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第21話 カウントダウン
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そうして俺にとっては超ハードなミチルの練習の付き合いの後は、更にハードな頼寿との練習が待っているのだ。
「余計なことを考えるな、顔に出てるぞ」
「ご、ごめん頼寿……。さっきの頼寿に見られてたって思ったら、なんか恥ずかしくて」
「見られるのは慣れてるだろ」
「……あと、ミチルとヒロヤ、大丈夫かなって。家で練習してるみたいだけど、ミチルあんまり寝てないみたいだから。本番に体調崩さないか心配で」
スポットを消し、スタッフも帰った静かなフロアで、頼寿がポールを握った俺の頭に手を置いた。
「演者の心配をするってのは、良いことだな」
「悩むよなぁ……。もうオープン間近だから練習はしたいけど、ヒロヤに早くバイト辞めろとは言えないし。かといってミチルに休めとも言えないし」
頭を抱えてポールにもたれる俺を見て、頼寿が腰に手をあてながら溜息をつく。
「あの二人がそういうスケジュールなのは、契約時から分かっていたことだ。ミチルはプロだし、自己管理できている」
「うーん……」
「心配するのは大事だが、信頼はもっと大事だぞ」
言いながら、頼寿が俺を抱き上げた。
「わ、ちょっと……!」
親が子供を抱っこするみたいな体勢だ。こんなにも軽々と持ち上げられてしまうのはやはり俺がチビだからか……以前と比べて少しは筋肉も付いてきたはずなのに。
「俺もタマを信頼していた。だから俺達は今ここにいる」
「頼寿。なんか嬉しそうだな」
「お前との将来が見えてきてるからな」
俺達の将来。
そんなの、つい最近まで少しも考えていなかった。
毎日好きなものを食べて好きなだけ贅沢をして、それまでの泥に塗れた少年時代を無かったことにしようと、必死に三上会長がくれた日常に順応しようとしていた。
頼寿と組むようになってからも、目まぐるしく過ぎて行く日々についていくのが精一杯だった。
将来へ続く道に、いま俺は立ってるんだ。頼寿と二人で。
「ん」
堪らなくなって上から頼寿の唇を塞ぐと、すぐに頼寿が応えてくれた。全身でしがみついてキスをしてもビクともしない、鍛えられた体。SMショー以外でも色々なステージに立てそうなのに、頼寿は確かにここにいる。
「足掻いても5日後にはオープンだ。不安になる気持ちは分かるが、どうせなら楽しめよ」
「うん!」
プールの時にも快晴が言っていた。
楽しむこと──それが一番重要なんだって。
「余計なことを考えるな、顔に出てるぞ」
「ご、ごめん頼寿……。さっきの頼寿に見られてたって思ったら、なんか恥ずかしくて」
「見られるのは慣れてるだろ」
「……あと、ミチルとヒロヤ、大丈夫かなって。家で練習してるみたいだけど、ミチルあんまり寝てないみたいだから。本番に体調崩さないか心配で」
スポットを消し、スタッフも帰った静かなフロアで、頼寿がポールを握った俺の頭に手を置いた。
「演者の心配をするってのは、良いことだな」
「悩むよなぁ……。もうオープン間近だから練習はしたいけど、ヒロヤに早くバイト辞めろとは言えないし。かといってミチルに休めとも言えないし」
頭を抱えてポールにもたれる俺を見て、頼寿が腰に手をあてながら溜息をつく。
「あの二人がそういうスケジュールなのは、契約時から分かっていたことだ。ミチルはプロだし、自己管理できている」
「うーん……」
「心配するのは大事だが、信頼はもっと大事だぞ」
言いながら、頼寿が俺を抱き上げた。
「わ、ちょっと……!」
親が子供を抱っこするみたいな体勢だ。こんなにも軽々と持ち上げられてしまうのはやはり俺がチビだからか……以前と比べて少しは筋肉も付いてきたはずなのに。
「俺もタマを信頼していた。だから俺達は今ここにいる」
「頼寿。なんか嬉しそうだな」
「お前との将来が見えてきてるからな」
俺達の将来。
そんなの、つい最近まで少しも考えていなかった。
毎日好きなものを食べて好きなだけ贅沢をして、それまでの泥に塗れた少年時代を無かったことにしようと、必死に三上会長がくれた日常に順応しようとしていた。
頼寿と組むようになってからも、目まぐるしく過ぎて行く日々についていくのが精一杯だった。
将来へ続く道に、いま俺は立ってるんだ。頼寿と二人で。
「ん」
堪らなくなって上から頼寿の唇を塞ぐと、すぐに頼寿が応えてくれた。全身でしがみついてキスをしてもビクともしない、鍛えられた体。SMショー以外でも色々なステージに立てそうなのに、頼寿は確かにここにいる。
「足掻いても5日後にはオープンだ。不安になる気持ちは分かるが、どうせなら楽しめよ」
「うん!」
プールの時にも快晴が言っていた。
楽しむこと──それが一番重要なんだって。
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