60 / 115
第9話 ウサギとネコのお泊まり会
4
しおりを挟む
ともあれ、ここに来て初めての「ご主人不在」の夜。
俺達は華深の希望通り出前を取った特上寿司で最高の夕食を済ませ、その後は俺と華深でミントのバブルバスを使った泡風呂を楽しんだ。
「那由太の髪って、細くて綺麗だね。すぐ乾く」
華深にドライヤーをあててもらいながら、俺は俺で「今夜」を楽しんでいた。
まだ二回しか会ったことのない友人と過ごす夜。それでも華深の遠慮のない性格のお陰で、何だかずっと昔からの友達みたいな気がしてくる。こうして友達と夜まで一緒にいられるなんて、まるで修学旅行みたいだ。
「あと、風呂で気付いた時は言わなかったけど……那由太、体にキスマークいっぱい付いてるね」
「えっ……」
「これは炎珠さんで、あれは刹っちゃんで……って考えてたら、何か危うくエロい気持ちになりかけたよ。俺も那由太にキスマーク付けちゃいたい」
「や、やめてよ華深っ。変なこと言うの禁止!」
へへ、と笑って、華深が部屋着として着ていた自分のシャツを捲ってみせる。
「俺のお気に入りのキスマークはこれ。栄治さんが俺の左胸にいつも付けてくれるんだ」
「………」
「心臓に一番近いところ。いつも一緒って意味」
本当に愛し合ってるんだなぁと、思わず感心してしまう。
「本当は俺も栄治さんと同じ入れ墨したいんだけど、栄治さんの墨は栄治さんにしか持てない意味があるから駄目だって。しょぼーん……」
その「栄治さん」が風呂から出てリビングに入ってきて言った。
「何だ、あの泡風呂。体が凄げえ冷えて気持ち良かったぞ」
「わっ」
上半身裸の幸嶋さん。その背中には観音様みたいな物凄い入れ墨が入っている。背中どころか腰に腕、そしてスエットに隠れて見えない尻の辺りまで広がっていそうだ。
「す、凄いですね背中……」
「ん。ああ、若い頃にちょっとな。それよりアイスがあるって?」
確かにこのガチな入れ墨では、華深に同じものをという訳にはいかないだろう。それこそ本当に重要な意味がなければ入れられないタイプの入れ墨だ。日本ではまだまだマイナスなイメージが持たれる入れ墨やタトゥーだけど、ここまでがっつり入っているともはや芸術にしか見えない。
「栄治さん、俺もアイス食べたい!」
ドライヤーを置いて立ち上がった華深が、キッチンカウンターの向こうへと駆けて行く。
「那由太も食べるでしょ、たくさんあるけどどれがいい?」
「チョコがいいです!」
俺達は華深の希望通り出前を取った特上寿司で最高の夕食を済ませ、その後は俺と華深でミントのバブルバスを使った泡風呂を楽しんだ。
「那由太の髪って、細くて綺麗だね。すぐ乾く」
華深にドライヤーをあててもらいながら、俺は俺で「今夜」を楽しんでいた。
まだ二回しか会ったことのない友人と過ごす夜。それでも華深の遠慮のない性格のお陰で、何だかずっと昔からの友達みたいな気がしてくる。こうして友達と夜まで一緒にいられるなんて、まるで修学旅行みたいだ。
「あと、風呂で気付いた時は言わなかったけど……那由太、体にキスマークいっぱい付いてるね」
「えっ……」
「これは炎珠さんで、あれは刹っちゃんで……って考えてたら、何か危うくエロい気持ちになりかけたよ。俺も那由太にキスマーク付けちゃいたい」
「や、やめてよ華深っ。変なこと言うの禁止!」
へへ、と笑って、華深が部屋着として着ていた自分のシャツを捲ってみせる。
「俺のお気に入りのキスマークはこれ。栄治さんが俺の左胸にいつも付けてくれるんだ」
「………」
「心臓に一番近いところ。いつも一緒って意味」
本当に愛し合ってるんだなぁと、思わず感心してしまう。
「本当は俺も栄治さんと同じ入れ墨したいんだけど、栄治さんの墨は栄治さんにしか持てない意味があるから駄目だって。しょぼーん……」
その「栄治さん」が風呂から出てリビングに入ってきて言った。
「何だ、あの泡風呂。体が凄げえ冷えて気持ち良かったぞ」
「わっ」
上半身裸の幸嶋さん。その背中には観音様みたいな物凄い入れ墨が入っている。背中どころか腰に腕、そしてスエットに隠れて見えない尻の辺りまで広がっていそうだ。
「す、凄いですね背中……」
「ん。ああ、若い頃にちょっとな。それよりアイスがあるって?」
確かにこのガチな入れ墨では、華深に同じものをという訳にはいかないだろう。それこそ本当に重要な意味がなければ入れられないタイプの入れ墨だ。日本ではまだまだマイナスなイメージが持たれる入れ墨やタトゥーだけど、ここまでがっつり入っているともはや芸術にしか見えない。
「栄治さん、俺もアイス食べたい!」
ドライヤーを置いて立ち上がった華深が、キッチンカウンターの向こうへと駆けて行く。
「那由太も食べるでしょ、たくさんあるけどどれがいい?」
「チョコがいいです!」
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
兄上の五番目の花嫁に選ばれたので尻を差し出します
月歌(ツキウタ)
BL
今日は魔王である兄上が、花嫁たちを選ぶ日。魔樹の華鏡に次々と美しい女性が映し出される。選ばれたのは五人。だけど、そのなかに僕の姿があるのだけれど・・何事?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
【R-18】僕のえっちな狼さん
衣草 薫
BL
内気で太っちょの僕が転生したのは豚人だらけの世界。
こっちでは僕みたいなデブがモテて、すらりと背の高いイケメンのシャンはみんなから疎まれていた。
お互いを理想の美男子だと思った僕らは村はずれのシャンの小屋で一緒に暮らすことに。
優しくて純情な彼とのスローライフを満喫するのだが……豚人にしてはやけにハンサムなシャンには実は秘密があって、暗がりで満月を連想するものを見ると人がいや獣が変わったように乱暴になって僕を押し倒し……。
R-18には※をつけています。
俺☆彼 [♡♡俺の彼氏が突然エロ玩具のレビューの仕事持ってきて、散々実験台にされまくる件♡♡]
ピンクくらげ
BL
ドエッチな短編エロストーリーが約200話!
ヘタレイケメンマサト(隠れドS)と押弱真面目青年ユウヤ(隠れドM)がおりなすラブイチャドエロコメディ♡
売れないwebライターのマサトがある日、エロ玩具レビューの仕事を受けおってきて、、。押しに弱い敏感ボディのユウヤ君が実験台にされて、どんどんエッチな体験をしちゃいます☆
その他にも、、妄想、凌辱、コスプレ、玩具、媚薬など、全ての性癖を網羅したストーリーが盛り沢山!
****
攻め、天然へたれイケメン
受け、しっかりものだが、押しに弱いかわいこちゃん
な成人済みカップル♡
ストーリー無いんで、頭すっからかんにしてお読み下さい♡
性癖全開でエロをどんどん量産していきます♡
手軽に何度も読みたくなる、愛あるドエロを目指してます☆
pixivランクイン小説が盛り沢山♡
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる