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第20話 しっかり玉雪と余裕の平日
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朝食が終わって午前十時、俺は頼寿と向かい合う形でソファに座り、真剣な表情で彼の話を聞いていた。
「店の名前は『シエスタ』だ。コンセプトとしてはサルベージのようなアッパー系ではなく、もっと落ち着いたイメージになる」
「シエスタってどういう意味?」
「お前が腹出して昼寝してる姿を見て思い付いた」
……言葉の意味そのものはともかく、絶対あんまり良いイメージじゃないんだろうな。
頼寿が渡してくれた紙には、店の内装やロゴのデザインなどをCGイラストに起こしたものがいくつもあった。
黒とシルバーをメインとした店内カラー。基本はモノトーンで統一されているが、壁や天井にはゴールドの照明が差し色的な意味で取り付けられている。エレガンス&ゴージャスというワードが頭に浮かび、俺はその「大人っぽさ」に少し怖気付いてしまった──自分なんかが、この店の店長としてやっていけるのか。
「ステージはメインフロアの前面に一つ。ステージ背後の壁にはデカいモニターを取り付けて、ショーが無い時間はBGMに合わせた映像を流す予定だ」
「円形ステージじゃないんだな。前後左右から見れるようにしなくていいの?」
俺の疑問に、頼寿が得意げな笑みを浮かべて言った。
「その部分の壁は自動スライド式で、ショーをやる時は横の壁と壁の隙間に引っ込む形になっている。そうするとモニターの裏にあるサブフロアからもステージが見えるだろ」
「始めからモニター無しで『中央ステージ』って扱いでいいんじゃないの? 二度手間じゃん。フロアをメインとサブに分ける意味も分かんないし」
「メインは一般向け、サブはVIP用だ。店ではVIPという言葉は使わねえが……まあ、サロンの奴らとか、旦那の知り合いとか、俺らが仕事の話をする時とかに使う」
ちなみにフロアを仕切る壁に取り付けられた巨大モニターは両面式らしく、サブフロアからも映像が見られるのだとか。
スイッチ一つで出たり引っ込んだりする、両面モニターがはめ込まれた壁……一体コレにどれだけの金がかかってるんだろう。
「ショーで雇うパフォーマーだが、タマの要望はあるか?」
「えっ!」
言われて、俺は目を輝かせながらソファから身を乗り出した。
「か、カッコいい人達がいい! エロカッコいい感じの、大人っぽくて高身長で、がっちり体形で渋いイケメン同士のゲイカップル!」
「そりゃお前の趣味か?」
「だって見応えあるだろ。細っこい美少年もいいけど、どうせなら迫力ある方がさ」
「若いので釣るのも、オッサンで釣るのもアリか。……一応、候補は何組かあるが……まあ、あんまり若いのばっか集めたら玉雪のステージが霞んじまうか……」
ぶつぶつ言いながら、頼寿が紙に何かを書き込んでいる。──そうだよ、俺なんてまだ素人に毛が生えた程度なんだし、エロくて可愛い美少年ばっか雇ったら店長の立場がないじゃないか。
「そうしよう、そうしよう。イケオジ増し増しで」
手を叩いて賛成すると、頼寿がジト目で俺を睨みつけてきた。
「……『そんな奴らに負けねえ、俺がナンバーワンだ』っていう言葉を期待したんだがな」
「に、日本人は謙遜するモンだろっ!」
「次に謙遜したら全裸でバンジージャンプの刑な」
「そんな重い刑っ?」
「店の名前は『シエスタ』だ。コンセプトとしてはサルベージのようなアッパー系ではなく、もっと落ち着いたイメージになる」
「シエスタってどういう意味?」
「お前が腹出して昼寝してる姿を見て思い付いた」
……言葉の意味そのものはともかく、絶対あんまり良いイメージじゃないんだろうな。
頼寿が渡してくれた紙には、店の内装やロゴのデザインなどをCGイラストに起こしたものがいくつもあった。
黒とシルバーをメインとした店内カラー。基本はモノトーンで統一されているが、壁や天井にはゴールドの照明が差し色的な意味で取り付けられている。エレガンス&ゴージャスというワードが頭に浮かび、俺はその「大人っぽさ」に少し怖気付いてしまった──自分なんかが、この店の店長としてやっていけるのか。
「ステージはメインフロアの前面に一つ。ステージ背後の壁にはデカいモニターを取り付けて、ショーが無い時間はBGMに合わせた映像を流す予定だ」
「円形ステージじゃないんだな。前後左右から見れるようにしなくていいの?」
俺の疑問に、頼寿が得意げな笑みを浮かべて言った。
「その部分の壁は自動スライド式で、ショーをやる時は横の壁と壁の隙間に引っ込む形になっている。そうするとモニターの裏にあるサブフロアからもステージが見えるだろ」
「始めからモニター無しで『中央ステージ』って扱いでいいんじゃないの? 二度手間じゃん。フロアをメインとサブに分ける意味も分かんないし」
「メインは一般向け、サブはVIP用だ。店ではVIPという言葉は使わねえが……まあ、サロンの奴らとか、旦那の知り合いとか、俺らが仕事の話をする時とかに使う」
ちなみにフロアを仕切る壁に取り付けられた巨大モニターは両面式らしく、サブフロアからも映像が見られるのだとか。
スイッチ一つで出たり引っ込んだりする、両面モニターがはめ込まれた壁……一体コレにどれだけの金がかかってるんだろう。
「ショーで雇うパフォーマーだが、タマの要望はあるか?」
「えっ!」
言われて、俺は目を輝かせながらソファから身を乗り出した。
「か、カッコいい人達がいい! エロカッコいい感じの、大人っぽくて高身長で、がっちり体形で渋いイケメン同士のゲイカップル!」
「そりゃお前の趣味か?」
「だって見応えあるだろ。細っこい美少年もいいけど、どうせなら迫力ある方がさ」
「若いので釣るのも、オッサンで釣るのもアリか。……一応、候補は何組かあるが……まあ、あんまり若いのばっか集めたら玉雪のステージが霞んじまうか……」
ぶつぶつ言いながら、頼寿が紙に何かを書き込んでいる。──そうだよ、俺なんてまだ素人に毛が生えた程度なんだし、エロくて可愛い美少年ばっか雇ったら店長の立場がないじゃないか。
「そうしよう、そうしよう。イケオジ増し増しで」
手を叩いて賛成すると、頼寿がジト目で俺を睨みつけてきた。
「……『そんな奴らに負けねえ、俺がナンバーワンだ』っていう言葉を期待したんだがな」
「に、日本人は謙遜するモンだろっ!」
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