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第16話 ご主人への贈りもの
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その後は「ペットのやりたいことを叶えてあげる」ということで、炎珠さんの要望であるふりふりピンクワンピースを着て写真を撮られることとなった。
「刹、パンチラ、パンチラ撮って!」
「……こういう趣味が俺には理解できねえ……」
ちなみに下着もふりふりだ。頭にはネコの耳。これじゃあいつもの俺と変わりないのに……そうしたいと炎珠さんが言うなら、仕方ない。
「那由太、スカート捲って!」
「はいっ!」
「………」
両手でスカートの前を掴んで捲り上げると、炎珠さんが「あう……」と少し残念そうな顔をした。
「あれ、駄目でしたか?」
「もう少し恥じらいがあると嬉しかったかも……」
「そ、そっか。……駄目ですね俺、ちゃんと自分のペットの好みを頭に叩き込まないと……!」
「そんな必要ねえよにゃん太……じゃなくて那由太。コイツの趣味に100パー付き合える奴なんかいねえんだから」
パンツ丸出しの俺に向けて、刹がシャッターを切りながら言った。
「人間の全てを理解するなんて不可能だ。自分のことでさえ全てを理解できねえモンだろ」
「でも」
「それでいいんだよ。理解できねえ部分があるからって絆が減る訳じゃねえ。俺だって炎珠と付き合い長いけど、互いに理解してねえ部分だらけだ」
そうそう、と炎珠さんが両手を叩いて、カメラを持つ刹の頬にぐっと顔を近付けた。
「刹って自分の過去の恋愛事情なんて一つも教えてくれないしね。結構モテてたのに誰とも付き合わなかったでしょ」
「俺はお前が大学行かなかった理由が未だに分かんねえよ。教師と散々ヤッてたの、内申書のためじゃなかったのか」
「あれはただの趣味」
「趣味かい」
「刹と一緒にいたかったし、大学なんて俺には意味なかったんだよ」
「……やっぱ理解できねえ」
俺はそんな二人を見て大声で笑ってしまった。
俺が幸嶋さんに声をかけられて二人に出会ったように、炎珠さんと刹にも一番初めの出会いがあって、互いの何かに惹かれ合って一緒にいるようになったのだ。
二人が施設にいた理由は聞いていないし、これからも必要に迫られない限り聞くつもりはない。
「刹だって俺なしじゃ生きていけないじゃんかー。いつの間にか居候から住人になってるし」
「お前がいてくれって言うからだ。そんなに迷惑なら外でアパートでも借りるが」
「やだやだやだ! 刹いなくなったら俺も那由太も寂しくて死んじゃう!」
だけど二人に例え辛い過去があったのだとしても――それすらもきっと、俺と出会うための運命だったんだ。
「二人の仲が良いのは充分伝わりましたから、……えっと、もうパンツ隠していいですか?」
「あ、那由太ってばまだ律儀にスカート捲ってたの」
「っ……ペ、ペットの言うことは絶対……ご主人は根気よく接しないと……」
ぶつぶつ口の中で繰り返しながら、俺はスカートを元に戻した。
「刹、パンチラ、パンチラ撮って!」
「……こういう趣味が俺には理解できねえ……」
ちなみに下着もふりふりだ。頭にはネコの耳。これじゃあいつもの俺と変わりないのに……そうしたいと炎珠さんが言うなら、仕方ない。
「那由太、スカート捲って!」
「はいっ!」
「………」
両手でスカートの前を掴んで捲り上げると、炎珠さんが「あう……」と少し残念そうな顔をした。
「あれ、駄目でしたか?」
「もう少し恥じらいがあると嬉しかったかも……」
「そ、そっか。……駄目ですね俺、ちゃんと自分のペットの好みを頭に叩き込まないと……!」
「そんな必要ねえよにゃん太……じゃなくて那由太。コイツの趣味に100パー付き合える奴なんかいねえんだから」
パンツ丸出しの俺に向けて、刹がシャッターを切りながら言った。
「人間の全てを理解するなんて不可能だ。自分のことでさえ全てを理解できねえモンだろ」
「でも」
「それでいいんだよ。理解できねえ部分があるからって絆が減る訳じゃねえ。俺だって炎珠と付き合い長いけど、互いに理解してねえ部分だらけだ」
そうそう、と炎珠さんが両手を叩いて、カメラを持つ刹の頬にぐっと顔を近付けた。
「刹って自分の過去の恋愛事情なんて一つも教えてくれないしね。結構モテてたのに誰とも付き合わなかったでしょ」
「俺はお前が大学行かなかった理由が未だに分かんねえよ。教師と散々ヤッてたの、内申書のためじゃなかったのか」
「あれはただの趣味」
「趣味かい」
「刹と一緒にいたかったし、大学なんて俺には意味なかったんだよ」
「……やっぱ理解できねえ」
俺はそんな二人を見て大声で笑ってしまった。
俺が幸嶋さんに声をかけられて二人に出会ったように、炎珠さんと刹にも一番初めの出会いがあって、互いの何かに惹かれ合って一緒にいるようになったのだ。
二人が施設にいた理由は聞いていないし、これからも必要に迫られない限り聞くつもりはない。
「刹だって俺なしじゃ生きていけないじゃんかー。いつの間にか居候から住人になってるし」
「お前がいてくれって言うからだ。そんなに迷惑なら外でアパートでも借りるが」
「やだやだやだ! 刹いなくなったら俺も那由太も寂しくて死んじゃう!」
だけど二人に例え辛い過去があったのだとしても――それすらもきっと、俺と出会うための運命だったんだ。
「二人の仲が良いのは充分伝わりましたから、……えっと、もうパンツ隠していいですか?」
「あ、那由太ってばまだ律儀にスカート捲ってたの」
「っ……ペ、ペットの言うことは絶対……ご主人は根気よく接しないと……」
ぶつぶつ口の中で繰り返しながら、俺はスカートを元に戻した。
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