【BL】Real Kiss

狗嵜ネムリ

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第12話 金曜日のふたり

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「力抜いてろよ」
「……ん!」

 俺の目を至近距離で見つめたまま、頼寿がゆっくりと俺の入口を指で押し広げてゆく。小さく深呼吸を繰り返しつつ、俺もずっと頼寿の顔だけを見ていた。
 今までにない変な感触。体の外側を弄られるのには慣れていても、内側を刺激されるのは生まれて初めてだ。頼寿の指の太さくらいなら無理なく受け入れられるけど、今夜ここに、頼寿の硬くて太いものが……

「一応多めにジェル塗ってるけど、辛くねえか」
「へ、へいき……。ちょっと違和感あるけど、それだけ……」
 根元まで入った頼寿の中指が、探るように俺の中を蠢いている。

「ん、ん……あっ、何かムズムズするのが……」
「ここだろ、力抜いて感じてみろ」
「何これ、変だ……! 尻なのに、前の方にも変なのきてる……!」

 支離滅裂な俺の言葉も頼寿は流石に理解できているらしく、……この感覚が何なのか怯える俺にちゃんと説明してくれた。

「ここが前立腺だ。押すとペニスの付け根らへんが刺激されてるみたいだろ」
「こ、怖い……何それ、あっ……!」
「大丈夫だ、無茶なことしてるわけじゃねえ。漏らしたくなったら漏らしてもいい」
「頼寿、……し、しがみついてもいい……?」
「ああ」

 痙攣する脚を何とか開いたまま、俺は少しだけ身を倒してくれた頼寿に思い切りしがみついた。

 自分の知らない体の器官を触られるのは怖い。頼寿だから任せられるんだ。

「あ、あ、あぁ……」
 小さく声を弾けさせながら、感じる変な刺激が徐々に心地好いものへと変わってゆくのが分かった……ような気がした。頼寿がゆっくりとそこを弄ってくれているからか、若干の余裕も出てきた気がする。
 初めての前立腺──慣れればペニスを弄られるのと同じくらいの快感を得られそうだ。

「大丈夫か?」
「あっふ、……変だけどさっきよりかは、……大丈夫……んぁっ」
「もう怖くねえか」
「へい、き……。でも頼寿、ここにいて……」

 口元だけで笑った頼寿が、俺のそこから指を抜いた。

「ゆっくり挿れる」

 俺がしがみついているせいでやりづらそうだが、頼寿は文句を言わずにチューブからジェルを絞り出して自身のペニスに塗り付けている。
 これから入るんだ。頼寿のコレが、俺の中に……。

 俺は本当に、頼寿と生まれて初めてのセックスをするんだ。

「ドキドキする……けど、ちょっと楽しみかも……」
「いい台詞だ」
 ジェルでぬるつく先端が押し当てられ、少しずつ俺の中に入ってくる。息が止まりかけるほどの圧迫感。指とは全然違う太さ、それから熱……
「ああぁっ──!」

 その瞬間は涙が零れた。

「痛てぇのは頭が入るまでだ。一度入っちまえばもう痛みはなくなる」
「い、今どこまで入ってるの……」
「カリ首の3分の2ってとこだ。今が一番痛いかもしれねえ」
「もういっそ、一思いに……!」
「男らしいな。確かにここを長引かせるよりは──」
「う、うあ、あぁっ……!」

 痛みというよりは衝撃が走り、思わず頼寿の肩に強く爪を立ててしまった。
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