29 / 80
亜利馬、大ピンチ!
6
しおりを挟む
「よ、よく分からんが……秋常がお前に迷惑をかけたのは間違いないみたいだな。悪かった」
「いえ、もう……何て言うか、もう大丈夫です。俺の方こそすみません、大きい声出しちゃって」
「怪我はしてないか。その、秋常が……×××がどうのと言っていたが……」
「っ……」
頭から湯気がたつほど赤面する俺を見て、夕兎もまた顔を真っ赤にさせて沈黙した。
「亜利馬っ!」
そしてタイミングが良いのか悪いのか、撮影を終えた獅琉が俺を見つけて廊下の奥から駆けてきた。
「どうしたの? さっきフリーズの子達とすれ違ったけど、凄い必死に亜利馬の名前叫んでたよ?」
「し、獅琉さん」
「何があったの? 夕兎くんもいるし……まさか君達、亜利馬に……」
「違いますよ獅琉さん、むしろ夕兎さんには色々助けられたというか……」
「……俺は何もしていない。失礼するぞ」
いつものキャラに戻って、顔を赤くさせたまま夕兎が俺達に背を向けた。
「で、何があったの? 亜利馬」
「いえ、何でも──」
「亜利馬?」
「……う、……」
秋常と同じ「満面の笑み」でも、獅琉の方が百倍怖い。
*
「そんで――惚れてようが何だろうが、そいつらが亜利馬を犯ろうとしたのは間違いないってことだな」
「………」
潤歩のこめかみに青筋が浮いている。獅琉と一緒に竜介の家に帰ると、既に大雅達も戻っていて出前のラーメンが届いていた。買い物をする時間もなかったため、獅琉がメールで頼んでおいてくれたのだ。
「ふざけやがって、あのクソ野郎共っ……!」
「う、潤歩さん。大丈夫です。そこは俺、あんまり気にしてませんから」
「ナメられたままで黙ってろってのか」
獅琉も竜介も、無言で俯いている。
「……ごめんね亜利馬。俺が一緒にいれば……」
「大雅のせいでもないって! お、お願いだからみんな、そんな暗い感じにならないでください!」
無理もないことだ。早い話が強姦未遂。俺だって、他のメンバーがそんなことをされたら絶対に怒るし、笑ってなんかいられないと思う。
「で、でも本当に。実際、俺は何とも思ってませんから。こんなことで大騒ぎしたくないですし、秋常さんも俺をぶっ潰そうとか、そういう理由でやったわけじゃないので……出来れば、無かったことにして欲しいんです」
「亜利馬」
獅琉の手が俺の頭に乗り、そのまま優しく胸へと引き寄せられた。……あったかい。いい匂い。
「獅琉さん……」
「可哀想に、亜利馬……一人で背負わないでいいんだよ」
「え?」
「後は俺達に任せといて」
「えぇっ?」
見上げれば、潤歩も竜介も大雅も──全員、獅琉と同じ薄ら笑いを浮かべていた。
「必ず亜利馬の仇を討つからね」
「おう。勿論、正々堂々とな!」
「……俺も本気出す」
「ちょ、ちょっと待って。みんな──」
「よし。そうと決まれば腹ごしらえだ」
潤歩が割り箸を豪快に割り、ラーメンに突っ込んだ。
「フリーズの野郎共、全員まとめて血祭りだ……!」
「……え?」
「いえ、もう……何て言うか、もう大丈夫です。俺の方こそすみません、大きい声出しちゃって」
「怪我はしてないか。その、秋常が……×××がどうのと言っていたが……」
「っ……」
頭から湯気がたつほど赤面する俺を見て、夕兎もまた顔を真っ赤にさせて沈黙した。
「亜利馬っ!」
そしてタイミングが良いのか悪いのか、撮影を終えた獅琉が俺を見つけて廊下の奥から駆けてきた。
「どうしたの? さっきフリーズの子達とすれ違ったけど、凄い必死に亜利馬の名前叫んでたよ?」
「し、獅琉さん」
「何があったの? 夕兎くんもいるし……まさか君達、亜利馬に……」
「違いますよ獅琉さん、むしろ夕兎さんには色々助けられたというか……」
「……俺は何もしていない。失礼するぞ」
いつものキャラに戻って、顔を赤くさせたまま夕兎が俺達に背を向けた。
「で、何があったの? 亜利馬」
「いえ、何でも──」
「亜利馬?」
「……う、……」
秋常と同じ「満面の笑み」でも、獅琉の方が百倍怖い。
*
「そんで――惚れてようが何だろうが、そいつらが亜利馬を犯ろうとしたのは間違いないってことだな」
「………」
潤歩のこめかみに青筋が浮いている。獅琉と一緒に竜介の家に帰ると、既に大雅達も戻っていて出前のラーメンが届いていた。買い物をする時間もなかったため、獅琉がメールで頼んでおいてくれたのだ。
「ふざけやがって、あのクソ野郎共っ……!」
「う、潤歩さん。大丈夫です。そこは俺、あんまり気にしてませんから」
「ナメられたままで黙ってろってのか」
獅琉も竜介も、無言で俯いている。
「……ごめんね亜利馬。俺が一緒にいれば……」
「大雅のせいでもないって! お、お願いだからみんな、そんな暗い感じにならないでください!」
無理もないことだ。早い話が強姦未遂。俺だって、他のメンバーがそんなことをされたら絶対に怒るし、笑ってなんかいられないと思う。
「で、でも本当に。実際、俺は何とも思ってませんから。こんなことで大騒ぎしたくないですし、秋常さんも俺をぶっ潰そうとか、そういう理由でやったわけじゃないので……出来れば、無かったことにして欲しいんです」
「亜利馬」
獅琉の手が俺の頭に乗り、そのまま優しく胸へと引き寄せられた。……あったかい。いい匂い。
「獅琉さん……」
「可哀想に、亜利馬……一人で背負わないでいいんだよ」
「え?」
「後は俺達に任せといて」
「えぇっ?」
見上げれば、潤歩も竜介も大雅も──全員、獅琉と同じ薄ら笑いを浮かべていた。
「必ず亜利馬の仇を討つからね」
「おう。勿論、正々堂々とな!」
「……俺も本気出す」
「ちょ、ちょっと待って。みんな──」
「よし。そうと決まれば腹ごしらえだ」
潤歩が割り箸を豪快に割り、ラーメンに突っ込んだ。
「フリーズの野郎共、全員まとめて血祭りだ……!」
「……え?」
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる