上 下
37 / 59
ぜんぶ初めての夜

7

しおりを挟む
 体に触れていた蒼汰のそれが、俺の訴えにビクリと反応する。なのに蒼汰は少し困ったような笑みで、俺の顔を真上から覗き込んできた。
「痛いかもしれねえぞ?」
「それでも、い……」
 抜いた指の代わりに再びあてがわれた蒼汰のそれは、さっきよりも硬くなっている。硬くて、熱くて、まるで同じ男と思えないくらいに雄々しくて、……
「んっ、あ……!」
「力入れるな、楽にしろ」
「い、たぃ……より、……苦し……」
 圧迫される息苦しさと体の中に異物が入ってくる恐怖。俺は喘ぎながら涙を拭い、必死に体の力を抜こうとして無様な深呼吸を繰り返した。
 蒼汰が目元を拭う俺の手を引き剥がし、そっと甲にキスをする。
「翼、力抜け。力抜いて俺の顔を見ろ」
「あ、……」
 潤んだ目で見上げた先には、蒼汰の穏やかな笑みがあった。それは武虎や子供達に向けられていた、あの頼もしくて優しげな笑みだ。
「初めて自分を抱く相手の顔はちゃんと見ておくモンだろ」
「蒼汰……。あっ……」
「……翼」
 ベッドに肘をついた蒼汰が、至近距離で俺を見つめている。そうしながらゆっくりと腰を動かし、俺の中を緩やかに出入りしている。痛みが少ないのは先端までしか入っていないからだ。だけどそれが蒼汰の気遣いであることに気付くほどの余裕が、今の俺にはなかった。
「んあっ、あぁ、……やっ、あ」
「もう少し挿れるぞ」
「んっ──」
 蒼汰の腰に力が入り、俺の体にも緊張が走る。蒼汰の腕を掴んだ指が肌に食い込み、蒼汰の眉間に皺が寄る。
「は、ぁっ……!」
 多分この瞬間、俺と蒼汰は体と体で深く繋がったんだ。
 俺は生まれて初めて、誰かとセックスをしたんだ──。
「う、あ……。やば……」
「な、何がやばいの……? あっ、うあ……」
「翼の中で、さ。先走りが止まんねえ。熱いし、キツ……」
 その言葉に俺はもっと熱くなり、もっときつく蒼汰を締め付けてしまう。そうすれば蒼汰が更に苦悶の表情を浮かべ、俺を強く抱きしめて荒い呼吸を繰り返した。
「翼、……翼っ……」
 何度も腰を打ち付けながら、蒼汰が苦しそうに俺の名前を呼ぶ。俺は全身で蒼汰にしがみつき、深い繋がりを体中で味わった。気持ち良い、よりは心地好い。まだ、それが快楽なのかは分からない。
「あっ、あぁ……蒼汰、……あぁ、っん……!」
「堪んねえ、……翼。辛くねえか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

【完結】ハードな甘とろ調教でイチャラブ洗脳されたいから悪役貴族にはなりたくないが勇者と戦おうと思う

R-13
BL
甘S令息×流され貴族が織りなす 結構ハードなラブコメディ&痛快逆転劇 2度目の人生、異世界転生。 そこは生前自分が読んでいた物語の世界。 しかし自分の配役は悪役令息で? それでもめげずに真面目に生きて35歳。 せっかく民に慕われる立派な伯爵になったのに。 気付けば自分が侯爵家三男を監禁して洗脳していると思われかねない状況に! このままじゃ物語通りになってしまう! 早くこいつを家に帰さないと! しかし彼は帰るどころか屋敷に居着いてしまって。 「シャルル様は僕に虐められることだけ考えてたら良いんだよ?」 帰るどころか毎晩毎晩誘惑してくる三男。 エロ耐性が無さ過ぎて断るどころかどハマりする伯爵。 逆に毎日甘々に調教されてどんどん大好き洗脳されていく。 このままじゃ真面目に生きているのに、悪役貴族として討伐される運命が待っているが、大好きな三男は渡せないから仕方なく勇者と戦おうと思う。 これはそんな流され系主人公が運命と戦う物語。 「アルフィ、ずっとここに居てくれ」 「うん!そんなこと言ってくれると凄く嬉しいけど、出来たら2人きりで言って欲しかったし酒の勢いで言われるのも癪だしそもそも急だし昨日までと言ってること真逆だしそもそもなんでちょっと泣きそうなのかわかんないし手握ってなくても逃げないしてかもう泣いてるし怖いんだけど大丈夫?」 媚薬、緊縛、露出、催眠、時間停止などなど。 徐々に怪しげな薬や、秘密な魔道具、エロいことに特化した魔法なども出てきます。基本的に激しく痛みを伴うプレイはなく、快楽系の甘やかし調教や、羞恥系のプレイがメインです。 全8章128話、11月27日に完結します。 なおエロ描写がある話には♡を付けています。 ※ややハードな内容のプレイもございます。誤って見てしまった方は、すぐに1〜2杯の牛乳または水、あるいは生卵を飲んで、かかりつけ医にご相談する前に落ち着いて下さい。 感想やご指摘、叱咤激励、有給休暇等貰えると嬉しいです!ノシ

潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話

ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。 悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。 本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ! https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209

第一王子に転生したのに、毎日お仕置きされる日々を送る羽目になった

kuraku
BL
 ある日ボクは見知ら国の第一王子になっていた。  休日の街を歩いていたら強い衝撃に襲われて、目が覚めたら中世のヨーロッパのお屋敷みたいな所にいて、そこには医者がいて、馬車の事故で数日眠っていたと言われたけど、さっぱりその記憶はない。  鏡を見れば元の顔のボクがそこにいた。相変わらずの美少年だ。元々街を歩けばボーイッシュな女の子に間違われて芸能事務所にスカウトされるような容姿をしている。  これがいわゆる転生と呼ばれるものなのだろうか。

大好きな乙女ゲームの世界に転生したぞ!……ってあれ?俺、モブキャラなのに随分シナリオに絡んでませんか!?

あるのーる
BL
普通のサラリーマンである俺、宮内嘉音はある日事件に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 しかし次に目を開けた時、広がっていたのは中世ファンタジー風の風景だった。前世とは似ても似つかない風貌の10歳の侯爵令息、カノン・アルベントとして生活していく中、俺はあることに気が付いてしまう。どうやら俺は「きっと未来は素晴らしく煌めく」、通称「きみすき」という好きだった乙女ゲームの世界に転生しているようだった。 ……となれば、俺のやりたいことはただ一つ。シナリオの途中で死んでしまう運命である俺の推しキャラ(モブ)をなんとしてでも生存させたい。 学園に入学するため勉強をしたり、熱心に魔法の訓練をしたり。我が家に降りかかる災いを避けたり辺境伯令息と婚約したり、と慌ただしく日々を過ごした俺は、15になりようやくゲームの舞台である王立学園に入学することができた。 ……って、俺の推しモブがいないんだが? それに、なんでか主人公と一緒にイベントに巻き込まれてるんだが!? 由緒正しきモブである俺の運命、どうなっちゃうんだ!? ・・・・・ 乙女ゲームに転生した男が攻略対象及びその周辺とわちゃわちゃしながら学園生活を送る話です。主人公が攻めで、学園卒業まではキスまでです。 始めに死ネタ、ちょくちょく虐待などの描写は入るものの相手が出てきた後は基本ゆるい愛され系みたいな感じになるはずです。

親父は息子に犯され教師は生徒に犯される!ド淫乱達の放課後

BL
天が裂け地は割れ嵐を呼ぶ! 救いなき男と男の淫乱天国! 男は快楽を求め愛を知り自分を知る。 めくるめく肛の向こうへ。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

処理中です...