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第15話 プール合宿開始!
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「久し振りだな頼寿、会いたかったぞ。……それから、君が玉雪か」
「あ、あ……はじ、はじめまして……! 玉雪です、じゅうきゅうさいです……!」
声が上ずり、頬が熱くなる。
現れた頼寿のお兄さんは、大人の色気たっぷりなドハンサムだった。
短い黒髪に洒落た顎髭、切れ長で優しげな二重の瞳、高い鼻、薄いけど口角の上がった唇。頼寿よりほんの少し背が高く、手足が長いすっきりとしたスマートな体型。
──めちゃくちゃカッコいい。
「………」
「何固まってんだ、お前」
「別にっ!」
頼寿に言われるまで、俺はこのハンサムに見とれているということにすら気付いていなかった。何も考えられず、ただひたすら見入ってしまっていたのだ。
「よろしく、玉雪。頼寿の兄、堂島頼政だ」
「よ、頼政さん。よろ、よろしくお願い致します……」
カチコチに固まって握手をする俺を、頼寿が呆れたように見ている。
玄関から框に上がろうとしたその時、廊下の奥からチャカチャカと爪の音をたてて小さな犬がこちらへやってくるのが見えた──頼政さんが飼っているシェパードだ。ころころとした体に太くて短い四本の足。人懐こそうな顔をしている。
「うおお、かわいい!」
「こいつは俺の相棒、ハーレーだ。可愛いだろう」
「シェパードの仔犬、初めて見ました! うわあ、動くぬいぐるみだ……!」
思わず手を伸ばすと、ハーレーは初めて会う俺の匂いを覚えるためにフンフン鼻を鳴らして尻尾を振り始めた。喉を撫でれば気持ち良さそうに目を細めて、もっともっとと前足で俺の腕をかいてくる。
「はああぁ……」
「シェパードといっても種類が多くてな。こいつはシャイロ・シェパード。成犬になれば体重は七十キロを超える個体もいる」
「ええっ? ……お前、俺よりデカくなるんじゃないのか……」
モフモフ毛のハーレーを抱き上げて目線の高さを合わせると、嬉しがってくれているのか俺の顔をペロペロ舐めてくれた。こうして抱っこできるのも仔犬の今の時期だけだ。動物って本当に凄い。
「兄貴、早速プール借りるぞ。世話になるが俺達のことは気にしなくていい。食事も気を使わず好きにとってくれ」
「なんだ、俺の弟は久し振りの再会でも相変わらずクールだな」
頼寿は荷物の入ったバッグを持ち、さっさと廊下を進んでその先の部屋へと入って行ってしまった。
何だか素っ気ないな。積もる話とかないんだろうか。
「……頼寿はああ言ってますけど、何かあれば言ってくださいね。俺じゃ役に立ちませんが出来ることは手伝いますから」
「ありがとう、玉雪。まあ俺も不規則な生活をしているから、逆にお前達も俺のことは気にしないでくれ」
「絵描きさんですもんね、仕事の邪魔しないようにしないと。……あ、でもハーレーとは遊んでもいいですか?」
「ああ、好きな時に遊んでやってくれ。庭で思い切り走るといい」
頼寿の兄貴にしてはめちゃくちゃ優しい、頼政さん。兄弟でこうも性格が違うものなのか……まあ、意地悪よりは優しい方が断然良いけれど。
「あ、あ……はじ、はじめまして……! 玉雪です、じゅうきゅうさいです……!」
声が上ずり、頬が熱くなる。
現れた頼寿のお兄さんは、大人の色気たっぷりなドハンサムだった。
短い黒髪に洒落た顎髭、切れ長で優しげな二重の瞳、高い鼻、薄いけど口角の上がった唇。頼寿よりほんの少し背が高く、手足が長いすっきりとしたスマートな体型。
──めちゃくちゃカッコいい。
「………」
「何固まってんだ、お前」
「別にっ!」
頼寿に言われるまで、俺はこのハンサムに見とれているということにすら気付いていなかった。何も考えられず、ただひたすら見入ってしまっていたのだ。
「よろしく、玉雪。頼寿の兄、堂島頼政だ」
「よ、頼政さん。よろ、よろしくお願い致します……」
カチコチに固まって握手をする俺を、頼寿が呆れたように見ている。
玄関から框に上がろうとしたその時、廊下の奥からチャカチャカと爪の音をたてて小さな犬がこちらへやってくるのが見えた──頼政さんが飼っているシェパードだ。ころころとした体に太くて短い四本の足。人懐こそうな顔をしている。
「うおお、かわいい!」
「こいつは俺の相棒、ハーレーだ。可愛いだろう」
「シェパードの仔犬、初めて見ました! うわあ、動くぬいぐるみだ……!」
思わず手を伸ばすと、ハーレーは初めて会う俺の匂いを覚えるためにフンフン鼻を鳴らして尻尾を振り始めた。喉を撫でれば気持ち良さそうに目を細めて、もっともっとと前足で俺の腕をかいてくる。
「はああぁ……」
「シェパードといっても種類が多くてな。こいつはシャイロ・シェパード。成犬になれば体重は七十キロを超える個体もいる」
「ええっ? ……お前、俺よりデカくなるんじゃないのか……」
モフモフ毛のハーレーを抱き上げて目線の高さを合わせると、嬉しがってくれているのか俺の顔をペロペロ舐めてくれた。こうして抱っこできるのも仔犬の今の時期だけだ。動物って本当に凄い。
「兄貴、早速プール借りるぞ。世話になるが俺達のことは気にしなくていい。食事も気を使わず好きにとってくれ」
「なんだ、俺の弟は久し振りの再会でも相変わらずクールだな」
頼寿は荷物の入ったバッグを持ち、さっさと廊下を進んでその先の部屋へと入って行ってしまった。
何だか素っ気ないな。積もる話とかないんだろうか。
「……頼寿はああ言ってますけど、何かあれば言ってくださいね。俺じゃ役に立ちませんが出来ることは手伝いますから」
「ありがとう、玉雪。まあ俺も不規則な生活をしているから、逆にお前達も俺のことは気にしないでくれ」
「絵描きさんですもんね、仕事の邪魔しないようにしないと。……あ、でもハーレーとは遊んでもいいですか?」
「ああ、好きな時に遊んでやってくれ。庭で思い切り走るといい」
頼寿の兄貴にしてはめちゃくちゃ優しい、頼政さん。兄弟でこうも性格が違うものなのか……まあ、意地悪よりは優しい方が断然良いけれど。
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