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亜利馬、18歳のお仕事
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夕兎。俺は知らないモデルだけど、向こうは新人の俺を知っているようだった。ということは、前からインヘルで活動している人なのだろう。
公式サイトでモデル名検索してみると、「メンズインヘル」のレーベルだけでも夕兎の作品が五本出てきた。
『夕兎・暗黒の貴公子』『闇落ちの美青年』『姦淫煉獄・夕兎の章』──。どれもこれも耽美なジャケットで、黒や赤の薔薇に全裸で埋もれている夕兎や、真っ赤な縄で縛られている夕兎など、イメージとしては俺のように凌辱・緊縛モノが多く、たまにレイプ系もやっているみたいだ。
『闇より出でし暗黒の王子を失神寸前まで犯し尽くす! 男達の欲に塗れた聖絶の美青年・夕兎、堂々デビュー!』。
「デビュー当時からこの路線なんだ……」
俺の拘束デビューが霞んでしまうほど、夕兎のそれはハードな内容だった。
インヘルには四つのレーベルがあり、俺達はブレイズ含めオーソドックスな内容の「メインレーベル」からDVDをリリースしている。夕兎の「メンズインヘル」はレイプ系などのハードプレイも多く、コアなファン向けのレーベルだ。ちなみに他の二つは「インヘルスィート」という男の娘やニューハーフもの、「インヘルボーイズ」は制服DKモノが多く、男というよりは少年寄りのモデルが使われている。
四つの中で一番ハードな「メンズ」レーベルから作品を出し続けているということは、夕兎もメーカー側も、きっと彼のプレイにかなりの自信を持っているのだろう。
驚いたのは、レイプをテーマにしているにも関わらず夕兎が「タチ」であることだった。説明を見る限り、タチが襲われるのは「逆レイプ」というらしい。
襲い受けという言葉があるのは知っているけれど、縛られたタチのモデルが屈強なウケ役に無理矢理乗られている姿というのは何というか……エロかった。
「夕兎さんの他のメンバーも見たかったなぁ」
リーダーがこんな感じなら、他のメンバーも皆ハード路線なんだろうか。ブレイズでは竜介がハードなプレイのタチ役として出演することが多いけど、それでもここまでガチなものではない。
ブレイズとフリーズがどんな感じで絡むのか分からないけれど、こうも路線が違うのに上手いこと行くのだろうか。……と、俺が心配しても意味はないな。
*
「亜利馬、ごめん。昨日すごい酔っちゃってて、あんまりちゃんとした返信できてなかったよね」
「いえいえ、全然平気ですよ。それより潤歩さん大丈夫でした?」
「それがさぁ、唇が真っ赤になっちゃって当分フェラしたくないって……」
翌日の午後。休憩時間になって獅琉と会い、会議室という名の俺達の溜まり場で昼食をとっていると、
「ブレイズの亜利馬ぁっ!」
突然、部屋のドアが開いて昨日会ったばかりの彼──夕兎が飛び込んできた。
「あ、夕兎さん。おはようございます。撮影ですか?」
「黙れっ! 気様、昨日はよくもやってくれたな!」
「え?」
俺は目を丸めて夕兎を見た。相変わらずシャツもパンツも黒ずくめだ。流石に七月の昼間は暑過ぎたのか、昨日着ていたロングコートは脱いで小脇に抱えている。その額には、白いガーゼが絆創膏のように貼られていた。
「亜利馬、誰?」
獅琉がきょとんとした顔で俺に耳打ちした。どうやらレーベルが違うからか、夕兎のことは知らないらしい。
「えっと、昨日メッセージ送った夕兎さんです。俺達のライバルで、『フリーズ』ってグループのリーダーさんですよ」
「ああ、君がそうなんだ。よろしくね、俺は獅琉だよ」
「うるさいっ! それよりもお前だ、亜利馬!」
「俺、何もしてませんけど。……一体どうしたんですか? おでこ、怪我したんですか?」
「ですか? じゃねえっ、お前のせいで俺は階段から落ちたんだ!」
「え、俺のせいで……。ど、どういうことですか」
公式サイトでモデル名検索してみると、「メンズインヘル」のレーベルだけでも夕兎の作品が五本出てきた。
『夕兎・暗黒の貴公子』『闇落ちの美青年』『姦淫煉獄・夕兎の章』──。どれもこれも耽美なジャケットで、黒や赤の薔薇に全裸で埋もれている夕兎や、真っ赤な縄で縛られている夕兎など、イメージとしては俺のように凌辱・緊縛モノが多く、たまにレイプ系もやっているみたいだ。
『闇より出でし暗黒の王子を失神寸前まで犯し尽くす! 男達の欲に塗れた聖絶の美青年・夕兎、堂々デビュー!』。
「デビュー当時からこの路線なんだ……」
俺の拘束デビューが霞んでしまうほど、夕兎のそれはハードな内容だった。
インヘルには四つのレーベルがあり、俺達はブレイズ含めオーソドックスな内容の「メインレーベル」からDVDをリリースしている。夕兎の「メンズインヘル」はレイプ系などのハードプレイも多く、コアなファン向けのレーベルだ。ちなみに他の二つは「インヘルスィート」という男の娘やニューハーフもの、「インヘルボーイズ」は制服DKモノが多く、男というよりは少年寄りのモデルが使われている。
四つの中で一番ハードな「メンズ」レーベルから作品を出し続けているということは、夕兎もメーカー側も、きっと彼のプレイにかなりの自信を持っているのだろう。
驚いたのは、レイプをテーマにしているにも関わらず夕兎が「タチ」であることだった。説明を見る限り、タチが襲われるのは「逆レイプ」というらしい。
襲い受けという言葉があるのは知っているけれど、縛られたタチのモデルが屈強なウケ役に無理矢理乗られている姿というのは何というか……エロかった。
「夕兎さんの他のメンバーも見たかったなぁ」
リーダーがこんな感じなら、他のメンバーも皆ハード路線なんだろうか。ブレイズでは竜介がハードなプレイのタチ役として出演することが多いけど、それでもここまでガチなものではない。
ブレイズとフリーズがどんな感じで絡むのか分からないけれど、こうも路線が違うのに上手いこと行くのだろうか。……と、俺が心配しても意味はないな。
*
「亜利馬、ごめん。昨日すごい酔っちゃってて、あんまりちゃんとした返信できてなかったよね」
「いえいえ、全然平気ですよ。それより潤歩さん大丈夫でした?」
「それがさぁ、唇が真っ赤になっちゃって当分フェラしたくないって……」
翌日の午後。休憩時間になって獅琉と会い、会議室という名の俺達の溜まり場で昼食をとっていると、
「ブレイズの亜利馬ぁっ!」
突然、部屋のドアが開いて昨日会ったばかりの彼──夕兎が飛び込んできた。
「あ、夕兎さん。おはようございます。撮影ですか?」
「黙れっ! 気様、昨日はよくもやってくれたな!」
「え?」
俺は目を丸めて夕兎を見た。相変わらずシャツもパンツも黒ずくめだ。流石に七月の昼間は暑過ぎたのか、昨日着ていたロングコートは脱いで小脇に抱えている。その額には、白いガーゼが絆創膏のように貼られていた。
「亜利馬、誰?」
獅琉がきょとんとした顔で俺に耳打ちした。どうやらレーベルが違うからか、夕兎のことは知らないらしい。
「えっと、昨日メッセージ送った夕兎さんです。俺達のライバルで、『フリーズ』ってグループのリーダーさんですよ」
「ああ、君がそうなんだ。よろしくね、俺は獅琉だよ」
「うるさいっ! それよりもお前だ、亜利馬!」
「俺、何もしてませんけど。……一体どうしたんですか? おでこ、怪我したんですか?」
「ですか? じゃねえっ、お前のせいで俺は階段から落ちたんだ!」
「え、俺のせいで……。ど、どういうことですか」
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