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第13話 海に行こうよ、ご主人!
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「お菓子、後ろで回してね」
「クーラー寒かったら言ってくれ」
確か、幸次郎さん達は二十三歳と言っていた。炎珠さんと刹は二人よりも少しお兄さんということで、ちゃんと皆を気遣っている。ご主人のこういうさり気ない優しさが好きだ。ペットとして誇らしい気持ちになる。
「那由太はネコか。うちのはカラスだから、実物の動物はあんまり仲良くなさそうだなぁ」
「あはは。でも俺の友達のウサギは、ヘビとかキツネとかと仲良いみたいですよ」
「ウサギっていったら華深か! あいつは社交性がある子だよな、涼真と違って」
「……悪かったな」
「あ、いや……えっと。バカ、涼真はもっと落ち着いてるって言いたかったんだよ」
やっぱりペットである涼真さんの方がご主人よりも強いらしい。だけどそれは「何でも気兼ねなく言い合える絆」が既にあるからこその関係であって、本心から蔑んだり拗ねている訳ではない……と思う。
「お二人はいつ頃からの仲なんですか?」
「俺達は中学からの幼馴染だよ。付き合ったのは高校入ってからで、卒業後にPdMCのサイトを知って、『これだ』って思ってさ。仲間がいるって何か良いだろ、悩み相談もできるしな」
幸次郎さんがニコニコしながら説明をする。俺も大きく頷いて同意したけれど、隣の涼真さんは馴れ初めを語られることに対してちょっと恥ずかしそうにしていた。
「ペットと主人っていう関係じゃないと登録できないっていうから、仕方なく涼真にペットになってもらったんだ。元々カラスとかのカッコいい鳥類が好きだったし、涼真のイメージにも合うと思ってカラスにしたってわけ」
なるほどなぁ、やっぱり人それぞれ色々な経緯でPdMCに入っているんだ。
感心していると、幸次郎さんが身を乗り出して俺の方を見ながら訊いてきた。
「那由太は一千万の借金と引き換えにペットになったんだろ。若いのにどうしてそんな借金したんだ?」
「い、いえ。直接借りたのは俺じゃないんですよ」
「あまり突っ込んだことを訊くな、幸次郎。那由太が困っているだろう」
「わはは、ごめんごめん」
前の席では炎珠さんも「ニヒヒ」と苦笑していた。
うーん。幸次郎さんは好奇心旺盛な華深の大人バージョンって感じだ。一方で涼真さんは冷静な大人。そのおかしなバランスが逆に良い方向に働いているから、二人は中学から十年近く仲良しでいられるのだろう。
「クーラー寒かったら言ってくれ」
確か、幸次郎さん達は二十三歳と言っていた。炎珠さんと刹は二人よりも少しお兄さんということで、ちゃんと皆を気遣っている。ご主人のこういうさり気ない優しさが好きだ。ペットとして誇らしい気持ちになる。
「那由太はネコか。うちのはカラスだから、実物の動物はあんまり仲良くなさそうだなぁ」
「あはは。でも俺の友達のウサギは、ヘビとかキツネとかと仲良いみたいですよ」
「ウサギっていったら華深か! あいつは社交性がある子だよな、涼真と違って」
「……悪かったな」
「あ、いや……えっと。バカ、涼真はもっと落ち着いてるって言いたかったんだよ」
やっぱりペットである涼真さんの方がご主人よりも強いらしい。だけどそれは「何でも気兼ねなく言い合える絆」が既にあるからこその関係であって、本心から蔑んだり拗ねている訳ではない……と思う。
「お二人はいつ頃からの仲なんですか?」
「俺達は中学からの幼馴染だよ。付き合ったのは高校入ってからで、卒業後にPdMCのサイトを知って、『これだ』って思ってさ。仲間がいるって何か良いだろ、悩み相談もできるしな」
幸次郎さんがニコニコしながら説明をする。俺も大きく頷いて同意したけれど、隣の涼真さんは馴れ初めを語られることに対してちょっと恥ずかしそうにしていた。
「ペットと主人っていう関係じゃないと登録できないっていうから、仕方なく涼真にペットになってもらったんだ。元々カラスとかのカッコいい鳥類が好きだったし、涼真のイメージにも合うと思ってカラスにしたってわけ」
なるほどなぁ、やっぱり人それぞれ色々な経緯でPdMCに入っているんだ。
感心していると、幸次郎さんが身を乗り出して俺の方を見ながら訊いてきた。
「那由太は一千万の借金と引き換えにペットになったんだろ。若いのにどうしてそんな借金したんだ?」
「い、いえ。直接借りたのは俺じゃないんですよ」
「あまり突っ込んだことを訊くな、幸次郎。那由太が困っているだろう」
「わはは、ごめんごめん」
前の席では炎珠さんも「ニヒヒ」と苦笑していた。
うーん。幸次郎さんは好奇心旺盛な華深の大人バージョンって感じだ。一方で涼真さんは冷静な大人。そのおかしなバランスが逆に良い方向に働いているから、二人は中学から十年近く仲良しでいられるのだろう。
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