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第6話 ホラーとエロは相性抜群?
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〈ねえ、早く来て……。二人きりで楽しみましょ〉
〈悪い子だな、きみは〉
〈好きでしょ?〉
〈ああ、もちろんだ〉
〈あん……〉
「………」
どうして友達グループで来たキャンプで、こういうことができるんだろう。
俺はコンビニで買ったポップコーンを頬張りながら、冷めた目で画面を見つめていた。
外国人の皆さんが全員こうだとは思わないが、友達がすぐ近くで火を囲んでいる中、こっそり恋人とテントでセックスなんて信じられない。いや、日本人にもこういうカップルはいるのかもしれないけれど……とにかく常識がないと思う。
〈あっ、あ……もう、早くきて……!〉
〈ああ、最高だよ、レイチェル……〉
「先生、エッチなシーン飛ばしてもいいですか?」
DVDのリモコンを手に問いかけると、執筆用のネタ帳に何かを書き込んでいた先生が顔を上げて「おっぱい見なくていいのか」と言った。
「俺は先生のおっぱいしか興味ないですもん」
「じゃあ飛ばせ」
濡れ場を早送りをしていると、急に画面に血飛沫が飛んだ。
「わっ、早送りし過ぎた!」
慌てて再生ボタンを押す。すると騎乗位で腰を振っていた金髪美女の首が飛び、その下で血飛沫を浴びながら彼氏が絶叫していた。首を落とされてもまだ女性は腰を振っている。海外映画特有のブラックジョークというか、笑いを誘うシーンなのだ。
シリアルキラーが血塗れのデカい鎌を担ぎ、絶叫する彼氏の首もはねた後で場面がキャンプファイヤーに切り替わった。
「先生、エロいことしてるカップルが序盤で殺されるのは、やっぱりエロで観客を釣るためですか?」
「エンターテイメントだからな。シリアルキラー系は特にメインの殺人鬼の人気を出したいという意図があるモンで、イチャついてるカップルを殺すと『よくやった!』というスカッとした心理が働くだろう」
「なるほど。言われてみれば心霊系の映画にはエロいシーンてあんまりないですね」
「あるにはあるが、……まあ殆どが古い映画だな。黎人は知らなくてよろしい」
「テレビ番組も昔はエロかったんでしょ?」
「まあな。俺にはあまり関係ない話だが」
もちろんテレビ番組も映画も一般受けを狙って作られているので、どんなにエロい映画でも先生が好きそうな美青年同士のイチャイチャや、俺が好きなワイルド野郎同士のガツガツしたシーンというのは殆ど出てこない。中にはそういう作品もあるけれど当然少数派だ。
「先生の怪談小説も、エッチなシーンいっぱい入ってますか?」
「短編の場合は殆ど入れねえが、長い話だと途中で一回くらいは入る時があるな。とは言え、ノンケの男が抜けるほどのモンじゃねえが」
「映像だとおっぱい出すだけでエロいって分かるけど、文章だと難しそうです」
「映像だとBGMで緊迫感が出せるが、文字に音楽が付けられないのと一緒だな」
そうこう言っているうちに、画面の中では第三、第四の被害者が出ていた。俺は硬派そうなイケメンが最後まで生き残れるよう応援していたけれど、どうやら駄目だったみたいだ。
「でもホラー映画を家族とか友達とかと観に行ってエロシーンが始まったら、めちゃくちゃ気まずいですよね」
「俺も昔からそれが問題だと思っていた。俺がガキの頃なんかはテレビ番組にも同じことが言えたんだが、いきなりエロいシーンを挟まれた時のリビングの空気といったらもう……」
「テレビからエロが消えたのは必然だったんですね」
「その代わりネットが普及して、今じゃ小学生でもエロサイトが見れるような状態だ。良いのか悪いのか分からねえな」
「映画とかにはエロに限らず子供に悪影響だとかのクレームが来るけど、今のネット環境の方がよっぽど悪影響ですよね。エロもそうだけど、人との関わり方とか常識とか。今じゃテレビより動画サイトの方がずっと見られてるんですし」
先生の肩に頭を預けてテレビ画面を見ていると、ボールペンをカチカチさせながら先生が笑った。
「お前、昨日エロ動画巡りしてただろ」
「えっ、……う、……」
「抜けるのはあったか?」
「ち、違いますっ。自主制作の怖い動画を見てたら、いつの間にか関連動画でそっち方面に誘導されてて……」
「ホラーとエロはこんな所でも繋がってたか」
「………」
見ようと思って検索して吟味して見た訳じゃない。たまたまサムネイルに写っていた黒髪の男が先生の雰囲気に似ていたから、ちょっと興味をそそられて見てみただけだ。それも別に露骨なエロ動画ではなく、競パン姿の男性が一人でシャワーを浴びているだけという動画だ。まあ、とてもエッチだったけど。
「そ、そんなことはどうでもいいんです! 俺はホラー作品とエロいシーンについての話を先生としたくて……」
「エロシーンが入る作品はホラーに限らねえが、まあホラーとエロは相性が良いんだろうな。『一人でこっそり見る』っていうコンセプトにも合っている」
確かにホラー映画といえど内部ジャンルは色々あって、例えば血みどろのスプラッタものなどは苦手な人も多い。アクションやコメディなどに比べれば、ホラーは恋人や友人達との肝試し気分を味わう目的以外は一人で見ることが多いんじゃないだろうか?
「しかし、『ホステル』なんかはエロシーンが多すぎて女性ファンから苦情が来たらしい。2以降では殆どエロはなくなってただろ。ホラー業界もそういう時代にきてるのかもな」
「2では女性のヌードが減った代わりに、男性器の悲惨なシーンが印象的でした」
「お前、あのシーンですげえ叫んでたな。『イダアァァッ!』って」
「あれを初見で叫ばない男がいるとは思えません……」
などと喋っていたら、目の前のテレビ画面には息も絶え絶えのシリアルキラーが映っていた。この手の話には珍しく、主人公側が殺人鬼に勝ったらしい──と見せかけて、最後にズドンと落とされるのが醍醐味だ。
「まあでもセックスの最中でシリアルキラーにスパッと殺られるのは、ある意味一番いい死に方かもな。恐怖も痛みもねえだろうし」
「俺がホラー映画の登場人物だったら、やっぱり先生とイチャついてる時に殺されたいかもしれません」
エロい話が続いてそんな気分になってしまった俺は、脚を組んだ先生の膝を指で押しながら上目遣いに甘えた声を出した。が──
「俺は最後まで生き残るけどな」
「ずるい! じゃあ俺もそっち側になります」
ぽっきりとフラグを折られて、仕方なく俺は視線を画面に戻した。もうエンディング寸前だ。結局肝心の内容は殆ど頭に入っていない。
「そういえば先生、さっきから何をメモしてるんです?」
「お前が古いホラー映画を観るって言うから何かの参考になるかと思ったんだが、エロいことしか書けてねえ」
「………」
先生のネタ帳を見るのは俺でも禁止されているため、メモした内容を教えてもらうことはできない。それでもますますエロい気分に火がついてしまい、俺はそわそわしながら先生の横顔を見つめた。
「黎人」
「は、はい」
「顔に『ヤりてえ』って書いてある」
「う。だ、だって先生が、どんなエロいことメモしてるのかなって考えたら……」
先生の膝の上に横からダイブし、赤面しているのを見られないように顔を伏せる。先生は俺の頭を机変わりにして何かをメモしながらクックと笑っていた。
そして。
「──ひゃぁっ!」
いきなりハーフパンツに手を突っ込まれ、尻を揉まれた。うつぶせになっていた俺は咄嗟に上半身を起こしかけたが、すぐに「あふう」と心地好い声が漏れて……再び先生の膝の上に身を伏せる。
「相変わらず柔らけえケツだな。何食ったらこんな風になるんだ」
「し、知らな……です、お尻、揉まれると……俺っ……」
先生の大きな手が俺の尻をむにむにしている。やがてハーフパンツと下着をぺろっとずらされて、先生が俺の股の間に手を入れてきた。
「……あ」
「腰浮かせろ」
「や、あ……せんせ……。そこ、揉まれたらあぁ……」
強引に股の間に突っ込まれた手が、後ろから俺の大事なところを優しく刺激してくる。尻の表面を揉まれるよりも直接的な快感に、俺は浮かせた腰をビクビクさせながら先生の膝にしがみついた。
「ケツとは違う柔らかさだな。竿は硬くなってるが」
「あ、うぅ……先生……欲しい、です……ちょうだい……」
「序盤でリタイアする巨乳美女みたいに誘ってみろ」
よく分からないリクエストに対し考える余裕もなく、俺は身を起こしてパンツを脱ぎ、ソファの上で開脚した。
「俺のここに、先生の……ぶっとくてエッチなの、挿れて下さぃ……」
「ソファだと高さ的にやりにくいが……」
言いながらも先生がソファを下りて、抜き出したペニスを俺のそこへあてがってくれた。
「あ、あ……先生の、入って……あぁっ」
めいっぱい腰を浮かせて先生を受け入れながら、俺は待ち侘びた快楽にうっとりと目を細めた。
こんなことしてる最中にシリアルキラーが来たとしても、絶対すぐ対処できないだろうなと思う。この快感の前では理不尽な死への恐怖も吹き飛んでしまいそうだ。
「あんっ……あ、すごいです、先生……! ふ、あっ、あぁっ」
「黎人……ケツん中トロットロじゃねえか。昼間から準備してたのか……?」
「あう、う……いつでも、先生と……エッチできるようにって、お風呂で……」
先生がフンと鼻息を荒くさせて、俺の体をソファから抱き上げる。
「わっ?」
そのまま床のラグの上に押し倒され、思い切り脚を広げられた。
「そんな健気なことを言われると正常位で抱きたくなる」
「はあぁ……幸せです、先生……思いっきり突いて……あぁっ!」
先生にしがみついて声を張り上げる俺。何度も俺の中にペニスを打ち付ける先生。お互い汗だくで顔は真っ赤で、服を全部脱いでいる訳じゃないのに凄くエロくて、先生の真剣なカッコいい目が俺を見ていると思うと更に高ぶって、……
〈あっ、あ……もっと激しくして……〉
〈くぅ、イきそうだ……!〉
気付けばDVDが一週して、自動再生になっていたのか再び序盤のエロシーンになっていた。
「あぁ、あんっ、せんせ……もっと激しく……!」
「そろそろイきそうなんだが……」
「お、おれも……一緒に……!」
先生の腰がより激しく前後し、俺も素直に快楽へ身を委ねる。すぐそこまできている絶頂の波が、一つになった俺達を包み込んだ──その瞬間。
〈ギャアアァァ──ッ!〉
画面の中のカップルが、シリアルキラーと本日二度目のエンカウントをしたのだった。
*
「……さっき思いましたけど、セックスの最中に殺人鬼が来ても絶対対処できませんって」
シャワーを浴びながら先生に言うと、湯船の中で寛いでいた先生がタオルで顔を拭きながら「セックスの最中は思考能力が低下するからな」と低く笑って言った。
「万が一そんな状況になった時のために、俺は黎人を守るために対処できるようにならねえとな」
「先生……!」
何だかホッとしてしまって、俺はボディウォッシュのスポンジをきゅっと握りしめながら満面の笑みを浮かべた。
「そういやシリアルキラーが出てくるのはシャワーシーンも多いな」
「………」
第6話・終
〈悪い子だな、きみは〉
〈好きでしょ?〉
〈ああ、もちろんだ〉
〈あん……〉
「………」
どうして友達グループで来たキャンプで、こういうことができるんだろう。
俺はコンビニで買ったポップコーンを頬張りながら、冷めた目で画面を見つめていた。
外国人の皆さんが全員こうだとは思わないが、友達がすぐ近くで火を囲んでいる中、こっそり恋人とテントでセックスなんて信じられない。いや、日本人にもこういうカップルはいるのかもしれないけれど……とにかく常識がないと思う。
〈あっ、あ……もう、早くきて……!〉
〈ああ、最高だよ、レイチェル……〉
「先生、エッチなシーン飛ばしてもいいですか?」
DVDのリモコンを手に問いかけると、執筆用のネタ帳に何かを書き込んでいた先生が顔を上げて「おっぱい見なくていいのか」と言った。
「俺は先生のおっぱいしか興味ないですもん」
「じゃあ飛ばせ」
濡れ場を早送りをしていると、急に画面に血飛沫が飛んだ。
「わっ、早送りし過ぎた!」
慌てて再生ボタンを押す。すると騎乗位で腰を振っていた金髪美女の首が飛び、その下で血飛沫を浴びながら彼氏が絶叫していた。首を落とされてもまだ女性は腰を振っている。海外映画特有のブラックジョークというか、笑いを誘うシーンなのだ。
シリアルキラーが血塗れのデカい鎌を担ぎ、絶叫する彼氏の首もはねた後で場面がキャンプファイヤーに切り替わった。
「先生、エロいことしてるカップルが序盤で殺されるのは、やっぱりエロで観客を釣るためですか?」
「エンターテイメントだからな。シリアルキラー系は特にメインの殺人鬼の人気を出したいという意図があるモンで、イチャついてるカップルを殺すと『よくやった!』というスカッとした心理が働くだろう」
「なるほど。言われてみれば心霊系の映画にはエロいシーンてあんまりないですね」
「あるにはあるが、……まあ殆どが古い映画だな。黎人は知らなくてよろしい」
「テレビ番組も昔はエロかったんでしょ?」
「まあな。俺にはあまり関係ない話だが」
もちろんテレビ番組も映画も一般受けを狙って作られているので、どんなにエロい映画でも先生が好きそうな美青年同士のイチャイチャや、俺が好きなワイルド野郎同士のガツガツしたシーンというのは殆ど出てこない。中にはそういう作品もあるけれど当然少数派だ。
「先生の怪談小説も、エッチなシーンいっぱい入ってますか?」
「短編の場合は殆ど入れねえが、長い話だと途中で一回くらいは入る時があるな。とは言え、ノンケの男が抜けるほどのモンじゃねえが」
「映像だとおっぱい出すだけでエロいって分かるけど、文章だと難しそうです」
「映像だとBGMで緊迫感が出せるが、文字に音楽が付けられないのと一緒だな」
そうこう言っているうちに、画面の中では第三、第四の被害者が出ていた。俺は硬派そうなイケメンが最後まで生き残れるよう応援していたけれど、どうやら駄目だったみたいだ。
「でもホラー映画を家族とか友達とかと観に行ってエロシーンが始まったら、めちゃくちゃ気まずいですよね」
「俺も昔からそれが問題だと思っていた。俺がガキの頃なんかはテレビ番組にも同じことが言えたんだが、いきなりエロいシーンを挟まれた時のリビングの空気といったらもう……」
「テレビからエロが消えたのは必然だったんですね」
「その代わりネットが普及して、今じゃ小学生でもエロサイトが見れるような状態だ。良いのか悪いのか分からねえな」
「映画とかにはエロに限らず子供に悪影響だとかのクレームが来るけど、今のネット環境の方がよっぽど悪影響ですよね。エロもそうだけど、人との関わり方とか常識とか。今じゃテレビより動画サイトの方がずっと見られてるんですし」
先生の肩に頭を預けてテレビ画面を見ていると、ボールペンをカチカチさせながら先生が笑った。
「お前、昨日エロ動画巡りしてただろ」
「えっ、……う、……」
「抜けるのはあったか?」
「ち、違いますっ。自主制作の怖い動画を見てたら、いつの間にか関連動画でそっち方面に誘導されてて……」
「ホラーとエロはこんな所でも繋がってたか」
「………」
見ようと思って検索して吟味して見た訳じゃない。たまたまサムネイルに写っていた黒髪の男が先生の雰囲気に似ていたから、ちょっと興味をそそられて見てみただけだ。それも別に露骨なエロ動画ではなく、競パン姿の男性が一人でシャワーを浴びているだけという動画だ。まあ、とてもエッチだったけど。
「そ、そんなことはどうでもいいんです! 俺はホラー作品とエロいシーンについての話を先生としたくて……」
「エロシーンが入る作品はホラーに限らねえが、まあホラーとエロは相性が良いんだろうな。『一人でこっそり見る』っていうコンセプトにも合っている」
確かにホラー映画といえど内部ジャンルは色々あって、例えば血みどろのスプラッタものなどは苦手な人も多い。アクションやコメディなどに比べれば、ホラーは恋人や友人達との肝試し気分を味わう目的以外は一人で見ることが多いんじゃないだろうか?
「しかし、『ホステル』なんかはエロシーンが多すぎて女性ファンから苦情が来たらしい。2以降では殆どエロはなくなってただろ。ホラー業界もそういう時代にきてるのかもな」
「2では女性のヌードが減った代わりに、男性器の悲惨なシーンが印象的でした」
「お前、あのシーンですげえ叫んでたな。『イダアァァッ!』って」
「あれを初見で叫ばない男がいるとは思えません……」
などと喋っていたら、目の前のテレビ画面には息も絶え絶えのシリアルキラーが映っていた。この手の話には珍しく、主人公側が殺人鬼に勝ったらしい──と見せかけて、最後にズドンと落とされるのが醍醐味だ。
「まあでもセックスの最中でシリアルキラーにスパッと殺られるのは、ある意味一番いい死に方かもな。恐怖も痛みもねえだろうし」
「俺がホラー映画の登場人物だったら、やっぱり先生とイチャついてる時に殺されたいかもしれません」
エロい話が続いてそんな気分になってしまった俺は、脚を組んだ先生の膝を指で押しながら上目遣いに甘えた声を出した。が──
「俺は最後まで生き残るけどな」
「ずるい! じゃあ俺もそっち側になります」
ぽっきりとフラグを折られて、仕方なく俺は視線を画面に戻した。もうエンディング寸前だ。結局肝心の内容は殆ど頭に入っていない。
「そういえば先生、さっきから何をメモしてるんです?」
「お前が古いホラー映画を観るって言うから何かの参考になるかと思ったんだが、エロいことしか書けてねえ」
「………」
先生のネタ帳を見るのは俺でも禁止されているため、メモした内容を教えてもらうことはできない。それでもますますエロい気分に火がついてしまい、俺はそわそわしながら先生の横顔を見つめた。
「黎人」
「は、はい」
「顔に『ヤりてえ』って書いてある」
「う。だ、だって先生が、どんなエロいことメモしてるのかなって考えたら……」
先生の膝の上に横からダイブし、赤面しているのを見られないように顔を伏せる。先生は俺の頭を机変わりにして何かをメモしながらクックと笑っていた。
そして。
「──ひゃぁっ!」
いきなりハーフパンツに手を突っ込まれ、尻を揉まれた。うつぶせになっていた俺は咄嗟に上半身を起こしかけたが、すぐに「あふう」と心地好い声が漏れて……再び先生の膝の上に身を伏せる。
「相変わらず柔らけえケツだな。何食ったらこんな風になるんだ」
「し、知らな……です、お尻、揉まれると……俺っ……」
先生の大きな手が俺の尻をむにむにしている。やがてハーフパンツと下着をぺろっとずらされて、先生が俺の股の間に手を入れてきた。
「……あ」
「腰浮かせろ」
「や、あ……せんせ……。そこ、揉まれたらあぁ……」
強引に股の間に突っ込まれた手が、後ろから俺の大事なところを優しく刺激してくる。尻の表面を揉まれるよりも直接的な快感に、俺は浮かせた腰をビクビクさせながら先生の膝にしがみついた。
「ケツとは違う柔らかさだな。竿は硬くなってるが」
「あ、うぅ……先生……欲しい、です……ちょうだい……」
「序盤でリタイアする巨乳美女みたいに誘ってみろ」
よく分からないリクエストに対し考える余裕もなく、俺は身を起こしてパンツを脱ぎ、ソファの上で開脚した。
「俺のここに、先生の……ぶっとくてエッチなの、挿れて下さぃ……」
「ソファだと高さ的にやりにくいが……」
言いながらも先生がソファを下りて、抜き出したペニスを俺のそこへあてがってくれた。
「あ、あ……先生の、入って……あぁっ」
めいっぱい腰を浮かせて先生を受け入れながら、俺は待ち侘びた快楽にうっとりと目を細めた。
こんなことしてる最中にシリアルキラーが来たとしても、絶対すぐ対処できないだろうなと思う。この快感の前では理不尽な死への恐怖も吹き飛んでしまいそうだ。
「あんっ……あ、すごいです、先生……! ふ、あっ、あぁっ」
「黎人……ケツん中トロットロじゃねえか。昼間から準備してたのか……?」
「あう、う……いつでも、先生と……エッチできるようにって、お風呂で……」
先生がフンと鼻息を荒くさせて、俺の体をソファから抱き上げる。
「わっ?」
そのまま床のラグの上に押し倒され、思い切り脚を広げられた。
「そんな健気なことを言われると正常位で抱きたくなる」
「はあぁ……幸せです、先生……思いっきり突いて……あぁっ!」
先生にしがみついて声を張り上げる俺。何度も俺の中にペニスを打ち付ける先生。お互い汗だくで顔は真っ赤で、服を全部脱いでいる訳じゃないのに凄くエロくて、先生の真剣なカッコいい目が俺を見ていると思うと更に高ぶって、……
〈あっ、あ……もっと激しくして……〉
〈くぅ、イきそうだ……!〉
気付けばDVDが一週して、自動再生になっていたのか再び序盤のエロシーンになっていた。
「あぁ、あんっ、せんせ……もっと激しく……!」
「そろそろイきそうなんだが……」
「お、おれも……一緒に……!」
先生の腰がより激しく前後し、俺も素直に快楽へ身を委ねる。すぐそこまできている絶頂の波が、一つになった俺達を包み込んだ──その瞬間。
〈ギャアアァァ──ッ!〉
画面の中のカップルが、シリアルキラーと本日二度目のエンカウントをしたのだった。
*
「……さっき思いましたけど、セックスの最中に殺人鬼が来ても絶対対処できませんって」
シャワーを浴びながら先生に言うと、湯船の中で寛いでいた先生がタオルで顔を拭きながら「セックスの最中は思考能力が低下するからな」と低く笑って言った。
「万が一そんな状況になった時のために、俺は黎人を守るために対処できるようにならねえとな」
「先生……!」
何だかホッとしてしまって、俺はボディウォッシュのスポンジをきゅっと握りしめながら満面の笑みを浮かべた。
「そういやシリアルキラーが出てくるのはシャワーシーンも多いな」
「………」
第6話・終
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