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第9話 バブル&スイート
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「は、うぅっ……」
オイルのせいなのか若干滑りやすくなっているみたいだ。そこへ頼寿の柔らかい舌が優しく俺の乳首を転がし、心地好さと薔薇の香りに頭がクラクラしてしまう。
「味はしねえな」
「あ、たりまえ……だろ……」
「いつものお前の味だけだ」
啄まれると腰が浮き、強く吸われると涙が出てくる。俺の背中を抱き寄せて愛撫する頼寿を見ていると、訳も分からず切なくなった。
仕事だからしてるだけだ。俺を気持ち良くさせたいとか、俺に欲情してるとかじゃない。
頼寿の愛撫は躾。会長に依頼されて、お金を貰っているからしてるだけ。
「う、……ぅ」
「……顔真っ赤だぞ。のぼせたか」
「ち、違……」
頼寿の目が俺をじっと見上げている。何かを言おうとして言葉を探しているような、俺が自分から話すのを待っているような、……そんな目だ。
「よりひさ……俺、熱っぽいかも……。今日はもう、やめときたい……」
「……具合悪いの黙ってたのか?」
頼寿の手のひらが、俺の頬に添えられる。
「分かんない、けど……く、苦しくて……。む、胸の、……真ん中のとこが、ずっと押されてるみたいに、痛くて……」
これ以上考えていたら泣いてしまいそうで、俺は無理矢理思考を止めるように強く目を瞑った。
「あー……。俺は医者じゃねえけど。……まあ、そうだな……。あー……」
頼寿の声が浴室に響いている。
その声が妙に何かを含んでいる気がして、俺は閉じていた目蓋を恐る恐る薄く開いた。
「俺の記憶と予想が間違ってなければ、の話だが……」
「………」
「今日電話してた相手は、兄貴だぞ。三つ年上の、俺の実の兄弟」
「……は?」
兄貴。……頼寿の、実の兄貴?
「………」
「………」
しばし無言で見つめ合った後、俺は更に顔を赤くさせて頼寿に唾を飛ばした。
「だっ、だって会うの楽しみとか! 早く抱きてえとか!」
頼寿も口元に手をあてて真っ赤になっている。だけどそれは照れなどではなく、単純に笑いを堪えている顔だ。
「なに笑ってんだよ!」
「……だ、抱きてえって、……兄貴が仔犬、飼ったって言うからよ……」
「い、犬っ……?」
必死で笑いを堪えているため、小刻みに肩を震わせている頼寿。俺は俺でこれ以上ないほどの恥ずかしさに体が震え、視界が潤むほど目頭が熱くなっていた。
「何だ、タマちゃんは生後二週間のシェパードに嫉妬してヘコんでたのか」
「ちっち、違げえよっ! 馬鹿じゃないの、そんなこと全く全然、マジでこれっぽっちも──」
言葉が遮られたのは唇を塞がれたためだ。
「んっ……」
絡んでくる舌に吐息、肌と肌が触れ合う感触、……涙。胸の痛みがスーッと引いていく感覚に、俺は少しだけ安堵した。
だけど馬鹿みたいにはしゃぐとまたダメージを喰らうから、絶対に嬉しいなんて思ってやらない。
「は、あ……舌、くるしい……」
「可愛いところもあるんだな、見直したぜタマ」
「だ、だから違うっての……!」
「心配すんな。お前が歳食って引退するまでは、他の奴に目なんか向けねえよ」
「だっ、……」
「安心して惚れていいぜ、タマちゃん」
「ほ、ほ……惚れ、とか……」
「あー、セックスしてえ」
……本当に本当に、何なんだこいつは!
頭の中が大混乱で収集がつかないというのに、頼寿はお構い無しで次々と俺に爆破装置を仕掛けてくる。
「タマちゃん、旦那に黙っとけるか? 一応お前の処女喪失には許可取るように言われててよ」
そうして仕掛けた傍から、次々と装置が爆発する──
「黙っててくれんなら今夜、ぶっ飛ぶくらい気持ち良くしてやるけど」
「ば、ばかやろ……」
「ロッソの店の時とは比べ物にならねえほどにな」
「なっ……何言ってんだよおぉッ!」
オイルのせいなのか若干滑りやすくなっているみたいだ。そこへ頼寿の柔らかい舌が優しく俺の乳首を転がし、心地好さと薔薇の香りに頭がクラクラしてしまう。
「味はしねえな」
「あ、たりまえ……だろ……」
「いつものお前の味だけだ」
啄まれると腰が浮き、強く吸われると涙が出てくる。俺の背中を抱き寄せて愛撫する頼寿を見ていると、訳も分からず切なくなった。
仕事だからしてるだけだ。俺を気持ち良くさせたいとか、俺に欲情してるとかじゃない。
頼寿の愛撫は躾。会長に依頼されて、お金を貰っているからしてるだけ。
「う、……ぅ」
「……顔真っ赤だぞ。のぼせたか」
「ち、違……」
頼寿の目が俺をじっと見上げている。何かを言おうとして言葉を探しているような、俺が自分から話すのを待っているような、……そんな目だ。
「よりひさ……俺、熱っぽいかも……。今日はもう、やめときたい……」
「……具合悪いの黙ってたのか?」
頼寿の手のひらが、俺の頬に添えられる。
「分かんない、けど……く、苦しくて……。む、胸の、……真ん中のとこが、ずっと押されてるみたいに、痛くて……」
これ以上考えていたら泣いてしまいそうで、俺は無理矢理思考を止めるように強く目を瞑った。
「あー……。俺は医者じゃねえけど。……まあ、そうだな……。あー……」
頼寿の声が浴室に響いている。
その声が妙に何かを含んでいる気がして、俺は閉じていた目蓋を恐る恐る薄く開いた。
「俺の記憶と予想が間違ってなければ、の話だが……」
「………」
「今日電話してた相手は、兄貴だぞ。三つ年上の、俺の実の兄弟」
「……は?」
兄貴。……頼寿の、実の兄貴?
「………」
「………」
しばし無言で見つめ合った後、俺は更に顔を赤くさせて頼寿に唾を飛ばした。
「だっ、だって会うの楽しみとか! 早く抱きてえとか!」
頼寿も口元に手をあてて真っ赤になっている。だけどそれは照れなどではなく、単純に笑いを堪えている顔だ。
「なに笑ってんだよ!」
「……だ、抱きてえって、……兄貴が仔犬、飼ったって言うからよ……」
「い、犬っ……?」
必死で笑いを堪えているため、小刻みに肩を震わせている頼寿。俺は俺でこれ以上ないほどの恥ずかしさに体が震え、視界が潤むほど目頭が熱くなっていた。
「何だ、タマちゃんは生後二週間のシェパードに嫉妬してヘコんでたのか」
「ちっち、違げえよっ! 馬鹿じゃないの、そんなこと全く全然、マジでこれっぽっちも──」
言葉が遮られたのは唇を塞がれたためだ。
「んっ……」
絡んでくる舌に吐息、肌と肌が触れ合う感触、……涙。胸の痛みがスーッと引いていく感覚に、俺は少しだけ安堵した。
だけど馬鹿みたいにはしゃぐとまたダメージを喰らうから、絶対に嬉しいなんて思ってやらない。
「は、あ……舌、くるしい……」
「可愛いところもあるんだな、見直したぜタマ」
「だ、だから違うっての……!」
「心配すんな。お前が歳食って引退するまでは、他の奴に目なんか向けねえよ」
「だっ、……」
「安心して惚れていいぜ、タマちゃん」
「ほ、ほ……惚れ、とか……」
「あー、セックスしてえ」
……本当に本当に、何なんだこいつは!
頭の中が大混乱で収集がつかないというのに、頼寿はお構い無しで次々と俺に爆破装置を仕掛けてくる。
「タマちゃん、旦那に黙っとけるか? 一応お前の処女喪失には許可取るように言われててよ」
そうして仕掛けた傍から、次々と装置が爆発する──
「黙っててくれんなら今夜、ぶっ飛ぶくらい気持ち良くしてやるけど」
「ば、ばかやろ……」
「ロッソの店の時とは比べ物にならねえほどにな」
「なっ……何言ってんだよおぉッ!」
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