄らとオレンジがかっている。それを見つめる天和の横顔が愛しくて、俺は自分からその頬に口付けた。
「炎樽」
「うん?」
「あの日、ウサギを見つけてくれてありがとうな」
「………」
瞬間、視界いっぱいにあの日のオレンジ色が広がった。
ウサギを探して泣いていた男の子を放っておけなくて、俺が見つけてあげたくて、必死に探して、……ようやく見つけられた時のあの気持ち。
「大好きだ」
俺達が初めて出会ったあの日も、頭上には綺麗なオレンジ色が広がっていた。
あの日二人で見ていたのと同じ夕焼け空が、いま俺達を優しく見守ってくれている。
──大好き。
「……俺も大好きだ」
「………」
抱き合えば温かく、唇を重ねれば愛しい気持ちでいっぱいになる。触れられれば切なくなって、触れるともっと切なくなる。
「ん、……あっ、……」
分け合って、与え合う。多分セックスってその繰り返しだ。
「炎樽、がっつくな」
「ご、ごめん……だって、……」
「がっつくのは俺の役目って決まってんだ」
天和のそこを握っていた俺の手が引き剥がされ、敷いていたマットの上に固定された。身動きの取れない状態で体を貪られるのは心地好い。天和を信頼しているからこそ、彼に全てを委ねることができるのは嬉しい。
俺の全ては天和の物。──そんな気持ちになれるということの素晴らしさに、泣けてくる。
「んっ、ん……」
「声出せよ。誰にも聞こえねえ」
「天和、……! あ、あぁ……」
「それでいい」
俺のそこを握って前後に動かしながら、天和が何度も俺の頬にキスをする。扱かれているところも心の中も、全てが熱い。
「気持ちいい、天和……」
「俺もだ」
同じ気持ちで触れ合って、同じように気持ち良くなって、心と体が一つになれる、この感じ。
「んあ、──」
「挿れる時のこの感じ、堪んねえな」
「お、俺も好き……この感じ、すっげえ好き……あっ」
色気もムードもない体育倉庫のマットの上。
俺は天和の熱い肉体にしがみつき、めいっぱいに両脚を開いて彼の愛情を受け入れた。俺の中の奥深く、一番温かいところに天和の愛が触れて何度もキスをしてくれている。
「あぁっ、──あ、あっ! た、か、とも……!」
「炎樽。……ずっと一緒だ」
俺の中を繰り返し出入りしながら、真剣な眼差しで俺を見つめている天和。俺も下から天和を見上げ、靄がかかった意識の中で精一杯の愛の囁きを返した。
「愛してる、天和……。ずっと、傍にいて」
「ああ、ずっといる。一生お前を離さねえ」
「天和……」
「あいつら夢魔と比べたら、俺達の人生なんて一瞬かもしれねえけど……その一瞬を全力でお前に捧げる。……炎樽、俺を信じてついて来てくれ」
「う、……」
零れる涙もそのままに、唇を噛みしめて何度も頷く。
「愛してる」
荒々しく俺を貫きながらも、俺を撫でる天和の手のひらは優しい。
俺達は一つになって抱き合いながら唇を重ね、心地好い愛の海の中へとゆっくり沈んで行った。
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