17 / 157
第3話 ROSSO
4
しおりを挟む
ビルとビルに挟まれた狭い隙間に、そのドアはあった。一見すると隠れ家的な居酒屋への入り口っぽいが、看板も何も出ていない。怪しげな雰囲気が満載だ。
頼寿がドアを開けると、その先には地下へ続く狭い階段が伸びていた。暗い中にぽつぽつとピンクやブルーの電飾が光り、下からは何やら激しい音楽も聞こえてくる。
「な、何なんだよここ……?」
「足元気を付けろ。転ぶなよ」
階段を下り切るとまた重厚な黒いドアがあり、頼寿がそれを開いた瞬間に中から爆音のロックが溢れ出してきた。
「う、うわっ……!」
そうして耳を塞ぐよりも先に、目の前に広がった光景に息を飲むこととなる。
地下フロアは薄暗いラウンジのようになっていて、転々と配置されたソファに客らしき人達が座って談笑していた。それだけなら良い。それだけなら少しも驚かない。
「な、何なんだよマジで……」
フロア内の人達は皆、それぞれのパートナーらしき人と談笑しながら濃厚にキスをして、肌をさらし、触れ合っていた。ソファに身を倒して絡み合っている人達もいる。そんなことがあちこちのソファの上で行なわれていて、俺は思わず両手で目を覆い──指の隙間から彼らを覗き見た。
何だここ。エッチな店……にしても、こんなの聞いたこともない。
「わ、頼寿! 久し振り!」
突然、店員らしき男が俺達の元へ駆け寄ってきた。
「久し振りだな、赤瀬」
「もう、本名で呼ぶなってば。ロッソだよ」
真っ赤に染めたボサボサの髪にスレンダーな体型、ルーズなTシャツと細身のパンツ。暗がりでもはっきり分かるほど綺麗な顔立ちの彼は、頼寿の肩に腕を回し、長い指で頼寿のアゴの下をくすぐっている。
「で、どうしたの今日は。久し振りに楽しみに来た?」
「繁盛してんのか」
「まあまあって感じ。最近は客層のレベルが上がってきてるから、それなりに右肩上がりって感じだね」
「ふうん」
頼寿が俺の頭に手を置いて言った。
「こいつは俺の新しいビジネスパートナーだ。自己紹介しろ、玉雪」
「え、ええと……玉雪です。は、初めまして……」
頼寿と同じくらい背の高い彼を見上げ、しどろもどろになりながらも頭を下げる。
「わ、可愛い! ふわふわで小っこくてお人形さんみたい!」
「………」
「よろしくね、僕は赤瀬博也。このクラブの店長だよ、ロッソって呼んでね!」
「はあ……いたたっ、痛い痛い!」
テンションの高いロッソ君に強引に握手され、右手がバキバキと音を立てた。
「いったあぁ……」
頼寿がドアを開けると、その先には地下へ続く狭い階段が伸びていた。暗い中にぽつぽつとピンクやブルーの電飾が光り、下からは何やら激しい音楽も聞こえてくる。
「な、何なんだよここ……?」
「足元気を付けろ。転ぶなよ」
階段を下り切るとまた重厚な黒いドアがあり、頼寿がそれを開いた瞬間に中から爆音のロックが溢れ出してきた。
「う、うわっ……!」
そうして耳を塞ぐよりも先に、目の前に広がった光景に息を飲むこととなる。
地下フロアは薄暗いラウンジのようになっていて、転々と配置されたソファに客らしき人達が座って談笑していた。それだけなら良い。それだけなら少しも驚かない。
「な、何なんだよマジで……」
フロア内の人達は皆、それぞれのパートナーらしき人と談笑しながら濃厚にキスをして、肌をさらし、触れ合っていた。ソファに身を倒して絡み合っている人達もいる。そんなことがあちこちのソファの上で行なわれていて、俺は思わず両手で目を覆い──指の隙間から彼らを覗き見た。
何だここ。エッチな店……にしても、こんなの聞いたこともない。
「わ、頼寿! 久し振り!」
突然、店員らしき男が俺達の元へ駆け寄ってきた。
「久し振りだな、赤瀬」
「もう、本名で呼ぶなってば。ロッソだよ」
真っ赤に染めたボサボサの髪にスレンダーな体型、ルーズなTシャツと細身のパンツ。暗がりでもはっきり分かるほど綺麗な顔立ちの彼は、頼寿の肩に腕を回し、長い指で頼寿のアゴの下をくすぐっている。
「で、どうしたの今日は。久し振りに楽しみに来た?」
「繁盛してんのか」
「まあまあって感じ。最近は客層のレベルが上がってきてるから、それなりに右肩上がりって感じだね」
「ふうん」
頼寿が俺の頭に手を置いて言った。
「こいつは俺の新しいビジネスパートナーだ。自己紹介しろ、玉雪」
「え、ええと……玉雪です。は、初めまして……」
頼寿と同じくらい背の高い彼を見上げ、しどろもどろになりながらも頭を下げる。
「わ、可愛い! ふわふわで小っこくてお人形さんみたい!」
「………」
「よろしくね、僕は赤瀬博也。このクラブの店長だよ、ロッソって呼んでね!」
「はあ……いたたっ、痛い痛い!」
テンションの高いロッソ君に強引に握手され、右手がバキバキと音を立てた。
「いったあぁ……」
13
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる